クリエイティブで勝負する。

サイバーエージェントが歩んだ3年間

はじめに

こんにちは!サイバーエージェント19卒内定者エンジニアの @cia_rana です。

サイバーエージェントは、2016年4月に新たなミッションステートメントを発表し、その文言の一つに“クリエイティブで勝負する。”が追加されました。それから3年が経ち、サイバーエージェントはクリエイティブ領域においてどのような施策を仕掛けてきたのでしょうか?

クリエイティブとエンジニアリングの境界領域、特にエンジニアリングによるクリエイターの支援に興味があり、いろいろ調べている内にそこそこの量になったため、本記事では取り組みの一部をまとめてご紹介いたします(まー, つまり全て公開情報です笑)。

クリエイティブの定義

本題に入る前に、いま一度クリエイティブの定義について確認しておきましょう。

クリエイティブとは、一般的に“創造性”を表す形容詞です。しかし、サイバーエージェントの一事業でもある広告事業においては、クリエイティブのもう一つの意味として“広告制作物”を指すことがあります。そこで、本記事ではクリエイティブと言った場合、基本的には創造性を指すこととし、広告制作物を指す場合はその旨を明示します。

クリエイティブに力を入れ始めたきっかけ

インターネット業界では、年々クオリティの高いクリエイティブが求められてきていることはみなさんも肌感覚としてあると思います。サイバーエージェントもその例外ではありませんでした。藤田社長も「10年以上使ってきたAmebaのロゴをこのまま使い続けるのは古いんじゃないか」という懸念があったらしく、クリエイティブに本格的に力を入れ始める第一歩として2015年にNIGO®氏を率いてリブランディングを行いました。そのプロジェクトを発端として、新しいCAロゴやアベマ君、Ameba Sansフォントなどが生まれ、現在のサイバーエージェントがクリエイティビティにより力を入れている会社として社内外に認識され始めたように感じます。

デザイナーの執行役員登用

リブランディングプロジェクトに続き、2017年にはデザイナー出身の佐藤洋介氏(社内では親しみを込めて“シュガーさん”と呼ばれています)が執行役員に抜擢されました。佐藤氏は抜擢後(もちろん抜擢前もですが)、社内のクリエイティブ統括として、社長の手が届かない範囲を含むサービスのクオリティを担保したり、デザイナー・クリエイターの採用・育成を担っています。

社内制度

クリエイティブティを高める試みの一つとして、経営層とデザイナーの距離を近づける“サトウの日”があります。これは執行役員の佐藤氏が月一で直接現場のデザイナーに現状のサービスやプロジェクトの課題点をヒアリングし、その内容について社長と佐藤氏がディスカッションをするというものです。また、現場のデザイナーが直接社長とディスカッションをすることもあるそうです。これによって最終決定者との距離が近くなり、意思決定の速度を上げることが可能となっています。その他にも、クリエイティビティを高める施策として次のものがあります。

デザイナーロワイヤル

デザイナー同士が切磋琢磨するために生まれた施策で、社内サービスを対象に決められたお題に沿った改善案を持ち寄り、コンペ形式で採点・フィードバックを行います。改善案の優劣が如実に出るため、デザイナー同士がギスギスするのかと思いきや、普段から社内ではコンペ形式のイベントが頻繁に開催されていることに加え、コミュニケーション量の多さから、お互いの信頼の上に成り立っているそうです。

テクニカルクリエイターの育成

スマホアプリやWebコンテンツはよりリッチでインタラクティブなアウトプットが必要となってきており、デザインとエンジニアリングの両面を熟知し活躍できる人材が求められてきています。

サイバーエージェントではそのような職種として“テクニカルクリエイター”を新設し、積極的にテクニカルクリエイターの採用・育成を行ってきました。サイバーエージェントではこのテクニカルクリエイターの位置づけとして「デザイナーとエンジニアの中間ではなく、どちらかに軸足を置きつつ相手の職種までスキル領域を広げていける存在」としています。それは中間だけを担うとなると器用貧乏になってしまうため、あくまでもデザイナーまたはエンジニアとして十分なスキルを持ちつつ、その知見を活かしてもう片方の職種に対し良い影響を与えることが大切だと考えているからです。

サイバーエージェントでは、エンジニアリングを極めてきた人向けにデッサン研修を行ったり、デザイナー向けにiOSアプリを作るSwift入門研修を実施したりと、お互いの職種に対しスキル領域を広げるための短期の研修をテクニカルクリエイター向けに開催しています。

デザインセンター試験

WebリテラシーやWebデザインの基礎知識について自分が今どこまで理解しているのかを測るための筆記・実技試験です。ちなみに昨年の成績上位の方は、アメリカ ロサンゼルスで行われた“Adobe MAX 2018”への参加権が得られたそうです

個人的には社内のデザイナーだけに留まらず、Webデザインの勉強をしたい人みなが受けられたらいいのになーと思っています笑。

デザイナーが伸び悩まないためのスキル

デザイナーの井上氏が中心となって設計した、デザイナーが着けるべき27種類のスキル。その内訳は、新人がまず身に着けるべき基礎スキル9種類、中堅が目指すべき標準スキル9種類、リードデザイナーなど組織を率いてクリエイティブの価値を最大化するデザイナーのためのリーダースキル9種類です。目標設定や面談でのフィードバックをする際に利用されています。

