Compass CEOから従業員への年頭所感メッセージ 要約&解説

テクノロジー仲介会社として評価額5,000億円に到達し、未上場ながら一時はZillowを抜き去り全米でもっとも時価総額の高い不動産企業に躍り出たCompassについては、これまで何度も触れてきました。

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今回はいつものビジネスモデルや戦略の解説とは趣向を変えて、CompassのCEO(Robert Reffkin)が2018年の振り返りと2019年の展望について従業員に送ったメール(日本で言うところの年頭所感)を軸にまとめたいと思います。

というのも、トップ本人の赤裸々なメッセージから、これまで推測や噂ベースの話が多かったCompassのリアルな内情をうかがい知ることができるからです。

また創業わずか6年で、世界が注目するユニコーン企業を築き上げた起業家が、普段何を考え、何を発信しているかが生々しく伝わるので、経営論的にも興味深い内容になると思います。

メッセージは、
・2018年の成果
・2018年の反省点
・2019年の展望

の三章で構成されています。

手紙の全文はむちゃくちゃ長いので、冒頭に要点と解説をまとめました。それさえ読めば概略はつかめます。
(せっかく英語の宿題ばりにがんばって翻訳したので、興味ある人は下の方の本文も流し読みしてみてください。より生々しさが伝わると思います。)

2018年の成果:「 事業の急成長」「人材・プロダクトの拡充」

【要点】
①展開エリアが37都市から122都市へ拡大
②年間売上が$370Mから$900Mに増加
③取引高が全米6位から3位へランクアップし、全米最大の独立系仲介会社に
④ 仲介会社10社を新たに買収
⑤エージェント数が2100人から8000人に増加
⑥ 社員数が477人から約1500人に増加(応募数132000人に対して合格数は1020人だったため、ハーバード大学入試よりも競争率が高い)
⑦名だたる企業のトップタレントを幹部として数多く採用(Google, Amazon, Facebook, Microsoft, Spotify, Square, Goldman Sachs, McKinsey)
⑧ CRMやEメールツール、Facebook広告ツール、スマート看板といった新しいプロダクトをリリース
⑨エージェント向けに新たに$250Mの投資を行うことを決定
⑩ 成約数に応じて地元NPOに募金するCompass Careを立ち上げ
⑪ダイバーシティに注力しており、女性比率は従業員数と昇進数で50%以上、マネージャー数で46%に到達
⑫8ヶ条の行動指針「Compass Entrepreneurship Principles」を導入。(大志を抱く/スピーディーに動く/現実から学ぶ/ソリューション志向/機会を逃さない/エゴを捨てて協力し合う/強みを最大限生かす/情熱を持って立ち直る)

【解説】
以前にも指摘したとおり、Compassは実際にテクノロジーを開発する前から「テック企業っぽい」ブランディングで資金調達を行い、その資金を使ってトップエージェントを採用してきました。
2018年はそれがまさに花開いた年で①~⑥にあるような規模の急拡大には目を見張るものがあります。

それと同時に、言葉は悪いですが「中身がないままエージェント数だけ伸びていった」という側面もあり、2018年は後追いで中身を伴わせる作業を行った一年でもあるようです。
優秀な社員を採用したり(⑥⑦)、エージェント向けのプロダクトやサポート(⑧⑨)を拡充することで、採用した大量のエージェントに期待に応えるだけの価値提供を図っています。

Compassの採用ページより。全職種で194、エンジニアだけで25のポストを募集中で、今も積極的な採用を続けている模様。シアトルにも開発拠点をオープンしており、これは完全に現地に本社のあるZillowやRedfinのエンジニアを引き抜くのが狙いだと思われます。

2018年の反省点: 「採用メッセージと実態の乖離」「企業カルチャーのひずみ」

【要点】
①十分なテストを行わずシステムをリリースしたためバグが多くエージェント業務に支障をきたした
②「Powered by Compass」の実験を開始したが、競合他社に自社システムをライセンス提供することにエージェントからの支持を得られなかった
③エージェント向けに健康保険プログラムを開始したが、保険会社側から提供を断られるケースが頻発してしまった
④仲介会社買収後の統合がうまいくいかず軋轢が生まれてしまった
⑤採用ミスによって企業カルチャーに悪影響を及ぼしてしまった

