ブルース・ブラザーズ

あまり見ない顔ぶれのキャスティングなので「低予算映画なのかな~」と思いながら見ていたら、ジェームズ・ブラウンの教会でのパフォーマンスに打ちのめされ、その後のアレサ・フランクリンの演技と歌唱力にも魅了され、虜になってしまっていた。ソウル・シンガーであるアレサ・フランクリンの演技の迫力は、一流の女優も顔負けじゃないだろうか。「その言葉 よく考えな 痛い目を見るよ」とか、こんな台詞がさらりと言える女性に一生を捧げたい。ただ、歌唱力も飛び抜けてるだけに、さすがに演技しながらの歌と踊りは口パクが丸わかりで、そこは演出に無理があったのではないかと思えた。

キャリー・フィッシャーが演じる主人公の一人の元婚約相手役も、この映画のテーマとは一切関係がないんだけど、かなりいい味を出していた。このキャラクターをはじめとして、パロディ部分はシュールかつナンセンスでいながら、やりすぎと思ってしまう一線のさらに先まで踏み込み、その真剣な取り組みぶりに、時には歌以上に感動するのだけど、後半になるとさすがに「予算をかけたくだらないギャグ」の一辺倒に飽きてしまうのが惜しかった。徹頭徹尾エネルギッシュなのはこの当時の映画にしかできないすばらしさだとは思うのだけど、「そこまでやるならわかったよ、お前の言いたいことはなんなんだよ」と映画の世界に感情移入しきった観客の興味に応えて、胸の内をさらけ出すようなシーンがあっても良かったと思う。例えば元婚約相手役とのエピソードなんかは、最後で、ベタになるのを恐れずに、主人公の本音を語っても良かったのに、結局はぐらかしてしまったことで、主人公が「芸に私情を挟まない本物のプロ」から「何考えてるのかよくわからないやつ」になってしまい、共感できなくなってしまった。後半の飽きもそこに起因してる部分があると思う。「結局前と同じなんでしょ?」と予想できてしまう。

それでも、大衆性を強く意識した、誰が見ても楽しめる映画になってるのは間違いないと思う。ミュージカル映画が苦手な人が見ても多分問題ないはず。あとエンド・クレジットでハリウッド映画では珍しい(少なくとも自分にはほとんど記憶にない)意外な「人々」の紹介があってちょっと胸が熱くなるのだけど、でもやっぱ映画って元々こうあるべき――配給会社の商品やペダントの教養、ましてやマスメディアに与えられたゴシップなどではなく、人間の持つ創造性の発露であって、そこに余すことなくスポットライトを向けるのは当然なのではないかなあと思わされる。

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