CA BASE CAMP

全社のエンジニア・クリエイターを統合する“CA BASE”が中心となって開催している社内カンファレンス。事業部ごとに培ってきた知識や成果物を共有し、部署や職種を超えたコラボレーションを促進することで、サイバーエージェント全体の技術力・クリエイティビティを強化することが目的となっています。過去2018年と2019年の2回行われています。

採用活動

弟子入りクリエイティブ道場

現場のデザイナーのもとに2週間弟子入りし、現場の開発を経てポートフォリオに掲載可能な作品作りを目指すインターンシップ。週ごとに違う作品を制作するため、1回のインターンで2つの作品を制作できます。

ポートフォリオアドバイス会

学生さんがポートフォリオを持ち込み、イラストレーターや3DCGクリエイターが直接アドバイスする会。ポートフォリオを作成中の学生さんも社員が就活時代に使っていたポートフォリオを見られるので、勉強になる(と思う)。サイバーエージェントの採用ページから直接この会に応募することもできるが、Design Scrambleなどのデザイナー向けイベントでも積極的に行われているため、気軽に参加できる。

UI DESIGN ACADEMY

社内サービスの第一線で活躍するデザイナーや佐藤氏がメンターとなって、WebサービスやスマホアプリのUIを短期集中で学ぶインターンシップ。東京開催のことが多いですが、沖縄や箱根といった非日常的でインスピレーションが湧きやすそうな環境で開催されることもあります。

デザイナーJOB

一か月間、ゲーム事業部やメディア事業部に入り実務経験ができるインターンシップ。

子会社・合弁会社・プロジェクトチーム

サイバーエージェントでは広告制作物としてのクリエイティブ向上のためにここ3年で様々な子会社・合弁会社・プロジェクトチームを立ち上げてきました。

CA ABEJA

2018年4月に広告クリエイティブ自動生成システムの研究開発および、広告接触から実店舗での売買までをワンストップで分析可能なSaaSの研究開発・販売を行うことを目的として、サイバーエージェントと株式会社ABEJAが共同出資して設立した合弁会社。先日、“ABEJA Platform”上で動作する広告クリエイティブ画像の効果予測を行うモデルを開発し、SaaSとしてサイバーエージェント内で運用し始めました。

Ca Design

2018年7月にブランド広告企業(企業のブランドを広告する企業)向けに高品質で広告効果の高いクリエイティブを量産するシステム開発を目的として、サイバーエージェントと株式会社アマナデザインが共同出資して設立した合弁会社。

CYPAR

サイバーエージェントとPARTYにより2018年7月に設立された合弁会社。広告だけでなく、映像や音楽、工芸、建築、アートなど広義のモノづくりを行うクリエイターとAIが共存するクリエイティブプロセスを提供します。クリエイターの使うツールや思考を支援し、クリエイターがより“創造”に注力できる世界を目指しています。

AI Lab

機械学習や、コンピュータビジョン、自然言語処理、ヒューマンコンピュータインタラクションなどを専門とする研究者が、広告を取り巻く様々な課題を定義・解決する研究組織。特に広告クリエイティブにおいては、機械学習を用いた制作、配信の解析・支援を行っています。社内の事業部や社外の研究組織とも共同研究しており、さらにその研究成果を論文にまとめて対外発表しています。

また今年2月には、三次元CGの広告活用を見据えてCGの最新技術の実装および作成の効率化・自動化に特化した“CG R&Dチーム”が設立されました。

AVATTA

大量のカメラにより多方面から撮影された写真を使用して3DCGモデルを構築するフォトグラメトリを専門とする会社。2018年4月にサイバーエージェントの完全子会社となりました。

多忙で時間がとれないタレントさんのCGモデルをあらかじめ作っておき効率的に広告を作成したり、大規模な建物や地形の3Dモデルをドローンを駆使して構築したりしています。

AIクリエイティブセンター

機械学習により効果的と判断された検索連動型広告のタイトルおよびディスクリプションの大量生産を行い、さらにそれらの入稿、差し替え、レポートまでを一貫して行うサービスなどを提供しています。

個人・研究室とのコラボレーション

詳しい説明はリンク先に譲りますが、まとめてご紹介。

その他の施策

Creative Note

社外の方に、サイバーエージェントのクリエイティブの現場をもっと知ってもらいたいという思いで制作された。

家族向け社内報 CyberAgent20周年誌

社内のクリエイター9人が中心となり作成した家族向け社内報。“社員の家族が会社のことをもっと身近に感じて欲しい”、“サイバーエージェントの20年の歴史を振り返るものではなく、20年間の挑戦の証であり、それを糧にこれからもより挑戦し続けていく”という思いで作られた。

CyberAgent CREATORS

サイバーエージェントの数多くのクオリティの高いサービスを生み出すクリエイター・デザイナーが働くありのままの姿を2分の動画に凝縮した。

おわりに

今回サイバーエージェントが3年間で取り組んだクリエイティビティに関する取り組みについて紹介しました。こうしてまとめることで、バラバラになっていた施策のピースが繋がり、本記事がサイバーエージェントのクリエイティビティに対する姿勢や本気度が伝わる一助となれば幸いです。