アジャイルなレトロスペクティブのすすめ

ゆうれい船長
6 min readFeb 19, 2017

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アジャイル開発の代表的な手法である「スクラム」。

スクラムの肝は「チーム内の円滑なコミュニケーション」「それによって生まれる柔軟性」にあると思います。

臨機応変な対応が求められる分、スクラムにはコミュニケーションを円滑にするフレームワークがいくつも存在します。

今回は、その中でもスプリント終了時の振り返りMTG(レトロスペクティブ)について、整理をしてみました。

レトロスペクティブってなんぞや

retrospectiveは「回顧」「遡及的」「回想的」という意味がありますが、アジャイル開発においては「振り返り」という意味で使います。

特にスプリント(イテレーション)の振り返りMTGの事を指して、レトロスペクティブと言うことが多いです。

レトロスペクティブが必要なケース

プロダクトマネージャーである私は、スプリントごとに振り返りMTGを実施することが多くありましたが、どうもうまくいかずヤキモキしていました。

問題点は、主に以下の3つでした。

  • メンバーが抱えている課題点がすべて洗い出せていない。
  • 課題に対する適切な解決策が導き出せない。
  • 解決策が実行されない。

そんな悩みを抱える中、こんな本に出会いました。

レトロスペクティブのステップ

この本には効果的な振り返り(レトロスペクティブ)の方法が詳細にまとめられていました。

ここでは、この本に記載されたレトロスペクティブのステップを軸に、私が実際に実施してみて、うまくいった方法を整理してみます。。

①場を設定する(参加しやすい雰囲気づくり )

  • 時間を割いてくれた参加者に歓迎と感謝の意を簡単に述べる。
  • 目的と今回の目標を口に出して確認する。
  • 全員に口を開いてもらう(チェックイン)。例えば、「今の気持ちを一言でお願いします。」など。
  • アジェンダ(進め方と時間)を説明する。
  • チームの約束を確認する。

②データを収集する(すべての情報を確認して、チームで共通の理解を得る )

  • 客観的な情報を提示する(スプリント内に完了したストーリー数・バーンダウンチャート・ベロシティ・不具合の発生数など)。
  • その他の情報をポストイットで補足してもらう(実際に何が起きたのか。誰々が〇〇した。誰々が〇〇しなかった。など)。良かった点と良くなかった点でポストイットの色を変える。
  • 良かった点と良くなかった点の内容を、それぞれグループ分けする。

③アイデアを出す

  • 主に良くなかった点に対する改善のアイディアをポストイットで出し合う。
  • 良いと思うアイディアにシールを貼って投票する(1人2つなど)。

④何をすべきかを決定する

  • 投票の結果をもとにアイデアを優先付けし、1~2個に絞る。
  • 改善点や試みを決定する。
  • チームの約束に加えたり、カンバンやストーリーボードに追加する。アクションが必要なものは必ず期限と担当者を決定する。

⑤レトロスペクティブを終了する

  • 計画やコミットメントをチームがどのように実行するかをまとめる。参加者に感謝をのべて、レトロスペクティブを終了する。

レトロスペクティブでよくあるハードル

上記のステップをもとにレトロスペクティブを実施できるとベストですが、実際には多くのハードルがあり、うまくいかないものです。

私の場合は「実施時間」というハードルがよく立ちはだかりました。

レトロスペクティブは本来であれば1~2時間で実施すべきですが、プロダクトオーナーも含めて実施しようと思うと、なかなか予定があわず、30分で実施するケースが多かったです。

その場合は、MTG前に予め以下の下準備をしていました。

  • アジェンダを前日に送信し、必ず確認してもらう。
  • アジェンダ内に、整理したデータ(スプリント内に完了したストーリー数・バーンダウンチャート・ベロシティ・不具合の発生数など)を添付する。
  • 良かった点・良くなかった点・改善のアイデアを事前に考えてもらう。

この3点が予めできていれば、30分でも十分にレトロスペクティブが実施できます。

レトロスペクティブに役立つツール

レトロスペクティブ内で「アイデア」を出し合ったり「投票」をしたりする際、ポストイットを使うのもよいですが、Webサービスを利用することをお薦めします。

そもそも、全員が同じ場所に集えるとは限りませんし(SkypeでMTGなんてこともよくあります)、事前に良かった点や改善のアイデアなどを考えてもらう時も、紙のポストイットは最適ではありません。

ポストイットを代替するWebサービスはいくつかあるのですが、いろいろと使ってみて、次の3つのサービスは実際に使えたので、紹介します。

Mural

直観的なUIとイケてるデザインで、使い心地は抜群です。ブラウザによって日本語の入力がうまくいかないケースがあります。Chromeは相性悪いと思います。

Cardboard

機能がシンプルなので、迷うことなく使い始めることができます。そのかわり、カスタマイズ性が低いです。

BeeCanvas

日本語対応しています。デザインや使い勝手は可もなく不可もなくですが、無料で使い続けられるので、私はよくこれを使っていました。

怠りがちな振り返りですが、フレームワークに乗っ取ることで、適切に実施することができます。アジャイルなあなたは実践あるのみ。

こちらからは以上です。

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ゆうれい船長

京都で働くWebプロダクトマネージャー。企画・UXデザイン・編集などにいそしむ日々。猫と音楽が好き。