アート入門としての六本木アートナイト

CulNarra! Interns
My Night Cruising 2019
5 min readAug 22, 2019

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Written by :いおり

アートってむずかしい?よくわからない?アートに対してそんなイメージを持つ人、多いのではないでしょうか?

そんな人たちにこそ参加してもらいたいイベントが六本木アートナイトです。

六本木アートナイトは2009年に始まり、今年で第10回目を迎えた一夜限りのアートの饗宴です。以前の六本木には「夜の街」というイメージが強くありました。しかし再開発で六本木ヒルズの最上階に森美術館がつくられたことによって、同時にアートのイメージも強くなりました。六本木には森美術館の他にも、サントリー美術館、国立新美術館などの美術館があります。そうした一見相反するイメージを掛け合わせたのが「六本木アートナイト」なのです。

私は今回、六本木アートナイト2019と慶應義塾大学アート・センター「都市のカルチュラル・ナラティヴ」プロジェクトの共同企画ワークショップのインターン生として六本木アートナイトの事務局長の方にお話を伺う機会がありました。そこで印象的だったのは「アート入門としてのアートナイト」です。今回実際に六本木アートナイトに参加してみて、なぜ六本木アートナイトはアート初心者でも楽しめるのか、という点について考えてみました。

まずは六本木アートナイト全体の雰囲気についてです。普通アートは美術館というとても静かな空間で楽しむものです。落ち着いて作品を鑑賞することができる一方で、その雰囲気が堅苦しく感じて美術館を敬遠する人も多いと思います。しかしアートナイトの雰囲気はその真逆でとてもにぎやかでした。私はよく六本木を訪れるのですが、着いた瞬間に普段との雰囲気の違いにとても驚きました。六本木という街全体で行っているイベントのため、まるでお祭りのような雰囲気が漂っていました。その雰囲気のおかげでアートというものがいつもより身近に感じられるのではないかと思います。また美術館とは違って一人だけではなく、誰かと一緒に作品を楽しむこともできると思いました。

次に注目したのは作品の多さです。六本木アートナイト2019では約80のプログラムが行われました。目的がなくブラブラと歩いているだけでも色々な作品に出会うことができました。例えば日比谷線六本木駅から六本木ヒルズに向かうエスカレーターにもりんごを使ったアートがありました。

りんごを使ったアート

普段アートを鑑賞する場所といえば美術館ですが、六本木アートナイトでは美術館だけでなく街の中でもアートを鑑賞することができます。普段はなかなかアートと関わる機会がない、美術館には行きづらい、というような人でも街の中にアートがたくさんあることで気軽にアートを楽しむことができると思います。

また六本木アートナイトには見るだけでなく、参加することができる作品が沢山ありました。例えばチーウェイ・チョアン「暗闇の中の虹」という作品ではガラスキューブの表面の塗料を削ることで自由に作品に書き込みを行うことができました。そして夜になると作品内部のLEDが発光し、書き込まれたものが浮かび上がるという仕組みになっています。このような作品では見ている人が参加することで作品が完成します。私たちも作品の一部になることができるということで見ているだけの作品よりも、より一層作品を楽しめるとおもいます。

チーウェイ・チョアン「暗闇の中の虹」

私は今回の六本木アートナイトに姉と参加しました。私は大学で美術史を専攻していますが、姉はアートにはあまり興味がありませんでした。そんな姉を誘って行ったのは六本木アートナイトをきっかけにしてアートに興味を持ってほしいと思ったからです。実際に六本木アートナイトに参加した姉に感想を聞いてみると、「今までアートは難しいというイメージがあったけれど、六本木アートナイトでは気軽にたくさんの作品を見たり参加したりすることができて楽しかった。これからもっと色々な作品を見に美術館にも行ってみたい。」と言っていました。六本木アートナイトは普段とは違った非日常のなかでアートに触れることができるイベントだと思います。私自身も普段とは違った雰囲気の中でアートを楽しむことができてとても新鮮に感じました。こうしたイベントは様々な展覧会に訪れるきっかけになると思います。

六本木アートナイトはアートが好きな人だけでなく、アートの楽しみ方がわからない初心者の方も楽しむことができるイベントだと思いました。このアートナイトをきっかけにしてアートの楽しさを知り美術館を訪れる人も増えるのではないでしょうか。ぜひ六本木アートナイトに参加してみてください。

いおり。埼玉で生まれ育つ。大学から港区在学。大学では美術史を専攻。表象文化論に興味を持ち現在勉強中。

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「都市のカルチュラル・ナラティヴ」プロジェクト、カルチュラル・コミュニケーター・ワークショップのインターンが、地域の文化について語ります。http://art-c.keio.ac.jp/-/artefact