【解説】
アメリカには「Bait and switch」という言葉があります。
Baitとは餌のことで「餌に食いつかせてから別のものにすり替える」というニュアンスから、マーケティング上のメッセージと実態がかけ離れてるときによく使われます。(一言で言うと、誇大広告とかおとり商法でしょうか)

前述のとおり、中身が伴う前に規模が成長してきた歴史を持つCompassにとって、一番怖いのは「Bait and switch」という風評が広まることです。
そういった観点で①②③のようなトラブルのダメージは大きいです。

Compassに入社するようなトップエージェントは、自分流の仕事の進め方を確立しています。
それをわざわざ変えてまでCompassのシステムに移行しようとしたのに、バグが多くて使い物にならない(①)。ようやく使い慣れてきたと思ったら、それを競合に提供すると言い始める(②)。

こういうことが起きてしまうと「Compassのテクノロジーを導入すれば売上を伸ばせると聞いていたのに、これじゃ話と違うじゃないか!」という話になりかねません。

③の健康保険は実にアメリカらしい話です。
ご存知のとおりアメリカは国の健康保険制度が破綻しているので、勤務している会社を通して保険に加入して団体割引を受けるのが一般的です。
しかし、不動産エージェントのほとんどは正社員ではなく個人事業主なので、こういった会社経由の加入ができず、個人で高額な保険に入らざるを得ないのです。

こうした課題を解決するために、Compassが個人事業主のエージェントでも加入できる独自の健康保険プログラムを発表したときは、熱狂的に支持されました。
それだけに、結局その保険に入れなかった人たちの落胆も容易に想像できます。

④⑤はCompass特有の課題というよりは、会社が大きくなる中で少人数でやってきたときのようなカルチャーを維持するのが難しくなってくる典型的な「成長痛」といったところでしょうか。


アメリカでは従業員からの訴訟リスクが大きいため、企業のトップが非を認めることは珍しいです。
ここで注目するべきなのは、個別にどんなトラブルが起こったのかということより、なぜこのようなメールを全社員・全エージェントに送るにいたったのかということです。

ポジティブな言葉を並べて周りを鼓舞する一般的な経営者メッセージやり方よりも、こうした反省の弁を述べて真摯な姿勢を示さなければならないほど、内部はゴタゴタしていて空中分解しないよう経営は躍起になっていると考えるのが自然でしょう。

「Powered by Compass」モデルを発表したカンファレンスの様子(2018年7月)。この2週間後にこの事業は撤回されたが、今回のメッセージで初めてCompassからその裏側が説明された。

2019年の方針: 「既存ビジネスの深掘り」「ユーザー側への挑戦」

【要点】
①エリア拡大よりも既存エリア内でのシェア拡大
②買収した仲介会社の統合(PMI)
③エージェントに対する自社テクノロジーの利用促進(半数以上のエージェントへの導入が目標)
④ユニーク物件の掲載を軸にしたユーザー集客
⑤売上高10億ドル(AmazonとGoogleからわずか1年遅れ、Facebookと同じペース、Airbnbより3年早く、SalesforceやNetflixよりも4年早い)

【解説】
一つめのポイントは、①②にあるように規模の拡大よりも既存のエリア・グループ会社の深掘りを目指すと宣言している点です。
・十分に大きな規模に成長し、それに伴う痛みも出始めている
・おそらく既存エリアだけでも先行投資によって相当な赤字を垂れ流している
・すでに主要な都市は押さえており、これ以上小規模なマーケットに進出して固定費を抱えても投資対効果が悪化する一方
・そもそも会社のビジョンとして「2020年までに全米トップ20都市で20%のマーケットシェアを獲得する」を掲げている
といった点から理に適った意思決定だと思います。

二つめのポイントは、テクノロジー利用促進の目標をMajority(=過半数・大半)に設定している点です。裏を返すと現状のCompassの業務支援システム利用率は半分にも満たないとうことです。
以前より、
・エージェントは自分流のプロセスを変えることを嫌う傾向があり、実際にはテクノロジーではなく金銭的に魅力的なオファーに惹かれてCompassに入社している。
・そのためCompassの本質的な成長ドライバーは「テクノロジー」ではなく「ベンチャーマネーで武装した古典的な仲介会社戦略」
と指摘してきましたが、今回のファクトはそれを裏付けています。

