ustwoで働きながら学んだ幾つかのこと

Davide Petrillo
9 min readJan 30, 2017

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ユニフォームは返さなかった

(Translation of the original post made by the incredible Maiko Yagi — @maikoyagi)

昨年11月、素晴らしい6年間を過ごした後、僕はustwoを離れた。ショーディッチのスタジオで働いたこと、会社が時とともに形を変えていくのを見てきたこと、そして才能溢れる人たちに囲まれていたことは、人生を変えるような経験だった。

とは言ったものの、僕は数年前に自分自身に課した目標を追うことに決めた。それは、日本に移り住み、現地で働くということ。そしてもうすぐ、僕は次なるアドベンチャーを嬉々としてスタートさせ、東京の中心地にあるGoodpatchで働き始める。だからここで、僕がustwoでの日々の中で学んだ幾つかのことを書き記し、シェアしようと決めた。

1. People-First アプローチを取ること

デジタル業界は、従業員を事業成功のために使う資源として捉える考え方から、彼らを個人として扱い、事業そのもののを織り成しているものと捉える考え方へと移行している。

人(People)は会社を動かすエンジンであり、エンジンを回し続けるための燃料は彼らのモチベーションだ。内在的モチベーションが外在的モチベーションよりもパワフルで、より長い時間持続することから、私たちはマネージャー達を採用することからファシリテーターを置くことへと移行した。つまり、「何時までに何をしろ」と人々に伝えていたのが、何が為されるべきかを判断できるよう彼らをベストな状態に置き、自主性を持って行動することを促すようになった、ということだ。

ラッキーなことに、僕達は基本的なニーズがカバーされている時代に生きている。けれども同時に、企業が優れた人材を獲得するために争い、彼らを留めておくための気高い志を喜んで果たそうとしているという、競争の激しい業界で働いている。

ダニエル・ピンクのモチベーション3.0(原題「Drive」)を読んだ時、目的(Purpose)-自主性(Autonomy)-成長(mastery)というアイディアに強く共感した。人々に失敗する機会を与え、同時にビジネスの根本を揺るがすような失敗を防ぐためのサポートを与えること。彼らの想いに声を与え、リーダーへと導くこと。自分の周りを才能あるプロ達で囲み、彼らが成功するための環境を作り出し、そして彼らが人生で最高の仕事をすると信じること。失敗も起きるだろうけど、ポジティブなサプライズも発生するだろう。

2. 多様性(diversity)を受け入れ、包括的(inclusive)になる

このポイントは、一つ前の話と非常に結びついている。生産性の高い労働環境とは、全員が単純にベストな仕事を行うことに集中し、性別/人種/宗教/政治的価値観とかそういうものが何であれ、自分が尊重されていて、全体の中の一部であると感じられる場所だ。

ustwoでは、包括性 (inclusion)を中核に据えるために、全員がものすごい努力を払っている。多様性とは、簡単に語ることのできるトピックではなく、それは相手の感情的な層に触れることがあるからだ。だからこそ、議論を続けること、少数派の人たちの関わり方を常々確認していくことが、本質的に重要なのだ。

批判的にならず包括的であることは、人道的/博愛主義的な観点から良いというだけではない。多様性は企業とそのビジネスにとっても価値あるものだ。異なる視点はよりクリエイティブな解決策を促すし、全員が同じ考え方をしているチームに比べ、大体においてベターな結果へとたどり着く(これは、ブレインストーミング・セッションにトラブルメーカーが居ると良いのと同じ理由。)

多様性はまた、異なるバックグラウンドからやって来たユーザーへのより深い理解と共感を可能にする。それに、ustwoのように25カ国以上の国籍からなる多文化な集団であれば、国際的なクライアントともスムーズにコラボラーション出来るというのも副作用の一つだ。

3. 自分の役職だけでなく、業界を受け入れること

2010年にフランクフルトからロンドンへと移った時、僕のゴールはウェブ・ディベロップメント会社で働いて経験豊かなソフトウェア・アーキテクトになることだった。最終的に、僕は6年前には主にデザイン・スタジオだと考えられていた場所に参画した。僕は目的遂行に失敗したのだろうか?おそらく。でも現実には、僕が本当に求めていたのは、プロジェクトやプロダクトに対してより抽象的でジェネラリスト的な観点を持つことだった。それこそ、僕がustwoで最終的にやっていたことだ。

僕達が生きているのは、賢く才能あるだけでなく、ハイブリッドで流動的であり、プロダクトのデザインや開発に含まれる様々な専門性に対して心からの感謝と共感力のある人物が、デジタル業界で求められている時代だ。僕は、デザイン職からプロダクト・リードの役職へと動いていった人達を見て来た。時々、ほんの数週間から数ヶ月の間、彼らはより強く、経験豊かで、新しい学びを取り入れることの出来る状態で元々の役職に戻る。これは、I型やT型の人材を打ち負かすというわけではないけれど、僕は確実に、核となる能力の外側へと手を伸ばすことに価値があると思っている。

