生死を分けるStartupの暗黙知

— — 起業する前に必ず知っておくべき鉄則たち

スタートアップ志向の大学生・院生・20代社会人の方へ — —

皆さんはじめまして。33歳の起業家、榎本と申します。

26歳で起業し、その会社を今年6月に売却し(M&A Exit)、2社目を8月に起業した、連続起業家です。今2015年秋の日本で2回エンジェルから出資を受けたり、数千万円程度という小額ながらも100%の株主としてM&A Exitを経験した人物は多くはないでしょう。

私自身がまだ成功を目指す渦中の一人ですが、一起業家としてくぐり抜けた、ドロドロしたスタートアップの現実を交え、これから起業したい、10代、20代の方に向けて一つの参考としてお伝えします。

* * *

スキルがないと、死ぬ

ファイナンス、初期投資家とのコミュニケーション、

やらなくて良いことをやらないと選ぶその基準、

チーム崩壊の現実、だからこその、その具体的な回避の方法など、スタートアップでは成功はおろか、ただ生き残るだけでも、様々なスキルが欠かせません。

起業すると毎日毎日、問題とぶつかります。

問題が起きない日や、資金不足や人不足、規制の壁などボトルネックを感じない時間など無いと覚悟しておいた方が良いでしょう。

例えるなら運転と同じで、スキルがなければ事故って本当に死んでしまうのがStartupです。(最近のシリコンバレーでは次の投資ラウンドに行けない、またはビジネスがどうにもならない状態を、シード・エクスプロージョン(シードの爆発)とも呼ぶそうですね。)

こうならない様に、

では、どうしたら良いでしょうか。

答えはシンプルです。

スタートアップ界隈では暗黙知(言葉にされないが、お互い理解していて当然、という見えない下地のようなもの)の様に知られる下記の3冊をしっかり読んで、できる限りその通りに進めていけば死にませんし、それなりに楽しい起業家人生を過ごせます。

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推薦図書Ⅰ. 「起業家はどこで選択を誤るのか」
起業家はどこで選択を誤るのか スタートアップが必ず陥る9つのジレンマ 英治出版

Twitterの創業者が、当時の彼女と始めた1社目で、エクイティ(株)の配分をめぐって彼女と争った現実などが記載された生々しい名著。

ハーバード・ビジネススクール教授の著者がアメリカの9,900人のスタートアップの創業者たちを取材し、人の問題や金の問題など、9つのジレンマについて体系的にまとめています。

冒頭はこう始まります。

起業が一種の戦闘だとしたら、負傷する原因はたいてい、味方からの誤爆か自爆にある — — 残念ながらこれは真実だ。

私自身も経営チームのチームビルディングが最後までできず、最低ラインまでは作れたプロダクトと会社自体を金融商品として売る、という、いうなら創業者一人での孤独なゴールデンパラシュートで、企業を売ったのでした。その原因は、この本の通り「人の問題」に収束します。

私もこの本を読んでいなければ、たった1週間の差くらいで、致命的な傷を負ってしまいそうだったことがあり、「もしこの本を読んでいなかったら俺は…」と思い出し一人冷や汗を流したことがあります。

また、エンジェルとの関係も、事業の進捗が悪ければそれは、おそらく皆さんの想像を絶した最悪なものに陥ることもあるのです。

ある先輩経営者と飲んでいる時、「エンジェルがデビルに見えた時期もありました。」と自分の状況を笑い話として茶化したこともありましたが、あまりのストレスで1週間ほど毎晩死ぬ夢や殺される悪夢ばかりに苛まれた記憶もあります。投資家から自己破産を迫られ、瞬間的な判断がおかしくなり、消費者金融のATMの前で、2時間ほどぐるぐる悩んだこともあります。

これから起業したい人は、そうならないためにも、この本を読むことを強くお勧めします。

富を取るのか、コントロールを取るのか。(どちらも欲しい、は選択肢にはありません。)

これは起業の最初につきまとう問題なのです。

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推奨図書Ⅱ.「HARD THINGS」
HARD THINGS 答えがない困難にきみはどう立ち向かうか 日経BP

Airbnb、GitHub、facebook、Pinterestなどが出資先である、シリコンバレーの超一流VCアンドリーセン・ホロウィッツの共同創業者のベン・ホロウィッツ氏による、最高の1冊。著者はヒューレッド・パッカードにクラウドサービスのスタートアップを2007年に16億ドル超(当ポスト記載時点の価値で約1,920億円)でExitしています。

また、ヤフーにExit経験を持つ小澤隆生さんによる序文の冒頭部分に、多くの起業家が胸の奥をえぐられる様な感覚になったことでしょう。

以下、小澤氏による序文冒頭。

吐き気と悪寒。

本書を読みながら、何度も何度も感じた症状である。

読みながら、過去経験したさまざまなことが頭によみがえってくる。まるで実家の古いアルバムを見ているような感覚を味わう。しかも、できれば忘れてしまいたくなるような記憶である。(中略)