※念のためですが、この手法の良し悪しを論じたいわけではなく、パブリシティ情報からは見えてこない現場の肌感覚をお伝えするのが目的です。
登り方はどうであれ、⑤にあるように創業7年目にして年商10億ドルの金字塔に到達するのはすごいことですし、Compassという脅威よって不動産業界の進化が加速しているのも事実です。

最後、三つめのポイントは、これまでエージェントへの価値提供から山を登っていたCompassが初めてユーザー側にも舵を切っていくことを宣言した点です。

そのための手法をユニーク物件と宣言していますが、これには二つの意味合いが考えられます。

一つは、厳密な意味でのユニーク物件で、自社サイトのみ掲載するためにMLSへ登録をせずに販売活動をする(=脱MLS)物件のことです。

REX$45Mなど4社が続々と資金調達。スタートアップ仲介会社が狙う脱MLSとは?
Zillowの本気で加速するiBuyer戦争。対峙するOpendoorの秘策とは?
で解説したように、ディスカウント仲介会社やiBuyerといった新しいプレイヤーがこの脱MLSを志向しているのと同じ戦略です。

ただし、個人的には以下のような理由から、これをメインの成長戦略にしていくのは難しいと考えています。

・そもそも脱MLSを通して「エージェントの中抜き」を志向するディスカウント仲介会社やiBuyerと、「エージェントの価値を最大化」を志向するCompassは根本的な思想が異なる
・抱えているのは王道ど真ん中のエージェントたちでMLS運営団体とのつながりも深いので、脱MLSのような邪道なやり方を受け入れない
・物件売却を表沙汰にしたくない有名人や富裕層以外は、MLSを使って販路を広げることを望む

内々ではエージェントにMLS登録をしないよう促しているようですが、今のところはそこまでユニーク物件は増えていないようです。(例えばサンフランシスコ市内のMLS登録物件は960件ほどで、ユニーク物件は17件)

compass.comの実例。「PRIVATE EXCLUSIVE」のマークがついているのはMLS登録することなくCompassにのみ掲載している物件

もう一つの可能性として考えられるのは、少し広義のユニーク物件になるのですが、Coming Soon物件です。

Coming Soon物件とは、自社で保有している、もしくは仲介を担当している物件について詳細情報を握っている利を生かして、MLS登録よりも少し早く自社サイトに掲載する物件のことです。

本当の意味でユニークなのはMLS登録までの期間限定ですが、ライバルよりもいち早く物件を見つけて準備を進めたい本気のユーザーにとっては、それでも価値があるコンテンツです。

脱MLSによる本当の意味でのユニーク物件とComing Soon物件のちがい。(厳密にはCompassはユニーク物件とMLS物件を両方載せてますが、いずれMLSから指摘が入ると思います。)

Compassは多数のトップエージェントを抱えており、彼らは多くの売却物件を担当しているので、自社の強みを生かせる合理的な戦略です。
最終的にはMLSを使うわけですし、Coming Soon物件の掲載は認められているのでMLS側からの反発も避けられます。

仲介会社ではない多くのポータルサイトはこのComing Soon物件は掲載しようがないので、これを武器に後発ながらユーザー獲得競争に挑もうと考えているのだと思います。

実際に先ほどのサンフランシスコ市内を例にとると、MLS登録物件960件に対してComing Soon物件197件と相当なボリュームがあるので、ユーザーが他社ポータルではなくCompassのサイトを使う理由に十分なりえます。

compass.comの実例。上位の表示物件はどれも「COMPASS COMING SOON」となっており、MLSに登録されるまでの期間はこのサイトにしか載っていないことになります。

