黄金の狒々/Mandrill “Lord Of The Golden Baboon”

マンドリルはパナマ出身のファンク兄弟バントである。

日本でもっとも知られたマンドリルのナンバーは、アントニオ猪木の入場曲で有名な“Ali Bom-Ba-Ye(マイケル・マッサーとの共作。元々は映画『アリ・ザ・グレイテスト』のサウンドトラックに収録)”だろうが、本来はWARやEW&Fなどに通じる正統派大所帯ファンクバントで、レパートリーの大半は歌モノである。

『ソウル・トレイン』出演時の勇姿を観てみよう。

マンドリルというバンド名の惹起する、期待を裏切らない、盛り上がること必至の、ゴキゲンなチャカポコグルーヴだ。


私がマンドリルを知ったのは今から数年前、発掘現場の休憩中にタローちゃんが昔のミュージック・ライフを持ってきた(彼は古本屋のワゴンから旧い雑誌を漁ってくるのが趣味だった)のを作業員数人でながめていたのだが、ML誌の広告ページに、写真に示した“IS”のジャケットが掲載されていて、「いったいどんなバンドだろう、どういうサウンドなんだろう」とみんな興味を惹かれたものだ。一曲一曲には邦題もついており、とりわけ注目の的となったのは、「黄金の狒々」というタイトルだった。

「これ、マンドリルだから名前に引っ掛けて『狒々』なのかな?」

「さあ、原題が分からないからなんとも言えねえな」

「城山三郎の『黄金の日日』をもじっているのかしらん?」

「あー大河ドラマの。松本幸四郎が主演した……」

「当時は市川染五郎だったんじゃ?」

「待てよ、この雑誌、73年に出ているやつだぜ。あれが放送されたのは、もっと後(註:78年)だった」

「となれば、これは番組のタイトルを先取り……いや予見していたとも取れる」

「うむ。城山三郎が、マンドリルのアルバムにインスパイアされた可能性もないとは言えまい」

ンな訳ないのだけど、まぁそういう駄弁りで過ごすのが気怠い現場の昼の憩いのひと時だったのだ。

その後、松っつんの調査により、マンドリルというバンドの概要が判明、さらに「黄金の狒々」の原題が、“Lord Of The Golden Baboon”(ほぼ直訳じゃん!)であると知ることになるのだが、あの夏の日、暑い盛りのテントの下で、粒子の粗い広告写真をながめながら、各自がイメージした「黄金に輝くヒヒのテーマソング」は、実際の音楽よりも神々しく頭の内に鳴っていたに違いない。

(ここでYouTubeの画像を貼るのは止す。どんな曲だか想像してみてほしい。なおスマフォでは観られないがパソコンだと観られる。)


では何故、今ごろになってマンドリルのことなんかを思い出したかと言うと、先日手に入れた福岡史朗のニューアルバムのタイトルが、“SPEEDY MANDRILL”だったからです。


早く感想を書かなくちゃと夏休みの宿題が終わらない子どもみたいに焦ってるんだけど、なかなか考えがまとまらない。

マンドリルの話から始めようかなと目論んでいたんだけれど、まくらにするには余剰がありすぎる。

なのでスピンオフな記事でお茶を濁した次第です。鰯(Sardine) 2017/08/05

追伸:8月10日に宿題を済ませました。

併せてお読みください。鰯 2017/08/16