友達を自分の会社に誘ったはいいが、その後思ったように成果が出ずに、どうしようかと頭を抱える。自分で誘っておきながら、友達に辞めてほしいと言えるのか。

残念ながら私も限りなく近い経験をしました。27歳の頃に雇った、ある女性契約社員を会社都合で解雇する時、彼女から怒鳴られたのは今でもトラウマになっています。

また、

「話が違う。榎本さんのことは信用できない。」と、セールス面の悪化やサービスを作ったエンジニアの辞任に伴い、私がジョインを誘った友人から出資した金を返して欲しいと言われ、そのお金もとっくに焼け石に水のごとくランニングコストに溶けて、すぐにその友人に返済できず途方に暮れたこともあります。

ビジネスだけならまだしも、友情まで失うことのきつさ。

これは心底つらいものです。

しかし、そもそも上記の様なことは、創業者間で次のようにしておけば良いだけでしょう。

それは、自身のジョインの目的や個人的なビジョンなどを互いにどこまでもオープンにしたり、友人同士だからこそ話題にしたくない繊細な事象(役員報酬や株の配分、意思決定は最後は誰がするか、また、誰かがその会社を辞める時の引き継ぎ条件など)について正面から話したり、また、想像しただけで気分が悪くなる様な最悪なケースの時に皆でどう対処するか事前によく協議し合って決めておくなどです。

私も、実際に行うことは頭で理解することの100倍難しいとは感じつつも、上記の様に正しく事業を遂行すれば起こらない問題でしょう。

事態が起こっていない時なら感情的にならず互いに冷静な判断や選択ができますが、いざ現実に、話し合うことを避けていた種類の問題が起こるとお互いに感情が波打ち、ケンカ腰になってしまったりするものなのです。

(私もまだその方法を手探りで探しながらですが、二度と同じ轍は踏むまいと決めていますし、今回の起業でのチームビルディングでは前よりもうまくやれる自信があります。)

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推薦図書Ⅲ. 「起業のエクイティ・ファイナンス」
起業のエクイティ・ファイナンス ダイヤモンド社

著者の磯崎哲也氏は、公認会計士でカブドットコム証券株式会社社外取締役、株式会社ミクシィ社外監査役などを歴任してきた、スタートアップ界隈の特にCXO層(CEO、COO、CFO、CSOなど、要するに経営陣)で大変有名な方です。

株のシナリオともいうべき資本政策の不可逆性(資本政策は絶対に戻れません)や、投資家のモチベーションの本質や、彼らの都合(本音)、エンジェルを入れた後のケーススタディやVCと後々もめないための初期のエクイティストーリーの設計方法など、特にスタートアップのCEOやCOOにとって極めて重要な実務が詰まった究極の1冊です。文中や末尾に示された投資契約書もほぼそのまま使える、非常に優れたものです。(私も9月のファイナンスの際に活用させていただきました。)M&Aのケーススタディも、種類株への理解も、これからの起業家や創業チームには不可欠でしょう。

細かな実務に触れると、世界でも名高いY Combinatorというアクセラレーターがあります。彼らが2014年前半頃に示した基準として、「120Kドル≒1,200万円で7%程度」という投資基準が、今後日本でもスタンダードになっていくでしょう。売上もゼロのスタートアップの価値(バリュエーション)は、世の中に科学の様な客観的な明確な算出方法はなく(DCF法などはありますが、現実には投資家の担当のさじ加減で決まる様に思います)、投資家も起業家も、「17%で2,000万ですね」とか、言い方を選ばず言えばノリで決めてしまっているのが現実です。世界的な基準や、算出根拠を持っていなければ、投資家と起業チームのどちらかにとって納得感のない支配率になってしまい、本来の主旨である、事業を成功させるためのファイナンスというものが実現されません。

また、そもそも、なぜ投資家が出資してくれるか、また、なぜスタートアップの20社中19社がアーリーステージでのファイナンスをできないと言われるか(榎本がある個人投資家から聞いた言葉で、体感を伴う現実的な数字です)、その真実が書かれています。

断言します。

投資家はあなたのことが好きで人として応援したいから出資してくれるのではありません。投資家が出資する至上の目的はリターンです。起業家は出資を受けたら100%、必ずExitしないといけないのです。それ以外はありません。投資家による出資理由の99.9%リターンが目的で、残りの0.1%が、「こいつ(あなた)のことが好きだから」とか「私もやりたかった事業だから」などの個人的な理由でしょう。

