柳來々乃

頭の中の絵空事を、机上の空論にするお仕事

    [創作]あなたのためのわたくしなのです

    (title by LUCY28)冷気が喉を振るわせた。押し出された咳を煙みたいな息と一緒に吐き出してしまうと、思いのほか大きい咳をしてしまったらしい、彼女がこちらを見上げた。けれど彼女の目の前に立つ男に悟られる前に、彼女はそちらへ視線を戻した。こんなに寒い季節に、わざわざ告白程度の為に彼女を校舎裏まで呼び出す男の身勝手さと、受け取るつもりもない気持ちをこちらに見せ付ける為だけにわざわざ校舎裏まで足を運ぶ彼女の愚行を斜め下に一瞥して、男が口を開く前に教室に戻ってやった。 服に染み込んだ冷気は心臓ごと凍らせてしまいそうで、つい十分ほど前まで首元に纏わりついていた彼女の残り香は思考を潰してしまいそうだった。彼女に押し付けられた習慣で、鏡を覗き込めば自分の酷く歪んだ醜い表情が映りこんだ。潔いほどに丸出しの嫉妬心。けれど、彼女はこうして表立って感情が周囲に語りかけることを良しとしない。だからこうして鏡と対峙して必死に修正を試みる。 「好きにすればいいじゃない。」 「好きにするよ。」 私が彼女の好きにしかならない事実さえも彼女は上手に咀嚼して、喉元を見せ付けるように震わせて、それから横暴と一緒くたにして内臓に隠してし…