米国でのお金に関するリソース (3)

米国での不動産と日米間の送金

Keiichiro Ono
Aug 6, 2018 · 11 min read

はじめに

米国の不動産事情は非常に日本のそれとは異なっています。したがって、私のような素人にはハードルが非常に高いです。不動産購入には、自分が住むためのものと他人に貸すものに分かれますが、私は各種オーバーヘッドを考えると不動産投資にあまり魅力を感じませんので、ここでは自分で住むための不動産について考えます。

不動産は自分にはまだ未知の分野で勉強中です。特に日本人にとっては、日本とは大きく異なる不動産事情に戸惑うことが多いです。米国の都市部では、特別なことがない限り、基本的に中古物件を買うことになります。そしてそれに自分で手を入れつつ価値を維持します。ですから、築40年ほどの物件は当たり前のように高額で取引されています。日本では、定期的に発生する都心でのミニバブルで、キャピタルゲイン狙いの投資をする方々もいらっしゃいますが、あくまで家の価格は下がるものという前提で買います。しかし、アメリカでの不動産は景気とともに浮き沈みする投資対象で、昔の日本で言われた「土地神話」のようなものがいまだに生きています。つまり自宅購入すらも一種の投資です。ただ、そこで大きく儲けようなどとは素人のうちは考えないほうが良いかもしれません。そもそも投資用物件と自分が住みたい家は異なりますので、自宅の場合は、自分の人生のステージに合わせて、損を最小化するというイメージで買う必要がある印象です。

また住宅所有による税控除もかなり大きく、賃貸派にはかなり厳しい国です。そもそも、小さな2LDKで月20–30万円ほど払わなければならないエリアも多いので、できるだけ多く、低金利で借金をして次々家を乗り換えるのが良しとされています。平均で6年ほどで住宅を乗り換えたり借り換えをする人が多いようです。

参考: https://better.com/content/no-cost-mortgage/

いくらまでの物件が無理なく買えるのか

不動産を買う場合、一億円程度のキャッシュがあれば別ですが、そうでない場合はまず借金の計画です。ご存知の通り、アメリカ国内でのデタラメな住宅ローン融資により、10年ほど前に世界経済が大混乱に陥ったのは記憶に新しいところです。そこから米国の人々も少しは学んだのか、ローンの融資基準はその頃に比べるとずいぶんと厳格になっています。したがって、まずは無理のない返済額を把握し、いくらぐらいの物件が買えるのかを把握する必要があります。こういったことを調べるのにも便利なウェブサービスがたくさんあります。まずはここからスタートします。そういったサービスは、いくら頭金が用意できるのか(一般的には物件価格の20%以上)、毎月の安定した収入はいくらぐらいあるのか、ほかに借金はいくらあるのか、などを入力していくことにより購入可能な物件の価格を算出してくれます。以下はその一例です。

https://smartasset.com/mortgage/how-much-house-can-i-afford

物件情報サイト

物件探しは、日本と同じくインターネットから始めることが多いです。現在はネットで多くの物件を検索することはできますが、最後はアメリカでもオールドスクールなエージェントと、ネットを好む層へ向けた新興企業との間の微妙な対立関係もあるようです。

Zillow: https://www.zillow.com/

不動産情報では大手サイトです。確かにたくさんの物件が掲載されているのですが、実際に利用してみたところ、ダミー物件がかなり掲載されていることに気が付きました。実際に問い合わせると、売る気がなかったり、「データの消し忘れ」と言って実際には売っていない物件がかなりありますので、そこは注意が必要です。その地域のおおよその相場を知るのにはいいかもしれません。

エージェントによれば、MLS(日本のレインズに相当)に近い情報だとのことですが、この辺りはどの程度の確実性を持ってそう言えるのかは素人の私にはわかりません。ただし、HOAなどの細かい情報までしっかりと掲載されていて、そのあたりの情報は正確です。

