「muon」

頭のなかが

音楽でいっぱいになってしまう瞬間がある

通り過ぎた音が

耳の中に聞こえるときがある

今朝もそうだった

一人で歩いているとき

秒速1mも進まない風景のなかで

あの指揮者の背中を

思い出した

奥から

クラリネットやアコーディオンを弾きながら

演者たちが現れる

いつのまにか一番奥の真赤なカーテンが現れる

フィナーレの音で消える

楽団の列に混じって

そのカーテンのなかに

入ってしまうことをしたかった

呼吸をしながら

入れる場所ではなかったけれど

傷を負い

光に褪せながら

息をする覚悟をするとき

消えては浮かぶ音になりたいと思った

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