【2019年】海外のスタートアップに学ぶビジネスモデル Part: 1/3

Yuki
10 min readDec 24, 2018

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別ブログで毎年更新してきたこのコンテンツ。Mediumに移すことにしました。

アドセンスとかマネタイズを考えず、シンプルに誰かのためになれば良いなと思ったので。

2019年版は、31社をアルファベット順に紹介します。量が多いので、3分割しました。Part1は、社名がA-Cから始まる企業を取り上げました。

それでは順に見ていきましょう。

Airlines Technology

世の中では、旅行業者に旅行プランを注文すると、航空券やホテル等も手配される。これは旅行業者が一つ一つを予約しているわけではなく、GDS (Global Distribution System) と呼ばれる通信網を組み込んだ予約・発券のコンピュータシステムにより可能となっている。

AT社はGDSに代わる新たなシステム — NDC (New Distribution Capability) をベースにITサービスを開発し、航空会社と旅行業者を取り結んでいる。

どうやらGDSは、その手数料が航空会社にとって痛手となっており、その代替としてNDCがIATAにより推し進められているそうだ。

※NDCはこのサイトが詳しい

※IATAによるNDCの詳細はこちら

当然、不要なコミッションを削減できるNDCへ移っていく航空会社はあるだろうし、それに伴い旅行業者もNDCに対応していく必要がある。

システム開発は、その両者でも可能だが、先行して(両社の開発負担を請け負って)プラットフォームを構築した点が革新的と言えるだろう。

Keyword: 航空IT

URL: http://www.airlinestechnology.com

Arise Travel

インターネットでのホテルの予約方法は、ホテル所有のWebサイトか、ホテル情報が集約された旅行サイトですることが多い。

予約されるホテルの「部屋」に着目すると、その情報は一か所のサーバに保存され、それゆえに近年の情報速度の高速化に対応できず、「部屋」の予約情報でFailureすることがある…。

なんて書くと、大げさに思われるかもしれないが、Blockchainを使えば、「部屋」の情報は常に最新に保たれる(その貴重さは、部屋の人気度に比例する)。

AT社はOpen Access可能なネットワークを用意し、 GraphQL (Query言語) によりホテルの部屋情報の問い合わせ(接続)を可能にした。

※GraphQLの詳細はこちら

Keyword: ブロックチェーン、ホテル

URL: https://www.arise.travel

Ascape

VRが手に入れやすくなった世の中、動画エンターテインメントはどのような進化を続けるのだろうか。その一つが360度を見渡せる、没入型デジタル環境の提供だろう。

Ascape社は旅行向けサービスの中でそれを実現させた。動画は4Kでも提供され、実体験に近い音も感じられる。サービスはアプリから利用でき、Googleが開催する「Best of 2017 in Japan」にも選ばれた。

プレミアム動画への課金でマネタイズする仕組みが整備され、アプリユーザーも申請を経れば、動画投稿が可能。ただし、機材や技術を持たないプロでもない人が360度動画を作成できるかどうかは疑問が残る。そういう意味で、視聴と投稿の両サイドから火が付くような社会現象は起きづらいだろう(ドローン動画が良い例)

外出があまり趣味でない人 — 例えば旅行はGoogle Mapで良いと意固地になっているような — には、成長が望まれるサービスだろう。街中をVRで360度見回せたなら、それはそれでリッチな体験だ。

Keyword: VR、旅行

URL: https://ascape.com

Avisell

航空券は予約システムの上に成り立っている。フライトが当日でも、航空券で席を確保しなければ、航空機には乗れない。それは、航空機に乗るには席に座ることが必須になっているからだ。

航空ビジネスは、チケットではなく座席を売るモデルだからこそ、キャンセルによる空席ができると痛手になり、一方でチェックインカウンターでは最後まで空席の販売(金額を多めに払い座席をランクアップ)がされたりする。

座席は満席が望ましく、その状態を作りやすくするサービスを展開しているのがAvisell社だ。

Avisell社は航空会社向けのITサービスにより、航空券の再販売や空席の売り尽くしをサポートする。また、天候などによるフライトキャンセル時、大規模な乗客がカウンターへ押し寄せるものだが、同社のサービスではそうした状況もカバーできる。

…Private Companyなので、実は紹介がしづらいところ。

とはいえ、座席を売るビジネスに着目したのは鋭いポイント。似たようなものには、映画館や遊園地のアトラクション、セミナーなどがあり、それらをサポートするサービスは、同時にプラットフォームの役割も果たしていくのだとも思う。

Keyword: 航空IT、E-Commerce

URL: https://www.avisell.com

Beyond Pricing

シェアリングエコノミーのパイオニアたちが受ける先行者利益は、プラットフォームに参入する企業が生み出すサービスの管理者になれることだ。

また、参入者にとっては、構築された環境をどれだけ早く攻略するかが求められる(例えば、仕様や規則の変更への対応)。これは、プラットフォーム内における先行者利益につながる。

