ブロックチェーンの相互運用を可能にするCross Framework

この記事では、ブロックチェーンの相互運用を可能にするCross Frameworkの紹介として、開発に至った背景やCross Frameworkのイントロダクション、想定しているユースケースについて扱います。

現在、Hyperledger Fabric / Tendermintではすでに利用可能であり、大手SIer様とDvP決済への活用を想定した実証実験を予定しています。

詳細に興味をお持ちのかたはこちらから配布している資料を参照いただければと思います。

背景

Datachainでも、中古車流通に応用するなど、当初の決済・金融領域だけでなく、サプライチェーンやMaaSなど、様々なデータ流通・管理の基盤として、活用事例が今後も拡大していくことを見込んでいます。

Gartner社の発表では、2025年に1,760億ドル、2030年には3.1兆ドルの経済価値がブロックチェーンによってもたらされると予測されています。

EthereumのようなパブリックチェーンやHyperledger Fabricなどを用いたコンソーシアムチェーン 等、様々な形態で導入が広がっていますが、どうしてもドメインや参画企業ごとに複数の(異なる基盤を持った)ブロックチェーンが立ち上がってしまうことから、各々がサイロ化してしまうことが課題として考えられます。

逆の観点では、「誰が主体になるのか」「誰がデータをとりまとめるのか」といったビジネス上の制約から、同一のブロックチェーン上に活用したい全てのデータを整備することが難しいため、データ流通やデータ活用による革新的なサービス創出を目指すためには、ブロックチェーンを「つなぐ」こと(相互運用性を持つこと)が重要とDatachainは考えています。

Cross Framework

すなわち、開発者が通常のスマートコントラクトを書く形で、1つのブロックチェーンから複数のブロックチェーンに対して、整合性を保ちながらスマートコントラクトを実行できることを目指したフレームワークです。

従来、複数チェーンに跨がる処理(例えば、Xチェーンで管理された資産と、Yチェーンで管理された資産を交換するといった処理)は、XチェーンとYチェーンをつなぐ信頼をおいた第三者の(オフチェーン)システムを利用したり、HTLC(Hashed Time-Locked Contract)の様な仕組みを設計・導入する必要があるため、信頼を実現するコストや柔軟性の観点で課題がありました。

そこで、私達は信頼をおいた第三者のシステムを介在することのないRelay方式が望ましいと考え、インターオペラビリティの実現方式としてIBC(Inter Blockchain Communication)を採用し、それを用いて複数チェーン間のスマートコントラクトの実行を整合性を持って実現することが可能なCross Frameworkを開発しました。

すなわち、Cross Frameworkは、複数チェーン間での通信をトラストレスに行うIBCを介し、各チェーン間でコミットについて合意を行うことで、Cross-chain smart contract(複数の異なるチェーンにまたがるスマートコントラクト)のトランザクション処理の信頼性を保証しています。

これらの仕組みにより、Cross Frameworkは、トークン交換だけでなく、複数のブロックチェーン上のスマートコントラクトの分散トランザクションにおいて、データの整合性を保証することが可能なシステムを開発可能にしています。

例として、複数チェーン間でのトークン移転については、Cross Frameworkを導入すると、下図のような形で片方のチェーンからもう一方のチェーン上のスマートコントラクトを実行することで実現できます。

すなわち、チェーンXのPeg関数からチェーンY上にあるLock関数の呼び出しを行い、ユーザーがチェーンY上に移転するだけの十分な残高を持っている場合のみチェーンYの残高を減らし、チェーンX上の残高を増やすという双方のチェーンの残高更新処理を実行しています。

このように同一チェーン上の他のコントラクト関数を呼び出すように別チェーンのコントラクト関数を呼び出すことが、Cross Frameworkの導入で実現できます。

詳細は、別途資料をご参照いただければと思いますが、Cross Frameworkの特徴として、下記の3点が挙げられます。

  • 複数のブロックチェーン間で相互に状態を検証可能(=監視するシステムへのトラストが不要)
  • 1つのブロックチェーンから、複数のブロックチェーン上の様々なスマートコントラクトを整合性を保ちながら実行可能
  • Hyperledger Fabric、Tendermint等、様々なブロックチェーン/DLTをサポートするなど、拡張性を意識した設計

ユースケース

DvP決済

具体的には、資産チェーンで管理される資産トークンの所有権をアリスからボブに移転するのに合わせて、決済チェーンで管理される代金分の決済トークンをボブからアリスに移す場合、資産チェーン、決済チェーンでの残高更新をアトミックに実行する必要があります。

Cross Frameworkを用いることで、異なるブロックチェーン間のスマートコントラクトの実行をアトミックに実現でき、DvP取引において取引参加者の「取りはぐれ」リスクを回避することができます。

契約の自動執行

医療チェーン上でアリスの医療情報を管理し、付保対象である疾患の情報のみを問い合わせ、保険チェーン上で契約内容を確認して、決済チェーン上で保険金を送金する一連のフローを、Cross Frameworkを活用することで3つのチェーン間でのCross-chain smart contractを開発可能です。

その他、CBDCに代表されるような決済チェーン、情報銀行を介したパーソナルデータの利活用 等、新たなブロックチェーンベースのシステムや一般的なスケーリング・秘匿に関する様々なチェーンの連携方式でのCross Frameworkの利活用を想定しています。

今後の展望

現在、Hyperledger Fabric、Tendermintのサポートを行っており、今後Cordaやその他の既存システムなどとの接続に向けて開発を進めております。

合わせて、Cross-chain smart contractのユースケースに適したデザインパターンの拡充や、導入・利用に関する周辺ツールの開発、そしてそれらのドキュメンテーション/チュートリアル整備も並行して進めます。

ユースケースの項でも触れさせていただきましたが、Datachainは今後、Cross Frameworkを様々なブロックチェーンのインターオペラビリティの事例に活用していくことを目指しています。

今後、パートナー企業との取り組みも含め、Cross Frameworkの発展や相互運用を主眼に置いた実運用について、開示していければと思います。

また、ブロックチェーンによりデータが流通・活用される世界を一緒に目指す仲間も積極募集中です。是非、Wantedlyのページもご覧いただければと思います。

資料請求・お問い合わせ

[資料ダウンロードはこちら]

お問い合わせも随時受け付けておりますので、是非よろしくお願いいたします。

[お問い合わせはこちら]

Contributor of Hyperledger Lab YUI. Built with Cosmos IBC, YUI achieves interoperability between multiple blockchains.

Unlisted

Contributor of Hyperledger Lab YUI. Built with Cosmos IBC, YUI achieves interoperability between multiple blockchains.