Webサービスへの採用事例から考える暗号通貨のこれから

皆さんこんにちは、お久しぶりです。
自分のブログを更新するのもおよそ二ヶ月ぶり、なんて体たらくなんだ(他メディア様には寄稿させていただいてます)

トレードも忙しいし本業も忙しいし、ということでなかなか文章が書けてなかったです。本業ライターさんはすごいですね。


さてさて、先日暗号通貨界に久しぶりのビッグニュースが来ていました。
日本の著名配信サービス「ツイキャス」にモナコインウォレットが実装され、ユーザ同士で送り合うことが可能になったのです。

(リリースのサムネイルが僕のアイコンだった件は直前に「広報のサンプル画像で使っていいか」という打診が来ていたのですが、まさかこんな大きなリリースとは思わず驚いてしまいました……。)

といってもこの話題自体はモナコインクラスタで少し話題になった程度で、そこまで大きく広まったわけではなかったようですね。
しかし、僕は暗号通貨が前進した大きなニュースであったと感じました。言い換えれば、また違った意味での”キャズム超え”の瞬間だったかもしれない、ということです。

違った意味とは何か。

とうとう本物の「実需」のフェイズがやってきたかもしれないということです。それも最も理想的な形に近く、です。

今まで暗号通貨関連のサービスといえば、暗号通貨そのものを目的とした人たち(今後暗号通貨民と表記します)に向けてのサービスが主でした。
VALUのようなダイレクトに金融アプローチしてくるようなサービスもあれば、Purseのような暗号通貨民を潜在的な顧客として(お財布を)狙った決済サービスもあります。

また、僕は去年bitFlyerさんにこんな記事を寄稿しました。

ここではモナコイナー(≒暗号通貨民)達がモナコインを通じて実需のようなものを形成していることを書いています。ですが、これもあくまで暗号通貨民の中で閉じている話です。

モナコインに限らずビットコインにしても、やはり「”暗号通貨で決済をしてみたい”という”体験”を重視した、暗号通貨民のためのサービスや仕組み」が主であったことは否定できないでしょう。
つまり元々暗号通貨が好きである層を商業的ターゲットとして(顧客を取り込むためのアプローチとして)サービスに取り入れるのが精々であったと言えます。

しかしツイキャスは違います。ご存知でない方のために改めて説明すると、ツイキャスは日本の若者を中心に流行している配信サービスです。「ニコニコ生放送」と類似していますが、ツイキャスは無料で放送できることやとっつきやすいUIなどが手伝ってニコ生を超えて日本でナンバーワンのアクティブユーザ数を抱えています。

2017年時点で2000万人以上のユーザがいるようです、凄まじいですね……。またユーザの属性も興味深く、24歳以下が55%を占めていて、男女比も4:6ということで女性の方が多いとのことでした。

これはつまり、30代をボリュームゾーンとして、さらに圧倒的に男性が多い暗号通貨とは属性が異なるということです。

素直に分析するのであれば、ツイキャスでは暗号通貨に興味を持たないユーザがほとんどを占めるということになるのではないでしょうか。


何故ツイキャスは暗号通貨を採用したのか

ツイキャスには、視聴者から放送主へアイテム(一部有料)を贈り合うという文化があります。アイテムは受け取ったユーザが換金できるわけでなく、つまり金銭的価値があるものではありませんが(強いて言えば放送画面が華やかになる)、人気の放送では大変活発に飛び交っているようです。

若い世代の彼女達の間では、単純に「何かをもらえた」という体験・行為そのものの価値に重きを置いているようです。いわばデジタル版の「花束贈与」でしょうか。

金銭の贈与ではありませんが、またこれも一つの「価値」であるのでしょう。とはいえ彼らも人の子ですから、放送でお金がもらえるならもちろんそれはさらに嬉しかったりするものでしょう(人によってはそれが生命線になる可能性もあります)。
そのような関係の中で、今回実装されたモナコインは絶妙な”ゆるい価値の譲受”を担うものと思われ、それを狙って実装されていると考えられます。

