プロクラマブル家庭料理のススメ

Tsutomu Kawamura
6 min readDec 26, 2015

おうちゴハンでは、作り手と食べ手が同じ(か部分集合)なので、基本的には次のフローでことが進みます。

  • したごしらえ > 調理 > 配膳 > 着席 > 食事

食事の前に、調理がすべて完了していることが前提になっています。これはこれで良いのですが、全部の料理を同じタイミングで仕上げるのは結構タイヘン。もちろん、一品か二品の食事なら大したことはないけれど、品数とともに難易度が上がります。

  • 冷菜が多くなりがち
  • 仕上がりタイミングをそろえるのが難しい
  • 全部並べるのに一苦労…

など。かといって、レストランのようにコース料理にすると、誰かひとりはサービングに徹しないといけないので、家庭向きではなさそうです。家族や友達と一緒にテーブルを囲みたいのに、料理を作った本人が同席できないなんてイヤですよね。

ロボットにやらせよう。

そこで、ロボットに調理を手伝ってもらうことにしましょう。開始から15分、30分の時間差で調理を終えてくれたら、きっと「うち食」でもゆったり食事を楽しめます。

2015年現在、残念ながら、汎用人型ロボットは一般化されていません…。でも、自動調理機器は発達してきました。

  • A: 電子レンジ + オーブン
  • B: 炊飯器 / 自動圧力鍋
  • C: 自動クッカー / スロークッカー

電子レンジ(オーブン)の自動っぷりは、日本の文化かもしれません。その辺の料理本よりもよっぽど充実したマニュアルが付属して、50以上のレシピを提案してきます。我が家のオーブンも栗原はるみ監修云々って書いてあったはず。炊飯器も、炊き込み御飯からはじまって、蒸しパンや、およそ「炊飯」と関係ない料理がうたわれています。

自動クッカーの歴史は案外旧く、欧米では家庭用でも1970年代にはスロークッカーというジャンルが成立しています。もとは単に長時間温めてくれるだけのものでしたが、最近ではかき混ぜ機能のついたモデルもあります。国内でも、今年11月にSHARPから「ヘルシオ ホットクック」の名称で、無水調理ができるモデルが出て注目を集めました。これらを使うと、今まで鍋に付きっ切りの必要のあった、カレーやシチューも機械任せで構いません。

せっかくのこれらの「ロボット」。キッチンで活用しない手はないはず!

わざと時間差で自動調理

自動で調理してくれるとはいえ、一台で作れるのは基本一品です。そこで、これらの調理機器を組み合わせて、厨房チームを結成しましょう。たとえば、今回のクリスマスはこんな感じでした。(「私」と書いてますが実際には友人も参加)

  • 炊飯器: メインの詰め物(※1)担当 (−30分)
  • : サラダ担当 (±0分)
  • 保温調理器(※2): オニオンスープ担当 (±0分)
  • ロースター: 前菜の焼き野菜担当 (+15分)
  • 自動クッカー: ビーフシチュー担当 (+30分)
  • オーブン: メインのローストチキン担当 (+45分)

補足: ※1 もち米と野菜の炊き合わせ、※2 要はシャトルシェフ

カッコ内の時間は、各担当の締切…もとい仕上がりタイミングです。±0分が食事開始時刻なので、サラダとスープは定刻に出来上がっていて、あとは順次出来上がり。配膳は、同席の家族や友達に頼んでもよいですね。

ちなみに、「ロボット」的ではないですが、保温調理器も心強い味方です。1,2時間は高温を維持するので、基本ほっといてOK。おかわりのときも温かいままなのが嬉しいポイントです。

食事前が慌ただしくない

パーティー料理をつくったことがあれば、食事前の修羅場を知っていますよね? 楽しむどころか乗り切るだけで大変なあの時間を、ロボット達に任せてゆったり過ごしませんか?

30分前には前菜をオーブンに入れて、サラダも出来上がっていたので、実際少し暇を持て余したくらいでした。ゲストがいるのであれば、席に案内しつつ、飲み物でも用意しているとちょうどよいかも。

「料理をする」から「下ごしらえをする」へ

だんだん分かってきたのですが、今までの料理の感覚でやると、うまくいかないポイントがあります。作りきるところをゴールにすると、どうも失敗するようです。自分の役割を「下ごしらえ」までに限定してください。あとは終始「ロボット任せ」の気持ちでいないと、細かいコントロールをしたくなりがち。

下ごしらえまでであれば、料理を複数の「ロボット」たちに振り分けるのもそれほど難しくはありません。何時にテーブルに出したいのか、自動調理の時間は何分なのか、それだけ分かれば計画が立てられます。

料理に慣れている人ほど、並行処理をすることに慣れてしまっていると思いますが、機械任せにする場合、準備に限って言えば「直列」作業です。もちろん、スイッチを押した後は、機械たちが並行処理してくれるのですが…。このあたりの感覚の切り替えが、案外むずかしいかもしれません。

プログラマブルな料理

ロボットたちに、どんな順番で調理を任せるかを考えることは、プログラミングに似ています。次の順番で、料理を出したかったらどうしたら良いでしょうか?

  1. スパゲッティ (±0分)
  2. スープ (+10分)
  3. ローストポーク (+20分)

例えば、60分前に下ごしらえをして保存調理器にスープをセット、30分前にローストポークをオーブンにセット、10分前にお湯が沸くようにタイマーをセット、10分前になったらパスタを投入しつつ、パスタソースを作り始め、時間ぴったりに盛り付け。その後はできた順にいただけばOKです。

応用技で、出勤前にセットして帰宅時に料理が出来上がるというのも有効ですね。

まとめ

「ロボット」(自動クッカーや電子レンジ)のおかげで、料理のフローは変わりそうです。

  • 下ごしらえ > 調理 > 配膳 > 着席 > 食事
  • 下ごしらえ > 調理指示 > 着席 > 配膳 > 食事 > 配膳 > 食事….

前者から後者に。いつの間にか、お料理はこんなに「手が抜ける」ようになっていたんですね…。

ひとりやふたりだと、ついつい料理をしなくなりがちです。でも冷凍食品や「ロボット」を活用すれば、以前よりも簡単に料理できます。場合によってはお惣菜を買ってくるより楽かもしれません。「うち食」を改めて考え直そう、と思ったクリスマスでした。

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Tsutomu Kawamura

A programmer. A product designer at Librize. I opened OpenSource Cafe in Shimokitazawa (Tokyo) in 2011. Now building the second place in Shiratori (Chiba).