トークンエコノミー大阪 信用評価経済時代の独自通貨と経済圏に参加して

2018年7月28日(土)に開催された「トークンエコノミーmeet up 信用評価経済時代の独自通貨と経済圏」で、タイムチケットとタイムコインについて話してきました。

どんなイベント?

このイベントはVALU、タイムチケット、ALIS、PoliPoli、西粟倉村コインなど、ブロックチェーンを活用したトークンエコノミーの実現に向けて取り組むサービス・プロジェクトの代表者が集まり、「独自通貨の可能性と未来」「中央集権と非中央集権」「ICOの意義」「信用評価経済」について話すというイベントでした。

タイムチケットでもタイムコインによるICOを計画中のため、トークンエコノミーに取り組むサービスのひとつとして呼んでいただきました。

会場のbillage OSAKAについて

会場のbillage OSAKAに来るのは、2018年4月に開催されたオープニングイベントに続いて2回目です。

TimeTicketの山本大策氏が語る地域とシェアリングの親和性「これから非中央集権的サービスのトレンドがくる」

また2018年6月にはタイムチケットの大阪ミートアップも開催させていただき、大変お世話になっているスペースです。いつもありがとうございます🙇

【初開催】タイムチケットミートアップ in大阪〜billage OSAKAで開催〜

会場の雰囲気

イベント開始前から、ほぼ満員となるほど熱気に包まれていました。トークンエコノミーという概念への関心・共感の高まりを感じました(こういう雰囲気、とても好きです)。

イベントの説明

billage OSAKAを運営するMJEの柿木原さん(@a_kakihara)からイベント、会場に関する説明。

企画、準備を進めていただいた柿木原さん、橋本さん(@hifukf)、今回もありがとうございました🙏


サービス紹介

まず各サービスについて、約8分間ずつのプレゼン。

ALIS(https://alis.to/

ALISの安さん(@YasuMasahiro

・ALISとはブロックチェーンベースのソーシャルメディア。

・信頼できる人と信頼できる記事を見つけやすくする仕組み。

価値主義と、自律経済圏。

・将来的にはメディア以外にCtoC取引なども計画。

このイベントにはALISユーザーの方も参加されていて、ALISコミュニティの強さを感じました。ALISはプロジェクトのタスクリストを公開するなど透明性の高い運営を行われていて、とてもリスペクトしているサービスです。

タイムチケット(https://www.timeticket.jp/

タイムチケット 山本(@daisaku

発表資料はこちら。

発表の後半で、なぜタイムチケットでICOを実施しようとしているのか説明しました。

・ICOは2018年も引き続き活発で件数が増えている(上半期で580件)。平均調達額は32億円。調達額上位のEOS、Telegram、Petro、Tatatuを除いても、20億円(2017年の平均調達額と同等)。

・新しいスタートアップの手法であるICOを、スイス子会社で日本居住者以外に向けて実施することを計画している。

・ブロックチェーンの登場により、取引手数料がほとんど無い形式のシェアリングエコノミーが実現できるのではないか?という時代の流れが来ている。これは不可避ではないか。

・インターネットでの個人のエンパワーメントの歴史を見ると、サービスによって評価を得る人が「発信する人→影響力のある人→経済圏で経済を動かす人」となっていることを感じる。タイムチケットのやり方で、新しい経済圏を生み出すサービスを作る。

・タイムチケット×タイムコインで新しいシェアリングエコノミーを作る。

・タイムコインは貢献度に応じて配布され、「タイムチケットでの支払い」「独自コインの発行」などに利用できる。

・コミュニティ貢献度が高いユーザーにタイムコインを配布し、良質なユーザーにインセンティブを付与することでコミュニティの価値を高める。

・まずタイムチケットのDapp(非中央集権的アプリケーション)化を進める。その後、Dappが利用できる非中央集権的シェアリングエコノミープロトコルを開発し、その上でタイムコインを流通させたい。

・個人の時間を売買する従来のサービスをベースとして、個人の時間の価値と、個人の信用に基づくコミュニティを作っていく。

VALU(https://valu.is/

VALUの小川さん(@OKohei

・時代によってお金の価値は変わっていく(例えに出てきたコロッケの話、よかった)。

・VALUは信用を資本化するラインを下げた。株式会社ではなく、個人が自分の信用で資本化できる。

・VALUにより格差がなくなる社会を目指す。

VALUもとてもリスペクトしているサービスです。このイベントにはVALUのユーザーの方もイベントに参加されており、VALUがきっかけでパートナーと知り合えたという報告もされていました。

