米国でのお金に関するリソース (1)

Keiichiro Ono
May 29, 2018 · 17 min read

Part 1: 総合情報サイトと関連サービス

Rev. 0.5 — Draft
CC BY 4.0

はじめに

この文書はもともと自分自身への備忘録として書いたものの再構成です。遅きに失した感はありますが、私は最近、引退後まで含めた長期のプランを考え始めました。運が良ければ、中年の私はまだ40年以上生きる可能性(リスク?)があります。ですから先の話と言えないこともないですが、こと各種資金調達に関しては、早ければ早いほど有利になることが先人により実証されているので、思い立ったが吉日で調べ始めました。これはその時に参照したサイトや本のメモです。私は調べて書くことにより、頭の中にある特定のトピックの全体像が整理される傾向があるので、今回このようにまとめてみました。少し調べると、かなりの数の便利な無料リソースが存在することが分かりましたので、あくまでメモですが、本稿が異国で慣れないお金の管理に悩んでいる在米邦人の方々の参考になれば幸いです。

問題の背景

米国、特にカリフォルニア都市部で引退する場合、夫婦で生活するのに必要な資産は日本円で億を超えるとも言われています。生活スタイルによってバラつきは生じますが、節約に血眼になって取り組む必要がない生活を目指すならば、この額はさらに膨らみます。これは主に高い不動産価格とそれに伴う税金(property tax)、そして高額な介護や医療費に起因します。ある統計によれば、引退後の医療費のみで通常25万ドルから30万ドル程度かかるのが現状です。

これは「日本で引退するのに必要な自前で用意する全予算はこのくらい」と言われている金額が、米国では医療費だけで消える計算になります。そして子供の数が多い場合は、日本とは比べ物にならない高い教育費もあり、人生で必要なお金はさらに多くなります。もちろんこの金額を貯金のみで貯められる人は稀です。さらに踏み込んで言えば、緩やかなインフレが続くこの国で、貯金だけで生きて行く道を選ぶのは困難です。

引退までに日本円で億を超える資産(不動産を含む)を構築するというのは、金額だけを聞くと一瞬ギョッとしますが、冷静に現在のカリフォルニア州の給与水準やインフレ率、一般的な金融商品の投資に対する長期でのリターンなどを考えると、ある程度専門的な仕事をしていて、かつ現時点でまだ若い方々ならば、引退時の資産の総額としては一定の現実味を帯びた数字です。私の住んでいる場所はシリコンバレーなどに比べれば幾分ましですが、それでも東京より居住費などが高い印象です。住居を賃貸にしても、2LDK(こちらでは「2ベッドルーム・2バス」と呼ばれるタイプのアパートです)が月に日本円で30万かかることは珍しくありません。したがってそういった高生活コストの場所に住む人々は、給与所得を元に、金融商品・不動産・各種税制をうまく活用して、何十年という長い時間をかけてこの問題に向き合うことになります。

ちなみに今、アメリカで資産百万ドルを超えている個人はおよそ20人に一人です。

http://time.com/money/5023038/millionaire-population-united-states-world/

カリフォルニア州では90万人近くが該当します。

https://www.cnbc.com/2018/02/07/states-with-the-most-millionaires-per-capita.html

これを多いと見るか少ないと見るかは意見が分かれますが、これは全米のすべての国民の平均なので、全米でも最も生活費が高い州の一つであるカリフォルニア都市部で暮らす引退者(すでに給与所得が無く、フローではなく主にストックで生きている人々)に限って言えば、この割合はかなり上がると思います。

問題への対処

こういった長期のお金に関する問題は、数学や計算機科学で言う全体最適化問題のようなものなので、まず問題の全体像を把握し、どのパラメータをどう弄ると全体にどう言う変化が生じるのかを、非常に大雑把な概算でいいので把握することが第一歩であると感じています。何も我々は職業でお金を扱っているわけではないのですから、厳密性よりも全体を俯瞰できる仕組みをまず構築することが最も重要です。そのために便利なリソースやソフトウェアが現在は豊富に存在します。

