MVCアーキテクチャが現在の主流から外れた理由
はじめに
さまざまなアーキテクチャやデザインパターンが登場しているが、
その中でも、かつて主流だったMVC(Model-View-Controller)アーキテクチャは、いまや新たなアプローチに取って代わられている。
本記事では、
MVCアーキテクチャの仕組みと、
現在主流でなくなった理由について解説します。
MVCアーキテクチャの仕組み
MVCアーキテクチャは、ソフトウェアアプリケーションの設計において、責務を以下の3つのコンポーネントに分割するアプローチです。
- Model(モデル):
アプリケーションのビジネスロジックやデータ構造を担当します。データベースとのやり取りや、データのバリデーション、ビジネスロジックの実行などが含まれます。 - View(ビュー):
ユーザーインターフェース(UI)を構築し、ユーザーに情報を表示します。HTML、CSS、JavaScriptなどを使って、データを視覚的に表現する役割を担います。 - Controller(コントローラー):
モデルとビューの間で情報をやり取りし、アプリケーションの流れを制御します。ユーザーからの入力を受け取り、適切なモデルの操作を行い、結果をビューに渡す役割を果たします。
MVCアーキテクチャは、これら3つのコンポーネントを明確に分離し、
互いに独立した役割を持たせることで、アプリケーションの拡張性や保守性を向上させることを目的としています。
現在主流でない理由
しかし、近年のフロントエンド技術やアプリケーションの要求が進化し続ける中で、MVCアーキテクチャは次のような理由から主流でなくなっています。
- 複雑なアプリケーションのスケーラビリティ:
MVCアーキテクチャでは、アプリケーションが複雑になるにつれて、コントローラーが肥大化しやすくなり、コードの可読性や保守性が低下する傾向があります。特に、大規模なプロジェクトでは、コントローラーが複数のモデルやビューと関係を持つことが多く、相互依存が生じやすくなります。 - シングルページアプリケーション(SPA)の台頭:
近年、SPAが人気を博しています。
SPAでは、ページ遷移を行わずにユーザーインターフェースが動的に更新されるため、MVCアーキテクチャの流れに沿わない部分が多く、新たなアーキテクチャやデザインパターンが求められています。 - モダンフレームワークの登場:
ReactやAngularなどのモダンなフレームワークが登場し、
それらが提供するコンポーネントベースのアーキテクチャや状態管理の仕組みが、MVCアーキテクチャよりも効果的であることが多いため、開発者の選択肢としてMVCが選ばれにくくなっています。 - データフローの制御:
MVCアーキテクチャでは、
データフローが双方向であるため、データの流れを追跡しにくく、
デバッグが困難になることがあります。
これに対して、現在の主流であるFluxアーキテクチャやReduxなどは、一方向のデータフローを採用し、データの流れを容易に追跡できる仕組みを提供しています。
まとめ
MVCアーキテクチャは、かつてはソフトウェア開発の主流だったものの、近年の技術の進化とともに主流から外れています。
現代のアプリケーション開発においては、コンポーネントベースのアーキテクチャや一方向のデータフローを採用したデザインパターンがより効果的であることが多く、開発者はこれらの新たなアプローチを選択することが増えています。MVCアーキテクチャを理解することは、ソフトウェア開発の歴史を学ぶ上で重要ですが、現在の開発環境においては、より適切なアーキテクチャやデザインパターンを選択することが求められます。