また、前述した通り若いユーザが多いことも一因でしょう。
彼らはリテラシーが高く新しいものにすぐ順応します。年齢層の高いユーザの多いサービスよりは拒否反応が小さいことは間違いありません。

また、結局のところ暗号通貨はあくまでツールであり、どのような使い方をするかはユーザ次第ということになると思います。その点、若い彼女達の創意工夫は目を見張るものがあり、今回採用されたモナコインを独自の方法で利用する未来も十分に考えられるでしょう。

この記事は、iTunesカードを創意工夫することでマイクロペイメントとして成立させている様子を記事化したもので一読の価値があります。若年層の発想の自由さにはつくづく感心させられます。

その彼女達に暗号通貨が認知されるきっかけとなったのが今回の出来事でした。実際に若いユーザへ認知されはじめれば、ネットワーク効果で広まっていく可能性も十分に考えられます。
アプリ開発に携わっている人間の間では常識となっていますが、流行やキャズム超えは常に若い世代からのトリガーで起こります。

このように大きなサービスで採用されたことを皮切りに、暗号通貨(今回はモナコインでした)がwebサービスに組み込まれる流れはありうるのではないでしょうか。
(僕は以前BtoCサービスの開発エンジニアでした。他サービスの動向を注視して成功した機能を取り入れるような経営戦略はしばしば行われました)

何故モナコインが採用されたのか

ところで何故モナコインだったのでしょうか。正直なところ、最大の疑問であったと思います。僕にとってもです。笑

一応ビットコインも既に対応が発表されていますが、通常(今までのセオリーで言えば)ビットコインが先であってもおかしくはありません。というか、そうであるべきだったのではないでしょうか。

しかしツイキャスはあくまでモナコインをメインとして実装し、プレスリリースを発行しました。

考えられる理由として、まずMonappy等のサービスでユーザコミュニティとアクティブユーザーが事前に確認できることでしょうか。以前に記事にした通り、モナコイナーは「モナコインというおもちゃを使って創意工夫する」ことに大変長けているように思えます。これは独特の文化であることは間違いありません。
モナコイナーはモナコインをダシにして(こういう言い方が適切かは不明ですが)、ワイワイ遊ぶことを主目的にしている面があると感じます。(双方の誤解を恐れず言えば、”黎明期のビットコインの雰囲気に近い”と表現すると伝わる人には伝わるかもしれません)

暗号通貨によく見られる”価格を上げることを目的としての結束”とは全く異なる遊びの場

また技術的に枯れていることも一因として考えられるでしょうか。モナコインには複数の採用webサービスがありますから、既にある程度の知見が存在しており、スケーリング問題も当面問題になることはなく、コアプログラムも破壊的なアップデートがされる見通しはありません。そのような安定した性質が好まれたという見方もできるでしょう。
加えて、既に金融庁登録済みの取引所が採用している(いわゆるホワイトリスト通貨)という事実による安心感が手伝ったのかもしれません。

僕も含め、我々暗号通貨クラスタの人間は、こと暗号通貨に限ってはある程度知識を持っていますが、マーケティングやビジネスのプロではありません。営利企業がどのような視点で各通貨を見つめているのかは一旦フラットな目線で考える必要があるということだったのではないでしょうか。

最後になりますが、今回の採用によってモナコイン価格が高騰するという考えは一切無いことに言及しておきます。
通貨の価格形成プロセスにおいて、「実需」は「投機」に遠く及びません。為替の世界でも実需としてのオーダーよりも投機的なオーダーの方が圧倒的に多いのはよく知られた事実です。
例えツイキャスの全ユーザーが恒常的にモナコインを送受信するような状態になったとしても、投機的な売買の前では非常に小さなボリュームでしかないでしょう。よって相場を動かす力はありません。この点は早とちりなきよう。笑

いずれにしても暗号通貨の未来がますます楽しみであることは間違いありません。2018から2019年にかけてはより刺激的な躍進を見られるのではないかと思わせられる出来事でした。

Like what you read? Give 西欧の車窓から a round of applause.

From a quick cheer to a standing ovation, clap to show how much you enjoyed this story.