これは事業が悪化した時に見せるエンジェルやVCの姿勢から、火を見るより明らかです。エンジェルも血を吐く様な思いで働いたり、痛い思いを味わって稼いだお金をあなたの事業に張ったり(「君にベットする」と彼らは表現したりします)、VCも機関投資家や多数の個人投資家から運用を任され、期限付きでファンドを経営しているのです。つまり、パフォーマンスが低い投資先、すなわち彼らの理想通りのExitの可能性がない、商品性のないスタートアップには投資家は絶対に出資したくないのです。

上記の様なことは投資家の都合を分かっていれば当たり前のことです。

しかし、起業の1歩目のこの事実も知らないで資金調達したいなどとファッションの様に軽やかに言ってしまう学生起業家や20代前半の起業家もいたりします。

また、どこで聞いたかは忘れましたが、成功する起業家は1,500人に1人と聞いたことがあります。母集団はしかも全力を尽くした経営者/経営チーム、という前提です。のらりくらりテキトーに仕事をしている零細企業は除外してこの数字ではないでしょうか。

私の体感でも上記はまさに真実であり、生きるか死ぬかギリギリのタイミングでどうにか小額でM&A Exitできた私も、言うなら上位50名の中にギリギリ入るかどうかという現実で(ランクはもう少し下かもしれません。。)、ユーザー2,000万人など本当にスケールできたり、実態の伴うIPOが出来て市場変えにも成功するなど安定した成長を続けたり、ファイナンスなどそもそも必要ないくらいに黒字が出まくっているスタートアップの方が、超希少なのです。私の周りでも文字通り消えていったスタートアップや、VCから数千万〜1・2億円の出資を受け華々しく意気揚々とサービスをローンチしても生きているか死んでいるか分からないリビング・デッド状態のゾンビの様な経営チームがどれだけいることか。(おそらくアメリカの様に、日本でのその生態は大学などの研究機関が大規模調査を進め、数年〜10年以内に明らかになるでしょう。)

そして、投資家への敬意を常に忘れてはならないのが、第三者からのお金を預かり運用させてもらう起業家という職業です。投資家は起業家より豊富な経験値や高い智慧を持つ人/組織が多く、起業家へのアドバイスの大半がシビアだが、真実なのです。凄みのある仕事をいくつも越えてきた人々なので、どんなに受け入れにくい内容でも、起業家は投資家の意見をしっかりと聞くべきです。そして、その上で起業家が勇気をもって決めるのです。

総括ですが、上記3冊を読み切るのに、深く読み込んでも1冊20〜30時間、合計でもたった60〜90時間です。この時間により、人生が左右される判断を迷いなく出来る様になるのであれば、時間の投資効果は極めて高いと言えるのではないでしょうか。

* * *

さて、いかがでしたでしょうか。

3冊を紹介しながら私の苦い経験などをありのまま振り返っていて、私自身が暗く陰惨とした気持ちになってしまいましたが、それでも楽しくて仕方ないから起業家を続ける訳です。

数字の全責任を引き受けて、意思決定しまくる日々は、事業の規模がどんなに小さくとも猛烈に楽しく、さらに取引先や仲間とその事業の成功を分かち合う夜などは、最高にエキサイティングで、起業しないと体験できない宝物でしょう。

上記を読んで、

「1–2年以内に起業したいけど、まだ最後の踏ん切りがつかない」

とか、

「短期間でのExitを当事者として体験したい」

という20代前半の方や20代の社会人の方、

ぜひ当社長期インターンや、CXOとして勤務しませんか?

冒頭で触れた、私が26歳で起業した会社で、1年半の長期インターンをしていた早稲田大学理工学部のある起業家志向の学生は、私の右腕の様に働いてくれた後、独立。国内のある上場IT企業が始めたアクセラレーターから第1号として出資を受け、活躍しています。

このタイミングでジョインしてもらえば、アフリカやドバイへの出張や、弁護士や会計士との打ち合わせなど法務/会計実務、企業/事業売却の交渉実務など、全てを体験できます。非公開でしたが、すでにエンジェルから初期のシード資金を調達済みで、大型クライアントもすでに2–3社が固まり、営業は非常に好調です。

スキルとして、起業の初期、そして事業として軌道に乗せ第三者に売れるまでにするスタートアップの全ての実務が、1年半〜2年程度の短期間で身に付きます。そして、日本社会や世界のためになる当社の事業だからこそ、参加してみませんか?

話を聞いてみたい人や興味がある方が、私榎本まで直接fb経由でリンクのリクエスト+fbメールか、下記アドレスへメールをください。

enomoto.tatsunori*gmail.com (*を@に変えてください)

先輩起業家らしく、うまい焼き肉でも東京駅あたりでごちそうします。

私も一人の起業家として次こそ、「完璧なExitだった」と言い切れるものを目指すとともに、

ご縁あってこうして私のこのポストを最後まで読んでくださった皆さんの事業の成功を心から祈っております。

21 Oct 2015

ENOMOTO Tatsunori 榎本 竜展

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