年頭所感メッセージ全文翻訳

ここから先はCompassのCEOであるRobert Reffkinから全従業員・エージェントに送られたメール全文の翻訳です。

私は毎年年末になると大切な人たちに連絡をとるようにしています。かつては手書きで1000通以上にのぼるクリスマスカードを毎年書いて、どれだけその人たちのことを気にかけて、付き合いを大切にしているを伝えるようにしていました。毎年8週分の土日を費やしましたが、私にとってはそれだけの価値のあることでした。
それと同じ気持ちを、今日みなさんに送るこのEメールに込めています。忙しすぎたり未来のことを考えることに集中しすぎるあまり、一瞬だけではありますが、自分の周りの人への感謝の気持ちを忘れてしまうことがあります。
だから年末には少し足を止めて、助けになってくれた人たちとの一年間を振り返るようにしているのです。私はCompassファミリーの全員を気にかけています。みなさんはいつも私に刺激をくれますし、新しいことを学ばせてくれます。
新しい一年に向けて、一緒に去年のことを正直に振り返りたいと思います。
今、妻と娘たちは寝ています。一人でパソコンの前に座っていると、今年を象徴する2つの物語が思い浮かんできます。
一つめの物語は、誰もが達成不可能だと思った目標を達成し、信じられない成長を遂げたことについてです。
二つめは、社員と会社が想像以上に早く成長した結果、私たちが学んだことです。2018年を通して信じられないほどスピーディーに行動した結果、ミスを犯し困難に直面したこともありました。しかし、それらの出来事を通して私たちは学び、改善することができました。
そして三つめの物語は2019年、会社にとって7年目の物語です。
私はこの物語を紹介するのを待ちきれませんが、まずは一つめの物語から始めさせてください。
2018年の一つめの物語: 驚異的な進歩と成長
2018年は会社が急速に成長した一年でした。私たちの強みを最大化するべく、かつてないほど高い成長目標を掲げました。
達成した数字そのものも素晴らさに加え、新たにCompassに入った才能豊かな社員たち、エージェントへの提供価値の拡大、企業文化をより強固にするための継続的な取り組みによって、会社のいたるとこで驚くべき成果がありました。
まずは数字の紹介から始めます。
2018年にCompassはこのように成長しました。
 市場は37都市から122都市へ
 全米トップ20の市場のうち10都市から全20都市へ
 オフィスは62ヶ所から238ヶ所へ
 累計調達金額は$755Mから$1.2Bへ
 取引総額は$15Bから$35Bへ
 売上は$370Mから$900Mへ
 アメリカの仲介会社で6位から3位へ、そしてWall Street Journal Real Trendsによると全米最大の独立系仲介会社に
私たちのビジョン「20/20 by 2020」を見れば、なぜ大きな夢を描くことが重要かが分かります。「2020年までに全米トップ20都市で20%のマーケットシェアを獲得する」という目標は発表時には不可能に見えました。
しかし、実際のところ私たちは当初のスケジュールよりも前倒しで進捗しています。
なぜか?それは大きく、そしてエキサイティングな目標は、ビジョンを実現したい人々を惹きつけるからです。20/20のビジョンは、資金面で私たちをサポートしてくれる投資家と、業務を通してサポートしてくれる多くの才能豊かなエージェントと従業員の両方を惹きつけました。
アメリカでもっとも素晴らしく刺激的な仲介会社とも協業を開始しました。
2018年には、カリフォリニアのPacific Union、Paragon、P.S. Platinum、 ウエストチェスターのPlatinum Drive、シカゴのConlon and The Hudson Company、シアトルのAvenue Properties、 NWG in Seattle、ワシントンDCの Wydler Brothers、ダラスのThe Collective、ボストンのBushariといった素晴らしい企業を合併しました。
後ほど詳しく述べるように簡単なことではないものの、私たちは企業として全国の顧客と社会に対してより良いサービスを提供できますし、この業界の未来がエージェントとともに築けるよう、強みとリソースを生かしてきます。
 
