3Dプリンターで作った人工果物で輸送中の果物の温度を管理 スイスの研究者が開発
かつて、果物はその旬の季節にしか食べられないものでしたが、今は輸出入が盛んになり、先進国では世界中の果物がほぼ一年中、店に並んでいるようになりました。
食べたいときに食べたいものが食べられるというのは消費者にとって嬉しいことですが、痛みやすい果物の長距離輸送には適切な温度管理が欠かせません。しかし、果物の種類によって形や大きさ、果肉の成分などが異なるため、コンテナ内のすべての果物に適切な温度を保つことは困難です。このため、輸送中に果物全体の約1割が品質を損ない、廃棄されてしまっているそうです。もったいないですね。
こうした問題を改善しようと、スイス連邦材料試験研究所 (EMPA)は、温度センサーを内蔵した人工果物を開発中です。3Dプリンターで作ったプラスチック製の果物のレプリカは本物の果物と同じような熱反応特性を持つジェル状の物質で満たされています。人工果物の内部には温度センサーが埋め込まれ、輸送中の果物内部の温度変化を計測します。このセンサーを取り出してPCに接続し、データを分析します。
Fruits sensor (Image: EMPA)
(Image:EMPA)
画像は人工リンゴですが、EMPAではリンゴだけではなく様々な種類の人工果物を開発しており、果物の種類別に温度データを収集・分析することが可能です。また、同じ種類の果物でも、コンテナのどの位置に配置されたかでも冷蔵状況が変わって来ますが、それぞれのパレットに人工果物を入れておけば、より詳細なデータが得られます。
現時点ではまだリアルタイム測定は実現していませんが、将来的には輸送中の温度状況を追跡できるようにすることを目指しているそうです。センサー価格は1つ50ドルほどになる予定です。
参考:
Transportkette — Sensor soll Müll vermeiden (Deutschlandfunk)
Originally published at Sci-Tech-Germany.