ebi_ten
2 min readJun 19, 2015

14歳と青いバラ

私は中学生の時、花屋さんに職場体験へ行った。ドキドキしながら店の戸を開けひと通り作業をこなし心も落ち着いたときに、私はある花と目が合ってしまった。それはケースの中の、目立たない隅の方にひっそりと飾られていた青いバラだった。

初めて青いバラを見たとき 私は一時も目が離せなかった。それはあまりにも神秘的で、異質でそして怖いくらいに美しかった。ただの珍しい花と言われればそれまでだけれども、まだまだ幼い14歳の私はそれを心の底から美しいと思いそして一瞬でそれの虜になった。

職場体験の最終日を終たときに、その鬱陶しいくらい綺麗な青いバラをもう見れなくなると思うと、私はとても悲しくなりほんの少し泣きたくなった。そしてどうしてもほしくなって、先生たちには秘密で一輪だけ購入した。花屋の奥さんは青いリボンを結んでくれた。きれいだった。あまりにもきれいすぎて大声で泣き叫び地団駄を踏みたくなった。私ははじめて何かを愛おしいと思った。

今にも泣き出しそうな空を見上げ、私は、青いリボンのついた一輪の愛おしい青いバラを大切に抱えながら帰路に着いた