私は趣味としてアメリカ市場で長く株式投資を行ってきましたが、だらだらと長くやってきた割には、私には単純に株式を売り買いする以上の知識が完全に欠落していることに今ごろ気づきました。具体的にはタックスプランニングや、別のアセットクラスへの分散、私的年金制度との組み合わせなどの知識です。私のような偏った知識では、小手先の節約などすぐ無に帰すような大きな無駄が生じます。今はそれに対処すべく、足りない知識をなんとか補充しようと基本的な情報を収集している最中です。したがってこのメモに含まれる各種リソースは、レベルで言えば101、つまり日本語だと「はじめてのxx」と言うレベル感です。すでによく自分の資産を把握し、効率よく運用している方には得られるものは少ないと思われます。また、本稿はあくまでリンク集であるため、まとまりには欠けます。

私は職業柄、新しいサービスやテクノロジーが好きなタイプなので、リンク先もそう言うスタンスで収集してあります。ですから、伝統的な対面の仕組みを好む方には合わないかもしれませんのでご了承ください。

総合情報サイト

基礎的な知識を身につけるには、まず各種お金に関する基本的な情報が掲載されている総合サイトから見て回るのがお薦めです。税制から年金制度、不動産事情まで、日米では非常に大きな違いがあります。そのため、アメリカ生まれの人々なら当然知っているようなことも、我々のような外国人は意外と見落としていることが多々あります。従って、まずは以下のようなパーソナル・ファイナンスの基本情報をまとめてある、比較的若い世代に向けたサイトでの情報収集から始めるのがおすすめです。

ミレニアル世代と呼ばれる人々がアメリカの現役世代の中で大きなボリュームを占めるようになり、ネットが物心ついた時からあった彼らはオンラインでのサービスを好む傾向があるため、現在ではありとあらゆるお金に関するサービスやリソースがネット上に存在します。まずは、その中でも私が参考になったと感じたものを列挙してみます。

注意:

リンク先の情報の中身については、必ずしも全て最新というわけではないので、必ず最終的な判断を下す前に専門家に相談したり、役所の公式文書に当たることが大切です。無料リソースは便利ですが、時には有料のサービスで専門家の知識を買うことも検討してください。

日本語の個人ブログ

日本人女性のFPの方が、日本語でアメリカのお金にまつわる様々なことを書いておられるサイトです。まずここを読むと、自分がアメリカで生きていく上でどんな金銭の問題に取り組む必要があるのかを見渡せると思います。日本人には馴染みの薄い概念も多いので、私はまず最初はここで各種用語を勉強しました。全体を構成するパーツ、すなわち投資、税、年金、不動産、保険がどのようなものかをまず把握し、そこから各種専門サイトや文献に当たるのが効率的だと思います。

著者の方は、時間単位でチャージする個人向けFP(コンサルティング)業をなさっているので、深く自分の経済状況の分析を求めたい方は、実際に分析を依頼してみてはどうでしょう。

ちなみにこの方は、日本在住者向けの本も書いておられます

https://www.diamond.co.jp/book/9784478103463.html

こちらは投資経験のない、日本在住者向けの本です。

こちらも同じく在米の日本人女性の方が作成している個人向け金融関連の情報サイトです。先述のサイトに比べると記事のタイトルやデザインが(最近の日本語ブログや実用書の流行に従って)やや派手で好みは分かれると思いますが、紹介されている各種オンラインサービスには便利なものも数多く掲載されています。ご自分で吟味して、自分に合うサービスを利用してみてはいかがでしょうか。

企業による情報サイト

税や投資、不動産などのカテゴリごとに基本的な情報がまとめてあり、さらにウェブベースのシンプルな計算機が用意されています。リタイアに必要な金額や、ローン計算、ソーシャルセキュリティーの見込み受給額などが計算できます。もちろん、各種前提条件が個人向けに細かくチューニングされているわけでは無いので概算ですが、大雑把な現状把握には便利です。各カテゴリごとにHelpful Guidesと言うセクションがありますが、そこ基本的な情報が集約されています。

ちなみにこのサイトは、ファイナンシャルプランナーの斡旋などで利益を得ているビジネスモデルのようです。

「オタクの財布」というやや好き嫌いの分かれるネーミングですが、要するにWebサービスやアプリで各種パーソナルファイナンス関連の情報を管理するのが好きな世代に向けたサービスです。先述のサイトによく似ていますが、こちらはローン業者の広告などが収入源のようです。各ローンや投資サービスのレビューはあくまで参考程度にしておいた方が良いですが、それでも傾向をつかむことはできるので、使ってみようと思うサービスのレビューがあれば読んでみることをおすすめします。こちらも、住宅ローンのシミュレーションなどの計算機が豊富に揃っています。

