白い飯と生きる味


4つ下の弟が死んでそろそろ一年が経つ

妹から知らせがあったのは職場の最寄りの駅だった

人混みで膝をついて泣いたのはあれが初めての経験だ


弟は心の病気を抱えていて病院を出たり入ったり

でもここ数年はだいぶ落ち着いた生活をしていたようだ

生活保護のおかげで働くという重圧から開放されたからだろう


そんなこともあって知らせを聞いた瞬間は彼が自殺したと思った

詳しく話を聞くとそうではなく、心臓発作だろうってことだった

死んだ後では死因なんてたいして重要じゃないなとも感じた


母はもう二度も夫の喪主を務めたから僕がやるよと伝えた

葬儀屋には無理を言って一日予定を遅らせてもらった

家族には時間が必要だったし、僕も心の整理をしたかった

だから地元に着いた夜はまだ生活感の残る弟の部屋で母と二人で過ごした

そのときの夕食が僕にとって生涯忘れられないものとなる


弟は死ぬ直前にご飯を炊いていた

もったいなから食べようと母はレンジでそれをあたためる

ご飯はお世辞にもおいしいとは言えない

安物だったし、パサパサだった

でも弟は生きようとしていた

風邪をこじらせていたけど自分でご飯を炊いたのだ

空いたお腹を満たそうとして

次の日も生きようとして

その白い飯には確かに生きる味がした