私たちは一年のうちに新たに約7000人の優秀な人々をCompassファミリーとして迎えました。
エージェントの数は2100人から8000人に増え、従業員は477人から1500人に増えました。しかも選りすぐりの人だけに採用を限定しながらです。今年132000人がCompassの従業員の求人に応募し、わずか1020人が合格しました。これはハーバードに入るよりもCompassに入る方が難しいということを意味します。(もし知り合いにここで働くべき優秀な人がいたら、こちらの採用中の職種のリンクを送ってください。)
私たちは真にワールドクラスのリーダーたちを採用しました。
AmazonとGoldman Sachsの後、Carlyleグループで世界規模でのテクノロジー投資を率いたKristen AnkerbrandtをCFOとして、MicrosoftのAI部門およびのAmazonのコンシューマー部門でCTOを務めたJoseph SiroshをCTOとして迎えました。
NY市長の元上級補佐であり、NPOや企業基金の運営経験のあるChloe DrewはCompassのフィロソフィー&コミュニティインパクト部門のトップとして入社することになりました。
CMOのKhurrum Malikは、直近までSpotifyのグローバルプロダクトを担当しており、その前はFacebookで上級管理職をしていました。チーフスタッフのNeda NavabはGoogleとMcKinseyで勤務していました。
Michael CoscettaはSquareで200万社以上の中小企業のテクノロジー導入をサポートした後、エージェントのビジネスの拡大に注力するためにCSOとして入社しました。
また業界への深い知識を持ち、私たちの意思決定や優先順位を伝えてくれる営業マネージャーと各地域のリーダーも55人採用しました。
私たちは業界初の一気通貫したプラットフォームを構築するための大きな一歩を踏み出しました。CRMに加えて、25倍の早さで立ち上げることができ、35%安く、10倍の閲覧数を獲得できる「Facebook広告ツール」、いまだに効果的な広告チャネルであるEメール用の「マーケティングセンター」、カスタマイズや通信ができる革新的な看板「Compass Sign」といった柱となる機能をローンチしました。
これらの新しいプロダクトはすべてみなさんのビジネスのキーとなるCompassプラットフォームの拡充のため、そしてCompassのデータ規約を守ることを念頭に作られています。(私たちは絶対にみなさんの顧客に連絡して横取りすることはありませんし、みなさんがCompassを退社してもデータは持ち出せますし、CRMにもアクセスし続けられます。)
みなさんの地域貢献活動に感銘を受けて、私たちはCompass Careをローンチしました。
エージェントはすでに様々な形で自分たちのコミュニティに収益を還元していますが、Compass Careではエージェントが売買仲介を行うたびに地元コミュニティのNPOに募金をします。2019年には約10億円をNPOに還元できる見込みで、企業が成長すればするほど金額は増えていきます。
私たちはエージェントのビジネス成長のために 2億5000万ドルの投資を行うことを決めています。
「 Compass Concierge」「Agent Betterment Fund」「Business Consulting Program」「 Compass Bridge Loans」「 Compass Black Card」をすでにローンチしました。
事業規模が大きくなった今でも、企業文化への投資を継続しています。男女の機会平等についてもあらゆる階級で進歩がありました。従業員の半数以上は女性で、2018年の昇進の半数以上は女性によるものでした。また半数近い(46%)のマネージャーも女性です。
夏のキャンプ形式の従業員向けイベントCamp Compassでは楽しみながら企業文化を共有することができました。個人個人が「OUT at Compass」「Women of Compass」「 Agents Of Color」といった独自のコミュニティを立ち上げ、有意義な議論を交わしたり、素晴らしいイベントを開催してきました。
また、お互いに対して高い要望をし続け、企業文化に悪影響を及ぼすエージェントは退職を依頼してきました。簡単ではありませんが、企業が大きくなればなるほど非常に重要なことです。
2018年、私たちは企業文化のもとで力を合わせました。私にとって、2018年のもっとも印象深い出来事は5月にCompass Entrepreneurship Principlesを導入したことです。
「大志を抱く」「スピーディーに動く」「現実から学ぶ」「ソリューション志向」「機会を逃さない」「エゴを捨てて協力し合う」「強みを最大限生かす」「情熱を持って立ち直る」からなる8ヶ条の原則は企業としての意思決定や採用、日々の業務を理解する上での鍵となります。
もし私たちのOKR(目標管理手法)が「何をやるのか」を定義し、ミッションが「なぜそれをやるのか」を定義するとしたら、私たちの原則は「どのようにやるのか」を定義するものです。