書籍

How to Buy a House in California
By George Devine; Ira Serkes; and Ralph Warner
January 2017, 16th Edition

カリフォルニアで初めて家を買おうとしている人に向けての基本的な情報が書かれています。もう家を買ったことのある人には得られるものは少ないでしょうが、全くの初心者である私はここから始めました。この本でも頭金の準備に一章を割いてあることからもわかるように、カリフォルニアでは非常に高収入の方以外は、数千万円の頭金を用意するのが多分一番ハードルが高いです。この本でも、例に出てくる物件が百万ドルを超えていたりするので、ご当地事情をよく反映しています。

Ultimate Guide to Home Repair and Improvement
by Editors of Creative Homeowner
August 31, 2016, Revised and Updated edition

家のメンテナンスの本です。基本的にカリフォルニアの都市部だと中古を買うことになりますので、ある程度家の構造を知らないと、自分で住宅のコンディションの可否の判断が全く下せません。もちろん購入に際してはインスペクターを雇うことになりますが、それでも全部業者の言う通りにするのは怖いと言う方は、こう言うのも読み、一定の理論武装をする必要があります。

頼れる! 海外資産―アメリカ戸建て投資のはじめ方
石原 博光 著
2017/1/17

ハードコアな専業日本人大家さんの買いた本です。この方は、自分でEB5申請してグリーンカードを取得しています(日本人ではとても稀です。これは、近年は中国人の富裕層が好んで使う投資家向けのビザです)。日本人がまず行かない、灼熱のカリフォルニア州内陸部で物件のフリッピングをして専業大家として食べている方です。ボロ屋(失礼)を現金で買い付け、自らも工具を持って現地の若干やさぐれた大工と一緒にリノベーションし、ワイルドなご近所さん(察してください)と渡り合い、最終的には収益物件にして貸し出すということをやっていらっしゃいます。読んでいて、臆病な自分は到底真似できないと思いました。凄い行動力に感銘を受けます。ですから、私のような行動力のない方が読む場合は、あくまで読み物としてどうぞ。実際のエージェントへのインタビューなどもあり、銃器を持った不法侵入者と対峙することもあるらしく、日本人の視点だとかなりの驚きです。ただし、アメリカの不動産事情に日本語で触れられると言う意味では、普通のホームバイヤーにもそれなりに参考になります。

ローン

50万ドルとか100万ドルを現金で全額用意できる人は流石に少ないので、多くの人はローンを組みます。そこで、ローンを契約することになるのですが、これも好条件を求めて、多くの人は業者同士を競わせます。いくつか見当をつけて業者に個別にコンタクトをとることも可能ですが、こういった用途にも最近はオンラインサービスがあります。

これはローン業者のメタサーチのようなもので、複数の業者から同時に相見積もりを取るサービスです。しかし、申請直後からメールと電話の絨毯爆撃にあいます。したがって私はお薦めしません。

ノンバンク系ローン会社

ノンバンクと言っても怪しいわけではなく、最近はこちらが主流になりつつあるようです。レートは多向け銀行系より良い数字を出してきます。ただし実際の融資を受ける場合は、担当者とやりとりして、その印象も含めて決めることが大事なようです。レートは判断材料の一つとして使うのが良いとのこと。こういった業者は無数にありますが、ここではよく広告を見かける新興のオンラインを中心に。

  • Better Mortgage: https://better.com/
    最低レート保証をうたう新興の企業。いわゆるフィンテック系に分類されると思いますが、例に漏れずサイトは綺麗に作ってあります。実際に働くエージェントの若さを心配する声もありますが、ちゃんと頭金を持っていて、かつクレジットスコアの高い人には評判が良いようです。つまり、特殊な調査が必要になるようなケースには向かないらしいです。
  • Rocket Mortgage: https://www.rocketmortgage.com/
    オンライン最大手で、Quicken Loans系です。レートはそれほど良くないですが、大手の安心感が欲しい人には良いかもしれません。
  • SoFi: https://www.sofi.com/
    こちらはソーシャルレンディングなども手がけるフィンテック系の新興企業。教育ローンや資産管理などもやっているので、そちらの既存の顧客の方は検討してみてもよいかもしれません。