西粟倉村コイン(https://nishiawakura.org/

西粟倉村コインの山田さん(@kun1aki

地域の方が面白いことをやりやすい。

・地域にすでにあるコミュニティを活性化。

・地元の人主導で進められている。

山田さんとは、以前に岡山で開催されたスタートアップウィークエンドというイベントでお話しさせていただいたことがありました。その頃から地域を盛り上げるための面白いアクションを起こされていましたが、西粟倉村のICOはその最たるものになるのではと思います。

PoliPoli(https://www.polipoli.work/

PoliPoliの伊藤さん(@kazuma12222

・PoliPoliは政治の分野のトークンエコノミーを作る。

・良い発言をするとトークンがもらえる。政治家にトークンを送れる。

・SteemitやALISのホワイトペーパーを読んで参考にした。

・マネタイズは通貨発行益。初期はグロースに注力。

PoliPoliはメディアでその存在を知っていましたが、今回サービスを運営している伊藤さんから話を聞けて、そのコンセプトがとてもよく理解できました。今までの政治×ネットサービスとはどこか違う空気感が漂うのは飄々とした伊藤さんのキャラクターによるものかもしれません。とても期待したいサービスです。

あたらしい経済(https://www.neweconomy.jp/

幻冬舎あたらしい経済の竹田さん(@takeee814)。

・良質な情報を届けるメディアを作る。

・個人的にブログ、ラジオをほぼ毎日継続して続けている。

・自分が会いたいと思った人のインタビュー記事を作る。

・トークンを発行し、テストネットでのエアドロップを検討している。

竹田さんは前日にトークセッションのアジェンダを用意していただいたりと、ファシリテーターとして素晴らしかったです。とても助かりました。この後のトークセッションの司会進行もスムースでとても良かったです。


ライトニングトーク

続けて、2サービスのライトニングトーク。どちらも優しい視点から考えられたトークンエコノミーサービスでした。トークンエコノミーを実現する上では、そのトークンが流通するコミュニティ内での共通の価値観が必要になると思います。そんな価値観を生み出すためには「優しさ」「共感力」といった資質をトークンを企画する人が持っているといいかもしれないとトークを聞いていて感じました。


トークセッション

イベント最後のトークセッションでは、

・トークンエコノミーをサービスとして運営する上で気をつけるべきこと

・ブロックチェーンエンジニアの資質について

・今後のICOについての所感

・トークンエコノミーが実現するかどうか

・コミュニティ運営について

・各サービスがこれから取り組んでいくこと

などについて話しました。

このトークセッションの話題について、自分が発言した点についてまとめておきます。

・ICOの意義

現在日本企業が国内で日本人向けにICOをするのは難しい状況。そのためにスイス子会社で日本居住者以外に向けてのICO実施を計画中。スイスはICOに関してノウハウを持つ人が多くいる。

2018年のICOのトレンドとしてはプライベートセールで大きく調達するプロジェクトが多い(EOS、Telegram、Petro、Tatatuなど)。

今後のICOは、調達額が大きければプライベートセール、調達額が小さい場合はKyberNetworkが進めているようなIEO(Initial Exchange Offering)というような形に分かれていくのではないか。

・トークンエコノミーの未来

経済圏だけであればメルカリ経済圏など存在する。個人的に興味があるのは非中央集権的な運営でのトークンエコノミーの実現、DAO(Decentralized Autonomous Organization)。

インターネットには非中央集権的に問題解決された歴史がある。電子メールはオープンなプロトコルを利用したプロダクトを、多くの開発者が実装していくことでスパムメールが減ってきた。一方で、最近のTwitterは開発者を締め出し、スパムツイートなどの問題は残っている。Facebookにもケンブリッジ・アナリティカ事件があった。ユーザーが中央集権的なサービスによるデメリットに気付き始めている。EUのGDPRなどの規則も出てきて、非中央集権的サービスに有利になる時代になってきている。

