Erika Ito
5 min readJun 26, 2016

UXデザインってなに?わたしの歴代勘違いと、たどり着いた答え

「ユーザーの感情や体験をデザインする」ってよく分からなくないですか?UX白書を読んでも、難しくて理解できないし、ずっとモヤモヤ。でもやっと最近、自分なりに納得する答えに近づいた気がする。

今までUXデザインについての考えを文章化したことがなかったから、わたしのUXデザインの定義遍歴を赤裸々に振り返ってみる→→→

勘違いその1

UXデザインは「マーケティング」だ!

社会人2年目。初めてリーンUXを読み、悩んだ末に行き着いた勘違い。製品開発の前に市場調査をして、売れるモノを作る。それってマーケティングと一緒だ!

当時はIT企業でグラフィックデザインやUIデザインをしていた。範囲は幅広く、アプリのUIを作ったり、アイスクリームのパッケージを作ったり。そもそも手持ちの案件数が多く、それぞれ自分で市場調査をするような時間は無かったけど、「きっと代理店や周りの部署がしっかり調査しているから大丈夫」と、安心。自分は特になにもせず。(おい)

勘違いその2

UXデザインは「ハイクオリティなUIデザイン」だ!

社会人3年目。「人が気に入るアプリってなんだろう?」と考えた末にたどり着いた勘違い。押しやすいボタン、目を引く色使い、分かりやすいアイコン、気持ちのいいアニメーション。これを突き詰めることがUXデザインだ!

当時、事業会社の新規事業部にUXデザイナーとして転職した直後。肩書きの意味も深く理解しないまま。。(本当にすみません。)初めてデベロッパーさんとも一緒のチームでアプリ開発。世の中では、「ぬるぬる動くアニメーション」が高く評価されていた頃。私も流行に乗ろうと、After Effectを使ってぬるぬる動くモックアップを作り(時間の無駄)、ドヤ顔でチームのメンバーに共有する。

共有のあと、先輩デベロッパーさんに言われた一言。「これ、実現するのすごい難しいんですけど、どのくらい効果あるんですかね?」

うっ・・・。

勘違いその3

UXデザインは「高速で何回もリリースすることだ!」

社会人3.5年目。「どうやら、UIのハイクオリティ版=UXではないようだぞ?」と気づいて行き着いた勘違い。出来るだけ早くユーザーにアプリを届けて、改善を繰り返すことがUXだ!

思い返すと、この辺りでリーンスタートアップリーンUXを読み直したんだと思う(笑)ここまではよかった。ただそこで、「素早くリリースしなくちゃ!」と感化された私は、何故か「デベロッパーさんの負荷を減らそう」という考えに至る。Gitを勉強し、四苦八苦しながらフロントエンドのコーディングも担当することに。

わたしにとってフロントエンドはゼロからのスタート。案の定、業務時間は全てそこに費やされる。結果、時間が足りなくなり、デザインの改善がおろそかに。。あぁ、元も子もない。

勘違いその4

UXデザインは「価値がない!」

社会人4年目。なんか色々試してみたけど、美しいデザインを追求できないなんて、なんてつまらないんだろう!UXデザインやめた!

そこで、デザイン重視のWeb制作会社に転職。ウェブキャンペーンやコーポレートサイトなど、広告寄りで見た目重視のサイトをバンバン作りはじめる。あぁ、幸せ。

でも、よく見ると、他の人が作ったワイヤーフレームがおかしい。「なんでこの要素がここにあるの?この表分かりずらくない?」・・・ワイヤーから作り直し!(あぁ、時間がない。帰れない。。)

勘違いその5

UXデザインは「情報設計だ!」

社会人4.5年目。受け取ったワイヤーフレームを細かく確認するようになり、再びUXを意識するようになる。情報設計がしっかり出来てないと、ユーザーが迷ってしまう。そこ(ワイヤーフレーム)をしっかり作り込むことがUXだ!

でも、情報設計といっても、なにを軸にすればいいのか分からない。。経験が足りないのか?と悩む。色んなブログや記事を読み、「とあるサイトのテスト結果」など、今思えばあまり関係ないサイトのユーザビリティテストの結果を参考にしながら設計していた。

行き着いた定義

UXデザインは「誰かが抱えている問題を解決することだ!」

社会人5年目。UXデザインは、手法云々ではなく、誰かが抱えている問題をデザインで解決することなんだ!今の会社に転職し(4社目)、今までの勘違いを徹底的にボコボコにされ、立ち直り、やっとたどり着く。・・・長い旅路だったな!

「UXってなにをしたらいいの?」とか、「これって良いUX?」といった質問に答えるのが難しいのは、答えが一つじゃないから。そのプロダクトが誰のためのモノか、さらにその人が抱える問題が何なのか、それによって答えが全く違う。

これが、「UXデザイン」の定義が難しく、人によって解釈が大きく異なる理由なのかな、と思う昨今。

(「誰かが抱えている問題を解決する」ってどういうこと?については語りだすと長くなるのでまた別の機会に)

ただ、過去の自分を肯定すると、今までの勘違いはどれも間違いではない。当たらずとも遠からず、という感じ。

  • UXデザインはマーケティングだ!
  • UXデザインはハイクオリティのUIデザインだ!
  • UXデザインは高速で何回もリリースすることだ!
  • UXデザインは情報設計だ!

今思うと、これのどれもUXデザインの一部。ただ、ユーザー不在、さらにゴール未設定のままデザインを進めると、

UXデザインは価値がない!

となってしまうのだ。

Erika Ito

Product Designer at VMware Tanzu Labs (former Pivotal Labs) in Tokyo. Ex Medium Japan translator. | デザインに関すること、祖父の戦争体験記、個人的なことなど幅広く書いています😊