
市民と行政の恊働による、まちの可視化
近年、公共機関がオープンデータの収集や活用に一般市民を巻き込み、よりよい社会づくりに役立てようという動きがみられる。
米カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto)では、スマートフォンアプリを通じ、「近所の壁に落書きがある」、「不法投棄を見つけた」など、緊急性の低い地域のトラブルを年中無休24時間いつでも、住民が行政機関に通報できる行政サービス「PaloAlto311」を2013年から実施。2014年5月には、このアプリを通じて住民から寄せられたデータをマップやグラフでビジュアル化し、ウェブサイトでの公開を開始した。「どの地域で、どのようなトラブルが起こっているのか」、「通報件数の多いトラブルは、どのような類のものなのか」、「通報があったトラブルのうち、行政機関が対応した割合はどれくらいなのか」といったことが常時可視化される仕組みとなっている。
一方、住民自身が街の現状をデータで収集し、行政機関と共有し合うことで、よりよい街づくりにつなげる試みとして、「NoiseTube」がある。2008年、仏パリのソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL Paris)で立ち上げられ、その後、ベルギーのブリュッセル自由大学(Vrije Universiteit Brussel)に引き継がれたこのプロジェクトでは、一般市民を巻き込んだ騒音モニタリングの研究に取り組み、街の騒音を録音し、位置情報を付加した上で、オンライン上に共有できるスマートフォンアプリを開発。行政機関のみに任せるのではなく、地域住民の参加によって、地域の騒音状況をくまなく可視化し、モニタリングできれば、騒音問題を抱える地域を素早く特定し、必要な措置を迅速に講じることができると期待されている。