・今後のタイムチケット

タイムチケットの売上だけで生活できるレベルの人も現れており、既存サービスは順調に成長していくと考えている。これからは、シェアリングエコノミー2.0と捉え、新しいサービス価値・体験をタイムチケット×タイムコインによって生み出したい。

コミュニティに貢献してくれた人に対し「お金に換えられない価値」ということがあるが、この言葉の中での「お金」とは法定通貨である日本円のこと。コミュニティ内にトークンが流通していれば、価値はお金に換えられる。最終的にはタイムコインだけで取引が成立するコミュニティを作っていきたい。

・トークセッションについての感想

コミュニティと連携しながらトークンエコノミーを実現していくことを考えている、という点は各サービスに共通した点だと感じました。コミュニティの社会関係資本を可視化・定量化していくことがトークンエコノミーの本質であることを再認識しました。

今回のトークセッションではトークンエコノミーについてポジティブな話が多かったですが、現実的に非中央集権的な運営をするにあたっては問題が発生することも想定されます。

例えば、わたしがイベント内で話したような非中央集権的なシェアリングエコノミーの中で取引相手とトラブルが発生した場合に、それをどう自律的に解決していくのか?ということについては「コミュニティ投票」「インセンティブのある仲裁人制度」などの方法が考えられていますが、どれもまだその効果が実証されていません。

今後のトークンエコノミーのイベント・コミュニティでは、こういった問題に対する議論を重ね、問題に対する解決策を共有していくことも必要ではないかと感じました。

全体として、皆さんとの話がとても楽しく、時間の経つのが早く感じるほど、充実した良いトークセッションでした。


最後に

今回のイベントでは、ブロックチェーンを活用してトークンエコノミーに取り組む各サービスの代表の方とお話しさせていただき、自分自身とても楽しませていただきました。まだ最適な手法が見つかっていない現段階で、信じるビジョンの実現のために果敢にトークンエコノミーにチャレンジするプレイヤーの皆さんに大変刺激を受けました。

そして、タイムチケット・タイムコインでも新しい価値が流通するトークンエコノミーを実現させたいという想いをまた新たにしました。

今回のイベントの内容は、暗号通貨・ ブロックチェーン・ICO・トークンエコノミーについて、あまり詳しくない方には専門的な用語が多く分かりにくい内容だったかもしれません。ただこのイベントで話していたような世界が少しずつ実現されていくことについて、わたしは疑いの念を抱いていません。少しでも興味を持たれたら、ぜひ暗号通貨やブロックチェーンについて調べていただければと思います。

わたしは本格的に暗号通貨やブロックチェーン(特にイーサリアム)について勉強を始めたのは昨年からですが、ビットコインやイーサリアムの成長を目の当たりにして、自律分散的なコンセンサスがインターネットの規模で実現し成立している状況に興奮を覚えました。

またその革新的な仕組みの中で、新しい通貨や社会が大きく動き始めている状況を見て、起業家・開発者として、従来のルールが変わるゲームチェンジの瞬間に当事者として関わりたいという気持ちになりました。

実は、2014年〜2015年頃にタイムチケットにビットコイン決済を導入しようかと考えていた時期もあったのですが、その頃のわたしは「暗号通貨を大勢の人が持つような状況など来るはずない」という考えを持っていました。いまの暗号通貨を取り巻く状況を見て、当時の自分の浅はかさを反省しています。起業家・開発者として、新しい文化・テクノロジーに対しては、斜に構えた評論家然とした態度をとらず、ミーハーでもいいのでのめり込んでいくことの重要性を痛感しました。

WWW(HTTP)や電子メール(POP/SMTP)などオープンなプロトコルを利用したプロダクトを起業家・開発者コミュニティが切磋琢磨しながら開発し、進化させてきたのがインターネットの歴史です。そして、暗号通貨・ブロックチェーンには、そんなインターネットの新しい進化を生み出す可能性があります。わたしも何かの形で、その進化を作りだすことに貢献できればと考えています。

今回のイベントでお会いできた方には、登壇者・参加者問わず、熱い情熱を持っている方が多かったと感じました。起業家としてでも、開発者としてでも、サポーターとしてでもいろんな形で貢献できるコミュニティが暗号通貨・ブロックチェーンにはあります。

新しい文化を、新しい価値を、新しい経済を生み出していきましょう。