第8回 ニコ技深圳観察会感想

Eriguchi Shin
6 min readMar 30, 2018

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江里口です。1月半ばから深圳に住み、深圳生活の最後に「第8回ニコ技深圳観察会」に参加させて頂きました。

昔の深圳、現在の深圳

私が初めて中国を訪れたのは今から13年も前のことになる。2005年に初めて訪れてからというもの、ほぼ毎年のように個人的に中国を訪問し、この国の変化を少しづつ見てきた。私が「深圳」という街を初めて訪れたのは2007年に遡る。バックパッカーでこの街を通った時は、駅前も現在に比べて発展しておらず、街も今ほどの活気を感じなかった。単に、「国境の街」、「工場の街」といった印象しか受けなかったことを覚えている。しかし、今年の1月中旬に約10年ぶりとなる深圳の地を再び踏むことになったが、久しぶりの深圳は予想を超える急激な発展を遂げており、目の前の景色にただただ驚かされた。滞在してみて、この深圳のことを知れば知るほど、「今の中国」と「未来の中国」を知る上でこの街は間違いなく重要な街であることを感じている。それだけ、深圳の発展のスピード、世界に与えるインパクトは大きいように感じた。イノベーションへの取り組み、メイカームーブメント、深圳市政府の戦略的街づくりによってこの街は形成されている。

今回の参加者で、唯一の保険会社。保険会社と深圳におけるイノベーションが関係あるのかと疑問に思う方が大多数であると思う。

しかし、中国の保険会社の中国平安保険や衆安保険は保険募集や事故対応に対して、イノベーションの活用をしている。具体的には、事故発生した際に電話を掛けた音声で本人確認を取る事ができる。また、事故車を360度スマートフォンカメラで撮るだけで損害箇所、損害額が算定出来るようになっている。実際、中国の保険会社が世界的にも一歩も、二歩も技術が進んでいる。中国の保険会社は中国の先進技術を用いて、新たなサービスを展開している。(下記参考動画「金融壹账通智能闪赔产品片」〈优酷youku〉)

現在、世界保険会社の流れがInsurance(保険)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語である「InsurTech(InsTech)」の動きが強くなっている。つまり、テクノロジーを駆使して革新的な金融商品やサービスを生みだすFinTech(フィンテック)の保険業界版。

今回の観察会を通して、私は保険会社としてどのような変化を起こせるか(私が起こせるマジック)考察した。私なりの見方で観察会に参加し、感想をまとめてみた。

HAXの血液検査

HAXのヘルスヘア部門のBBBが作成した血液検査「エレマーク」は生命保険募集時に大きなイノベーションになるのではないかと思った。

現在、生命保険の加入時、医師の診察を受けてからその診断結果をもとにリスク判断し、保険料試算するようになっている。現在、審査なしに加入出来る保険も多数あるが、大部分は健康診断結果、もしくは病院の医師の診断結果を用いて保険会社はリスク判断している。

その為、現在の保険募集方法は、保険手続きや審査に多くの時間が掛かってしまっている。このエレマークを生命保険会社が活用するメリットは以下の通り。

①即座に健康状況を判断する事ができる

仮に、エレマークで作った血液検査を用いれば、保険募集加入時に加入可否について即座に判断できる。

②対面せずして保険募集時に健康状況をチェックできる

インターネット加入式の生命保険であれば、エレマークの血液検査セットを送れば、対面募集せずして、保険募集が可能になる。

③定期的に血液データが取れれば、アラーム(警告)を出す事ができ、予防医療アナウンスができる

生命保険の保険会社のリスクとして、一度保険加入すると、その補償が満期まで続続く。仮に、この血液検査とウェアラブル端末の健康管理できるデバイスがセットになれば、日々のアプリケーションを用いて健康増進を軸とした「予防医療アナウンス」ができる。テクノロジーを用いる事で、加入後の健康チェックし定期的に、病気発生リスクを下げる事が可能になる。

今回の例はあくまでも私から見た個人的な活用方法ではあるが、様々な意見を交換する事で、更なる良い使用方法が見つかると思う。引き続き、様々な可能性を探りながら、本社に話をしてみたいと思う。

KANDAO

KANDAOの「空間の奥行き」まで一枚の写真で判断できる技術に、幅広い活用方法があるのではないかと思った。

仮に自動車事故発生した際、KANDAOの360度カメラで事故車を撮るだけで車の状態や360度の事故状況を判断できるようなると思う。ネックとしては、360度カメラを常日頃持ち歩いていないのと、まだ普及が進んでいないのもあり個人ユーザーだと実際活用するのは難しいと思う。

仮に、360度カメラ(簡易版でも可)がスマートフォンカメラに内蔵されるような事があれば、保険会社にとって大きなイノベーションになると思う。

これまでの自動車事故は人が介在して、事故状況を判断していたが、360度カメラを用いれば、その一つのデバイスで細かくその場で事故状況を判断できる。

所感

マイクロソフトの元CEOビル・ゲイツが語っている言葉であるが、「私たちはいつも、今後2年で起こる変化を過大評価し、今後10年で起こる変化を過小評価してしまう。」と語っている。目先の仕事だけではなく、10年後に起こり得る変化を予見し、中国においてビジネスを行うことが出来るように努めていきたいと思っている。13年前に初めて中国を訪れて以来、この10年間の中国の急激な発展のスピードを側で見ていた私にとっては、これからの10年先の中国を過小評価する理由はない。2028年の自分なりのビジネスビジョンを描くためにも引き続きアンテナを高く持ち、中国の変化のスピードについていきたい。

また、高須さんが言っていた「僕たちが起こせるマジック」。今回、ニコ技深圳観察会に参加した我々は、何かを変える必要がある。それは、このブログを発信することに始まり、私の場合は社内に働きかけ、会社のイノベーションを引き起こすパワーにならなければならない。

高須さんは一人で最初踊り続けて、今、我々が一緒に踊っている。次は、高須さんと一緒に踊った我々がそれぞれの持ち場でどのように踊るかだと思う。

今回、高須さんのプレゼンテーションの中で一番印象的な部分が、セクシーサイボーグの話をしている時です。

高須さんが起こした一つのムーブメントが「makeマガジン」に載った話を聞き、ここまで情熱持って取り組んでいるのを直接見て、感動しました。正直、私も涙腺が緩くなりました・・・・。

最後に、このニコ技深圳観察会メンバーは日本を変えられると思う。頭いいし、面白い、そしてハートがあると思う。私も深圳で経験したことを伝えられるように、踊り続けたいと思う。「私が起こせるマジック」を起こしたいと思う!

何かを変えられなければ、この深圳に2ヶ月いた意味がないと思っている。高須さんのように、胸を熱くするような仕事をしたいと思っています。

高須さん、本当に今回ありがとうございました!

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