これらの原則は単なる企業文化ではなく、Compassで成功するためのロードマップと考えるよう、新しく入社したエージェントには伝えるようにしています。これらの原則を毎日大切にしていれば、あなたは成功し周りの人に良い刺激を与えるにちがいありません。
2018年の二つめの物語: 現実の苦労と学び
ここからは二つめの物語に移ります。
これは私たちが直面した苦労や失敗からの学びと、それらを今後の発展にどう生かしていくかについて焦点を当てたものです。
個人や企業の競争においてもっとも重要なのは、いかに素早く学ぶことができるかだと思っています。ですので、至らなかったなかったことや、できれば避けたかったことはいくつもあるものの、それらは価値のある学びだったと捉えています。
いつも完璧なわけではないけど、他の誰よりも素早く改善することで、これらの経験によって2019年も私たちはスピーディーに動き続け、現実から学び続け、情熱を持って立ち直り続けることができるのです。
私たちはいくつかのテクノロジーを徹底的にエージェントとテストすることなくローンチしました。
そして、私たちの動きが早すぎたことに気づきました。締切を守るために、まだ準備ができる前に新しいソフトウェアをリリースしてしまいました。その新しいツールはエージェントの毎日をよりシンプルにするためにデザインされたにもかかわらず、バグのせいでかえって業務が複雑になってしまいました。
私たちはこの問題を解決することに100%コミットしています。Maelleは次に新しいツールをローンチする前に現状のものを改善することを約束し、とてつもないリーダーシップを発揮しています。
私たちはみなさんからのフィードバックを聞き、それに基づいて検索機能、財務処理、データの質、モバイルアプリなどのシステム改修を進めています。
私はスピードがこの会社のもっとも重要な強みだと強く信じていますが、エージェントが毎日使うツールに関して過度に素早く動くことは、過度に遅いのと同じくらいに危険だと学びました。
繰り返しになりますが、みなさんの業務に影響をきたしたバグについて申し訳ございませんでした。ご理解をいただき、ありがとうございます。
仲介会社を合併する際のオペレーション面・カルチャー面両方の難しさも理解しました。
独立した素晴らしい複数の企業を一つの会社にまとめ、カルチャーとミッションを共有することはとても大変なことです。たった一年でいくつもの合併を行うことは、従業員やカルチャーにひずみを生みました。残念ながら合併を通して入社したエージェントはそれらの亀裂を感じたり、目の当たりにしたことでしょう。
新しいブランド、テクノロジー、同僚、その他すべてに慣れてもらうのは大変なことで、時間がかかります。ここに関しては、まだまだやるべきことが数多くあります。みなさんから意見を聞いて学び、今年まだ残っている課題の解決に最大限注力していきます。今後の軋轢を防止するために、合併後の統合を専門に担当するチームも採用しました。
昨年最大の合併は本当に困難なスタートでした。
Camp Compassに向かっているときに、私はPacific Unionとの合併がリークされました。両社の何千人という従業員がこの話をマネージャーや同僚、そして私でもなくニュースでこのことを知ったのです。
合併後の統合は大きく進捗しましたが、まだまだ多くのやるべきことがあり、多くの改善しなければならないこともあります。チーム全体でこの統合を進めることをコミットしてますし、関わる全員が世界に誇るれるような合併になるまで手を抜くことはありません。
適切な人に採用活動をしなかったために、私たちはカルチャーに悪影響を及ぼすエージェントやマネージャーを採用し、その後解雇することになってしまいました。
Compassのエージェントの採用基準は、性格・カルチャー・思いやり・クオリティといった側面からとても高く設定されています。私たちはこれを大切にしていますし、どれだけ会社が大きくなっても常にこれを変えることはありません。素晴らしい人であっても、ただCompassにフィットしないという理由でお別れをしなければならないこともあるということです。
しかし、その一貫した基準を満たしたエージェントのネットワークがあることで、今後の採用に関しては応募者を正しく評価することができます。少し周りに確認しただけで採用するべきでない人を採用してしまうという事態を防ぎ、みなさんに苦労をさせずにすんだという事例も実際に出てきています。
昨年はじめの私たちの広告の謳い文句のいくつかは不快なものでした。これについてはもっと早く気づくべきでした。
それは周りを鼓舞するより、むしろ傲慢というべきものでした。あらゆる勝利すること、ナンバーワンになること、規模を拡大することについて言及しすぎていました。それは私個人としても、また会社全体としても意図していることではありません。
「世界中の誰もが自分たちの居場所を見つけられる」という大きな志を掲げながらも、競争よりもチームとしての文化を大切にするべきなのです。
健康保険を必要としていたエージェントの一部は私たちのプログラムではカバーされませんでした。最大2万4000ドルの節約になるヘルスケアをローンチしたにもかかわらず、10%強の応募者はパートナーの保険会社から非承認、もしくは自分に合うプランを見つけられることができませんでした。これには多くの人が怒り、傷つきました。