こちらはパーソナルファイナンスと、いわゆる生活の知恵のような記事が集約してあるサイトです。やや節約系の記事が多いので、上記の二つとはやや傾向が異なります。クレジットカードなどの情報は、おそらくスポンサー記事も入っていますので、そこは参考程度に。

会社自体は70年代から存在する、この分野では老舗で、各種ローンの金利をはじめ、返済シミュレーションや保険の情報などを中心とするサイトです。

  • the balance — https://www.thebalance.com/
    どちらかといえば若い世代に向けた、日常の節約から引退までを視野に入れたパーソナルファイナンス関連の情報サイトです。活発に内容をアップデートしているので、メーリングリストに入るのもお薦めです。

新聞社の個人向け金融関連ニュース

現在は、各新聞社ともにパーソナルファイナンス関連のニュースのまとめページが用意されています。意外ですが、日本よりもpaywallに阻まれていることも少なく無料で読める記事が多いです。

まとめ

ここに挙げたこれだけのサイトだけでもかなりの情報量で、基本情報部分だけでも全て読むのはかなりの時間がかかります。まずは自分の弱い部分(私ならば税金と不動産)を中心に読み進めると効率が良いはずです。ニュースに関しても、細かな経済ニュースを必死で追いかける必要はないですが、ある程度自分で投資関連の部分を管理する予定のある方は、定期的に眺めておくと良いかもしれません。

余談ですが、日本の類似サイト(例: http://diamond.jp/zai )がいわゆる「楽天メソッド」で、パチンコ屋やスーパーのチラシのデザイン手法を踏襲していますが、アメリカではそういったものはあまり好まれないようで、サイトのデザインにかなりの差異があることに気づきます。この辺りの好みの差も日米で比較すると面白いですね。

クレジットスコア関連

米国ではクレジットスコアが一般人の経済活動の一部を左右します。家を買うにしろ借りるにせよ、クレジットカードを作るにせよ、必ずこれが参照されます。このスコアリングのアルゴリズムは非公開であり、上がる・下がるのおおよその方向性は見通せますが、細かい部分は謎に包まれています。直接自分でコントロールできない数値に様々な人生のイベントが左右されるのはあまり気持ちの良いものではありませんが、アメリカで暮らすならば、こればっかりは諦めるしかありません。借金をしっかり重ね(借りないことは信用がないと見なされるので、借りるしかありません)、それを期日通りに返し続けないとこれが下がってしまい、色々な場面で不利になります。例えば車をリースしたり、家のローンを借り入れたりする時、これが一定の数値を超えていないとそもそも何もできません。ですからハイスコアを目指したくなる気持ちはわからないでもないですが、基本的には700点代後半から800点もあれば、ほぼベストな条件で各種金融サービスを受けられますので、それ以上あげるのに熱心になるのは無意味なようです。

普通に働いて、愚かな借金(高利で返せないようなもの)をしなければそう酷いことにはならないので必要以上に心配する必要はないですが、犯罪者にIDが盗まれて、なりすましにより点数が暴落するようなこともありますので、そこは注意が必要です。幸い、この数値の動きを自分でウォッチすることは可能です。そのために便利なアプリやサービスが無料で提供されています。

Credit Karma — https://www.creditkarma.com

基本機能はクレジットスコアのモニタリングです。TransunionとEquifaxのスコアと、そのスコアが算出されるのに使われたであろう各種要因がダッシュボードで確認できるほか、過去に持っていたクレジットカードのアカウント(閉じてあるかどうかも含めて)、確認することができます。さらに、他にも便利な機能が備わっています。

  • 自分が関わった流出事件のリスト
    - 大規模個人情報流出事件のデータベースを持っているらしく、該当する場合は、そのアカウントと紐付いた、流出したパスワードまで教えてくれます(一部は伏字になる)。
  • 自分の名前に紐づいた持ち主不明のお金のリスト
    - 名前をもとに、各州に保管されている持ち主不明のお金(もらい損ねた保険などのリファウンドやリベートなど)を検索し、オンラインで回収を申請できる