本当にローン業者は無数にあります。貸し出し総額のリストなどから規模感を調べることはできますが、大きなところもスキルの属人性が高くて、一般論で語ることが難しいと聞きます。したがって、良いエージェントを見つけるのは、ある意味運の要素も大きいです。

日米間の送金

家の頭金を出すために、日本の口座に残してきたお金を含めて全てかき集めよう、と思う人は多いのではないでしょうか。特に一千万円以上の頭金を出すのが当たり前、場合によっては数千万円なことが多いカリフォルニア都市部での住宅購入では、有り金を全部集める必要のあるケースもそう珍しくないでしょう。日本から渡米前に貯めていたお金を送金する場合、為替レートは基本的に誰も正確に予想はできない(プロでさえも)ので、丁半博打の意味合いが強いですが、ある程度の時間をかけて、分散して送ればリスク最小化も可能です。

資産を二国以上に分散させることになる可能性が高い在米邦人には、国際送金の仕組みは重要です。メガバンクなどが今後どのように対処していくのかは分かりませんが、現状では低コスト国際送金はベンチャー企業の独壇場です。

Transferwise: https://transferwise.com/us/
国際送金に特化したベンチャーです。要するにこの会社は、各国の銀行にある程度の資金プールをあらかじめ作り、客からの送金依頼を従来の銀行間のシステム行うのではなく、振込下、振込先各国でのトランザクションとすることにより、国内での振り込みとして処理する仕組みを構築しています。このため、手数料や為替レートが銀行よりも良く、ロスが少ないです。非常に便利なので、今まで銀行の手数料が高いと思っていた方はぜひ使ってみてください。現在、グローバルアカウントは日本では作れませんが、今後対応する予定もあるようです。

仮想通貨による送金
ずいぶん前に仮想通貨を購入し、既に大幅なキャピタルゲインが出ている人はこれを使って送金するのも良いかもしれません。ただし、JPYやUSDを今からBTCなどに一旦両替して国際送金するのは、ボラティリティの高さから現実的ではないと思います。ギャンブルが好きな人にはこういう手法もあるということで。しかし現時点でこれを行った場合、国をまたいだ税務が悪夢になりそうな予感がするので、その点はご注意を。長期的には決済や送金手段として実用性を獲得する可能性もあるので、10年後くらいには現実的な送金手段となっている可能性もあります。

「お金の熟成」

ローンを組んで家を借りる場合、頭金の出所が厳しく精査されます。この時、日本からのお金があるといろいろと手続き上面倒なことになりますので、あらかじめ米国に送金し、数か月間全く動かさずにしておくことでこの煩雑さを回避することもできます。これをseasoningと呼び、通常は二ヶ月銀行口座から動かさないのが基本になります。二ヶ月一切動きのないお金は所有者のものとみなす、というルールがあるようです。貸し手によって異なりますが、一部90日を課すところもあるようです。

まとめ

カリフォルニアでは顕著ですが、非常に不動産価格が高く、取引の仕組みも全く異なるアメリカでの不動産取引は、多くの日本人にとって非常にストレスがかかる作業です。ただし(多くは英語ですが)現在は豊富な情報源がありますので、ある程度の長い時間をかけて、一つ一つ課題を解決していくしかないようです。とにかく、日本円で一千万円を超える頭金をちゃんと用意するところから始めるしかありませんので、まずそこから取り掛かりましょう。

Keiichiro Ono

Written by

Research Associate/Software Engineer/Cytoscape Core Developer at UCSD. Data Visualization Japan Organizer. #visualization #bioinformatics #dataviz

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