誤解のないように言うと、一部の人に保険を提供しないと決めたのはCompassではなく保険会社です。しかしながら、それは言い訳になりませんし、この保険プログラムについての解決策を見つけるよう努力します。私の机には保険が非承認となった人のリストがあり、毎週それを見てこの問題を全員の解決しなければならないと思い出すようにしています。2019年の前半にはそれができると思っています。
自社のソフトウェアをライセンス提供するという事業を、誤ったやり方とタイミングで進めでしまいました。
機会を逃さないように探していると、それはいたるところに見つかります。そして、中には後回しにした方がいいものや完全に見送った方がいいものもあります。
私たちのソフトウェアをCompass以外のチームや仲介会社に提供する「Powered by Compass」の短期間の実験が失敗した理由もそこにあったと思っています。控えめに言っても、それはCompassのエージェントから不評でした。それがどのような影響を及ぼすかについて具体的なフィードバックを提供してくれたボストンのチームには感謝していますし、それによって私たち現時点では正しい方向性ではないと容易に決めることができました。
2019年の物語
 今年はCompassにとって記念碑的な一年となるでしょう。2018年は信じられないほど素晴らしく、そして大変でした。
しかし、2019年に一緒に成果をあげることで、この2018年には価値があったと思えるでしょう。
2019年は拡大よりも深掘りに注力する一年です。既存のマーケットにより深く根ざし、既存のテクノロジーの基盤をより強化します。
合併統合に伴う困難から抜け出し、一つになって勢いを得た全国規模のCompassファミリーとして力強く立ち上がる一年です。
2億5000万ドルの投資によるサポートを通して、エージェントのビジネスが成長する一年です。
大半のエージェントがCompassのテクノロジーを使って仕事をすることを喜んで選択する一年です。そして、売り手や買い手も私たちのテクノロジーと恋に落ちる一年です。
2020年までに上位20年で20%に到達するための足場となるマーケットシェアを獲得する年です。
「Compassが多くのユニークな物件情報を持っているため、Compassのエージェントやウェブサイトを使わなければマーケットを見ることができない」とユーザーが理解する一年です。
AmazonとGoogleからわずか1年遅れ、Facebookと同じペース、Airbnbより3年早く、SalesforceやNetflixよりも4年早く売上10億ドルを突破する年です。
この会社で大切にしている志や情熱をもって資金面とボランディアの両面からコミュニティへ還元する一年です。会社が大きくなることは必ずしも悪いことではなく、むしろこの世界においてより多くの良いことをできると証明する一年です。
Compassの全員がこれまでの人生の中で最高の人たちと働いていると言うようになる一年です。
忘れることのできない一年にしましょう。
個人的なメモ
私のCompassでの夢は常に、みんなが帰属していると思えるコミュニティを作ることです。人は他の何よりも仕事に時間を費やします。自分の行動すべてがCompassのメンバーの刺激になればとても嬉しいです。
Compassのコミュニティのみんなが私が幸せかどうか気にかけてくれていることに、私はいつも感動しています。
個人として元気なのか、家族は元気なのか、私は幸せで満たされているのか、多くの人が気にかけてくれるので、個人的なこともいくつか共有したいと思います。
去年は自分が働いてきた中でもっとも大変な一年でした。おそらく多くのみなさんにとってもそうでしょう。私にとって一番大変だったのは、出張のために娘たちと離れることでした。娘たちが大きくなり、3人目の子供が生まれる予定の今、多くのエージェントや従業員が直面している「仕事と家族生活のバランス」という苦労をより理解できるようになりました。
実際に娘のRaiaは「2019年は出張は週2日以内にするよう約束をしてほしい」と言ってきました。正直なところそれはとても大きな変化です。今ちょうど16日間で14都市の17のクリスマスパーティーを終えたところです。
でも、私は約束することにしました。これについてよく考えてみた結果、これは私のプライベート面だけでなく仕事面にとってもプラスだと思うようになりました。より多くの時間を私たちの事業の未来を考えること、そして私のチームとより近くで働き、エージェントにとっての世界一のサポートを実現することができるからです。
去年はずっと全力で走ってきました。Compassはスピードを緩めることはありませんが、この冬休みにどうやって自分自身の全力を今年も継続するか考えたいと思います。そして、みなさんにも同じことをお勧めします。自分自身の限界と目標を理解することなく、強みを最大限に発揮することはできないからです。
記録的な2018年をありがとうございました。2019年は歴史的な一年になります!

(Inman.com掲載の原文から引用・翻訳)

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