Credit Sesame — https://www.creditsesame.com/

こちらも同じようなサービスですが、ID盗難に対する無料保証がついてくるのが特徴です。

以下は一例ですが、クレジットカード会社のサイトでもFICOスコアの閲覧サービスが付随しているものがあります。

この辺りの日系の航空会社は、クレジットヒストリーの無い人にも比較的発行されやすいようです。日本に定期的に行かれる方で、スターアライアンス系を中心に乗っている方は検討されてはどうでしょう。

統合型パーソナルファイナンスソフトウェア

お金に関する長期目標を立てる場合、自分の資産と負債の全体像の把握が欠かせません。言い換えれば、簡易的でもいいので、自分の資産のバランスシートを常に追跡しておくことが重要になります。これを紙とペンでやるのは大変ですが、今は便利なオンラインサービスがあります。基本的に以下のサービスは、銀行・クレジットカード・投資口座などのオンラインアカウントに接続し、そこから得た資産や負債をダッシュボードで表示し、今後のプランニングに役立てるためのものです。無料で使えるサービスが多いのは、ユーザーから提供された情報に基づく分析を起点に、コンサルティングサービス(投資アドバイス)や、クレジットカードの申し込み、銀行のサービスの紹介などを行なっているからです。

以下のサービスは私が実際に使ってみたものですが、特に有料サービスの押し売り的なものもないですし、ソフトウェア自体も伝統的な銀行系のサービスより良くできていますのでお薦めできます。

統合ダッシュボード

Personal Capital — https://www.personalcapital.com/

この類のソフトウェアでは最も人気があるもののようです。銀行、投資、個人年金、クレジットカードのオンライン口座を接続すると、わずかな時間で、綺麗に可視化された個人資産のダッシュボードが構築されます。またその結果をもとに、現在の投資手法で引退までにどのくらいの資産に到達できるのか、また引退後のキャッシュフローはどうなるのかなどを簡単にシミュレーションできます。

非常にグラフィカルなソフトウェアなので、直感的に使えますから、ラップトップかタブレットで使ってみることをお薦めします。大きめの画面の方が多くのパラメータを同時に表示できるためわかりやすいです。

個人的には、ポートフォリオ管理ならばこれをお薦めします。

Mint — https://www.mint.com/

こちらも似ているのですが、どちらかと言うと家計簿的な機能が充実しており、支出の管理が得意なサービスです。設定すれば、定期的に今月の収支をメールしてくれます。クレジットスコアのモニタリングも含まれています。投資をあまり積極的に行っておらず、支出面を中心にお金を管理したい場合にはこちらが便利だと思います。

Status — https://statusmoney.com/

こちらも複数のアカウントを接続して、資産状況の推移を見渡せるソフトウェアなのですが、特徴的なのは、自分の資産状況や支出が、選択された母集団に対してどのくらいの位置にあるのかがわかる機能です。例えば、同じ地域に住む人々と比べて、自分が平均と比べてどのくらいの資産があるのかといったことがわかるようになっています。額を競うことに意味はないですが、同年代や同じエリアの人々と比較して、自分がきちんと引退資金が用意できているのかどうかを確認するといった使い方もできます。また、銀行の利率を自動的に比較して、より有利なセービング口座を提示したりするサービスも実装されています。

(余談ですが、各カテゴリのトップ1パーセントを見ると、そこに一桁違う富が集中していることが可視化されます)

銀行系

Simple — https://www.simple.com/

こちらは、基本的にはチェッキングアカウントのみ提供する銀行(正確には、提携先のBBVA Compass銀行のシステムの上に構築されたクライアント向けのウェブアプリケーション)なのですが、大きな買い物といったゴールを設定して、資金を別にプール(内部的なもので口座は一つのままです)したりすることが可能です。また、大手銀行で良くある口座管理手数料などもありません。あくまで銀行口座なので、その銀行でのお金のやり取りのみですが、名前の通り、シンプルにこの銀行発行のデビットカードを使って支出を管理したい方には便利です。

(後日Part 2に続きます。)

Keiichiro Ono

Written by

Research Associate/Software Engineer/Cytoscape Core Developer at UCSD. Data Visualization Japan Organizer. #visualization #bioinformatics #dataviz

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