2008年のポルシェ社ターボ・カブリオレの新モデル発1売時のキャンペーンは、これと似た事例だ。新モデル発表のタイミングで、既存のターボ・カプリオレのオーナーのもとに亥1印付きの未塗装のメタルプレートが送付された。ダイレクトメールには、各人に固有のウェブサイトヘのログインIDが記載されており、「最新のポルシェ911ターボ・カブリオレが、あなたのお好きな色で仕上げられるのをお待ちしています」とアクセスを誘引した。実際にサイトにアクセスすると、ユーザーは色を選んで自分好みのターボ・カブリオレのポスターをオーダーすることができた。このウェブサイトを活用したキャンペーン設計により、詳細なトラッキングが可能となった。サイトは2700件のユニーク。ログインを獲得、各セッションの平均滞在時間は15分にも及び、オーダーされたポスターの数は5670件にのぼった。また、キヤンペーンはロコミ効果も大きく、「友人にも案内を送る」機能は500回近く使われた(重要指標⑮の回コミ増幅係数[WOM]については第7章を参照)。キャンペーン全体の反応率は30%で、同期間のターボ・カブリオレ購入者のうち、このダイレクトメールを受け取った人の割合は38%にのぼった。約13万ドルという高額な商品特性と、忙しい企業の重役や弁護士、医師といった顧客のデモグラフイック属性を考慮すると、この反応率やサイト滞在時間は驚異的な数字だ。しかし、このダイレクトメール事例で特筆すべきなのは、効果測定を前提とした全体設計と、受け手の反応をトラッキングし、潜在見込み顧客の特定・抽出を実現する11手なウェブサイトの組み込み方だ。パーソナライゼーションを活用したデータ・ドリブン・マーケティングは、業績への貢献が大きく、かつ効果を測定しやすい。これは企業規模にかかわらず当てはまるものの、規模やリソースを考えると大企業の方が優位にあることは否めない。しかしながら、その優位性を生かせている大企業は、実際にはかなり数が限られる。(データドリブンマーケティング)
