スタートアップのCEOがオフィスを離れるべき理由

Daiki Masuki
3 min readMar 10, 2018

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Anypayのきむしんさんが以前「1日に3社、4社経営しているような考え方で時間をコントロールして経営をしなければダメだ」的なTweetをしているのをみて、頭を揺さぶらるような経験をしました。

そうやってよっしゃ俺もいっちょ3社、4社経営しているような考え方で時間をコントロールしてやるか!といきなりストイックになれるようなマインドセットであれば、私も今頃上場していてもおかしくないのですが、悲しいかな人間というものは長く培った習慣を急に変えることができないのです。なまじ社歴を重ねてしまったスタートアップであれば、自覚すらできない悪習が知らないうちに身体に染み付き蔓延しているものなのでしょう。

こうした染みきった悪習を変更するためにもスタートアップのCEOは一定の時期が来たらある程度オフィスを離れなければといけないと強く考えています。

スタートアップのCEOがオフィスを離れるメリットは何か、考えうるメリットをまとめてみました。

1.自分がなんとかできる、何かあったら自分だけが頼りという幻想との離別

うまくいってないスタートアップの特徴として権限委譲が適切でないということがあります。理由はシンプルでスタートアップのCEOは仕事が大好きで、そして仕事もできる人種だからです。ええい!見てられぬ!自分がやった方が早いわ!となりがちで、組織がそれに合わせた指示系統の文化になりがちです。しかしそれが通用するのは一定規模まで。組織の成長には必ず適切な権限委譲が必要です。自らの性格が変えられないのなら最大の解決策はCEOが物理的に離れて各自が意思決定が促される環境を構築することです。

2.効率のよいコーポレート体制の構築

既存産業の非効率をディスラプトする高度な情報産業であるはずのスタートアップが、実際のところバックオフィス部門はズタボロで労働集約型のまま非効率そのものということは多々あります。それも理由は簡単。見渡せば目が届くのと成長速度がそれらから目を背けさせるから整備する動機が湧いてこないからです。動機がないのなら最大の解決策は物理的に離れることで適切なコーポレート体制を構築しなければ評価ができない動機を構築することです。

3.会社の客観的な分析と適切な判断によるマネジメントの実現

スタートアップは事業こそグローバル志向ですが実際は同じオフィス、同じメンバーと、どうしても人間関係が綿密でドメスティックな環境になりがちです。また仕事を厭わぬハードワーカーが集まるからこそ阿吽の呼吸で業務をすすめてしまいがちです。しかしそれは本質的なマネジメントではありません。マネジメントの本質的な仕事とは何か。それは客観的な分析と意思決定であると考えます。代表たるもの近視眼だけの目線ではいけないのです。物理的に離れて自らの会社を客観的に見る習慣をつけること、そして新しい情報を得ることで冷静なマネジメントの判断が実現可能となりえます。

成長こそ命のスタートアップにとって、CEOがオフィスを離れるというのは組織が求心力を失いかねない施策です。しかしその時は遅かれ早かれいつかはやってくるもの。だからこそ然るべきタイミングでCEOがオフィスを離れる習慣を構築していくことが会社としての成長、そしてCEOとしてのキャリアにも必要なのだと思うのです。

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