確認いいですか?ほら、僕のマシンで動いてます

4. カルチャーの重要性

驚くほどの才能を持った人々はそこら中にいる。とはいえ、全員が協働できるとは限らない。コミットメントとモチベーションが十分でないかもしれない — 重要なのは、一緒になって行動し、困難が訪れた時も互いの手を握っていられる、適切な人材がミックスされていることだ。

会社というのは一人の人間のようだと思う。バックグラウンドがあり、パーソナリティがあり、価値観、そして先に見ているビジョンがある。そしてカルチャーがある。会社のカルチャーとは、それに合った人々を魅了し、維持するものであり、良いカルチャーを持つことは、最も才能ある人々を魅了し、維持するものだ。

僕が採用面接を行う時、第一面接の目的は常に、その候補者がカルチャーに合っているかどうかだ。彼らは、僕達の価値観を信じてくれる人だろうか?人として、僕達は上手くやっていけるだろうか?この人を、近々会社のカルチャーの旗振り役となる人物として信じられるという良い手応えを、僕は得ているだろうか?

共に価値観を形作り、ビジョンを定義すれば、一緒に働く人達はその会社の最初のアンバサダーととなるだろう。

5. プロダクトのマインドセットとコラボレーション

ustwoに参加する前、僕はソフトウェアの技術を愛するテクノロジストであり、コードのクオリティやクリーンさに対して情熱があった。それに対しては今でも愛がある(良いデジタルプロダクトと、素晴らしいデジタルプロダクトの違いを生み出すから)が、僕が学んだのは、テクノロジーそのものは最終的にユーザーへの価値を作り出す機能として生きているということだ。

テンポの早いプロダクト・ディスカバリーの間、現在のフェーズに対してゴールを設定することと、次のことを自分自身に問うことは必須である:このスプリントから私達が得たいものは何だろう?私達が学びたい、検証したいことは何だろう?その検証された情報に、最も速くたどり着くにはどうしたらいいだろう?

同様に、初回納品物の開発中は、ユーザーの価値観を基にして、持たせる機能を慎重に選択するべきだ。余分で求められていないストーリーは、簡単に開発期間やバグ修正時間を延長させる。また、後々その機能を取り除くための余計な時間がかかり、そして時間(とお金)の無駄遣いが滝のように続いていく。

プロダクト開発に含まれるあらゆる専門性を持った人々が近い距離でコラボレーションすることは、素早いコミュニケーションを可能にし、従ってゴールへの素早い連携が可能となる。僕は、デザイナーとディベロッパーが同じストーリー上で協働することを、絶対的に高く評価する。そしてこのアプローチには付加的な価値がある。現れるのがプロセスの最後になりがちで、ユーザーとの関わりも比較的少ないテクノロジストも、このクリエイティブなプロセスではより必要とされ、実際には自分達の仕事がユーザーに対してかなり直接的なインパクトを与えているということを認識するようになる。

6. イノベーションと変化には時間がかかる

僕は少しばかりロジカルな人間で、誰かと話していて、新しいコンセプトを論理的に説明したりする時、相手が当然のように理解するもので、繰り返しは必要ないと思ってしまうことがある。現実にはそうではなく、実は僕自身こそ、何か新しいものを完全に取り入れるのに、会話を何回も必要とする最初の人物だ。

もし、教育(この言葉は本当に好きじゃないのだけど、だからこそ使うことにする)が一人の人間のスピードに合わせるために相当な努力を必要とするのなら、チームに対してはもっと時間がかかる。そして、もし目標としているものが組織を変化させることならば、それ以上の時間がかかる。ustwoが、上記のようにデザイナーとディベロッパーを同じスプリントかつ同じストーリー上でコラボレーションさせる準備を整えるには、何ヶ月もかかった。Leanやアジャイルを完全に取り入れ、プロダクト開発に精通したいクライアントにとって、双方の意見が一致したと感じるに至るには、「もっと良くなったかもしれない」プロジェクトや、衝突だらけの年月を必要とするかもしれない。

ゆっくりと、外部の人達を彼らの守備範囲の外へと連れ出そう。イノベーションの恩恵を実践的な例を以って、リードしよう。抵抗にあったら、共感を持とう。ステークホルダー自身にも、彼らのステークホルダーが存在するからだ。メッセージをコンスタントに繰り返そう。誰かに言われたこの言葉通り:自分自身を繰り返し過ぎていないように感じるなら、それは単に繰り返し足りていないからだ。

あっという間の、素晴らしい時間だった。さよならustwo!

Photo by @mazlin

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