ホームシェアリングで有名なAirbnbを活用し、サービスを展開しているBP社は、データに基づいたプライシングをSaaSとして提供している。対象はAirbnbだけでなく、Vacation Rentals(休暇用の家具付き部屋)も含まれ、世界各国の主要都市にあるホームが対象だ。

プライシングは自動化(機械学習)されており、価格算出の材料は、「曜日・季節・地域イベント」を主要な変数としている。また、毎日にわたるマーケットのリアルタイム分析もコアな技術。

デモページを見れば分かるように、価格構成が明示化されている点が、サービス利用の敷居を下げている(不動産の値付けは素人判断には難しい)。

どれだけオープンにできるかは、その企業の底力につながっている。なぜなら、模倣されることより、信頼されることを選択した勇気がそこにはあるからだ。

Keyword: 不動産IT、SaaS、ビッグデータ、機械学習

URL: https://beyondpricing.com

Biomaker Labs

一般的に、人間は人生の1/3を睡眠に費やしていると言われる。様々なアプリを使い、人間は自らの健康をコントロールしようとし、睡眠ももれなくその対象となっている(3.7兆ドルもの市場ができあがっているそうだ)。

BL社の提供するアプリは、睡眠に特化しており、ユーザーが使用する寝具やサプリ、医薬品、生活習慣などがどれだけ睡眠の質に貢献しているかを測定する。

睡眠時間はウェアラブル端末で記録され、アプリ内で貢献度を測りたい対象を登録、睡眠に関するアンケートに答える。それにより、対象がもたらす睡眠時間や質への影響が分かる。

BL社は、他にもダイエット、サプリメント、身体トレーニングなども効果測定している。

ユーザーはデータによる分析結果から健康と向き合うことができる。この点が、医者をはじめとした専門家からのアドバイスのみを頼りにする日本人への、健康意識の改革につながると思い、まとめに加えた。

Keyword: ヘルスケア、睡眠、アプリ

URL: https://www.biomarker.io

Biome Makers

Microbiome(マイクロバイオーム)という単語がある。微生物の集まり、あるいはゲノムや遺伝子の集合をいう。それは、例えば人体の腸や、土壌といった分野で研究が進んでいる。

BM社はその技術により、持続可能な農業をコンセプトとしたビジネスを展開する。WineSeqは同社が始めたプロダクトの一つで、土、苗、発酵菌などをオンラインショップで販売している。

ユーザーが持つブドウ園の質を測定し、マイクロバイオームによる効果を試算する。種苗はDNAシークエンシング(遺伝情報解析の一手法)と人工知能により、複雑な微生物学上のデータが計算される。現在は、3000種以上がデータベースに登録されており、ユーザー数は900、18ヵ国の地域で広まっている。

BM社のサービスを利用すれば、同社のマイクロバイオームのコミュニティに入れる。サステイナビリティという一つの考え方に魅力を感じる層がいる。そのマーケットにあるポテンシャルへの期待を込めて取り上げた。

Keyword: 農業、バイオIT、バイオインフォマティクス(生命情報科学)、サステイナビリティ

URL: https://biomemakers.com

Butler Hospitality

旅行でも出張でも、ホテルの宿泊は特別なものだ。ルームサービスを頼めばいつもと違う時間を過ごせ、アメニティは普段と異なる生活を感じさせる。

しかし、そういった特別さは、ホテルにとって割高な出費となっている。高い人件費のわりに、注文数が少ないからだ。

そうした問題に着目したBH社は、ホテルオーナーに対し、食べ物(ルームサービスやケータリング)、アメニティの提供を行っている。注文するのは宿泊者で、電話、テキストメッセージ、Webから可能。また、支払いは宿泊請求書に付せられるなど、ストレスフリーとなっている。

BH社はニューヨークを拠点としているため、サービスも同エリアが中心となっている。日本へはまだ進出していない。日本で考えれば、例えばホテル女子会は進出しやすい分野になる。ホテル側が作る「ルームサービス特別プラン」みたいなものを考えてみても良い。

Keyword: ホスピタリティ、フードデリバリー

URL: https://www.butlerhospitality.com

Conichi

出張の多いビジネスマンにとって難儀なものの一つが、ホテルの受付。チェックイン-チェックアウトの段階にある部屋受付け、料金支払い等の手続は、ホテル側の都合であり、宿泊者の負担するところではない。

そうしたニーズにスポットを当てたConichi社は、モバイル端末一つで完結する仕組みを開発した。

宿泊者はチェックイン前に、Eメールで宿泊情報を送り、チェックアウトもフロントデスクに寄ることなく済ませられる。支払いは登録したクレジットカード等でデジタル処理され、請求書もデジタル発行される。

ホテルや企業にとっては、現代的な料金支払いシステムの導入となる。上記の宿泊者が受ける恩恵に関わる業務プロセス内の、人件費削減が可能となる。

こういったビジネスソリューションは、確かに改革的ではあるけれども、サービス提供者からしてみれば、テストモニタリングや導入実績を作るのが難しい。

Keyword: ペイメント

URL: https://conichi.com

今回は、9社を取り上げて終わることとします。続きは書き溜まれば、Part2を投稿します。お楽しみに。

以上。

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