TM NETWORK「CHILDREN OF THE NEW CENTURY -FINAL MISSION-」:森の奥から響く音、ソフト・シンセが奏でる物語のプロローグ

2013年のコンサート「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」では、ステージに森のセットが組まれ、1950年代のアメリカの地方都市を舞台にした物語が展開されました。そのプロローグで、森の中で繰り広げられる出来事とともに流れたのが「CHILDREN OF THE NEW CENTURY」という曲です。オリジナルは1987年に制作され、アルバム『humansystem』に収録されました。ロックを感じるギターとスネアが印象に残るアレンジだったオリジナルとは異なり、2013年にはソフト・シンセの音をメインにして作り変えられました。
このバージョンは「CHILDREN OF THE NEW CENTURY -FINAL MISSION-」というタイトルで配信されています。ボーカルの入っていないインストゥルメンタルですが、一貫してシンセサイザーがメロディを奏で、その響きが聴き手をヒートアップさせます。シンセサイザーが曲の中心に据えられるのはEDMの特徴。2013年は小室さんが本格的にEDMに取り組み始めた時期であり、その影響が大きく出た曲のひとつです。

曲は不穏な、そして怪しげな雰囲気を漂わせる音で始まります。森の中で、カンテラの光だけを頼りに歩く人。シンセサイザーやベースの音は、光の届かない暗闇に恐れをなす人の気持ちを映し出します。ワブル・ベースが短く刻まれてリフレインすると、重く漂う暗闇が一層濃くなる。EDMにおけるワブル・ベースは観客をヒートアップさせるのが常ですが、ここでは観客を物語に引きずり込むための音です。物語の中へ、森の中へ、心と身体が呑み込まれていきます。
スネアのブレイクをきっかけに雰囲気が変わり、四つ打ちの音に変わり、曲はスピードを上げ始めます。ダンス・ミュージックらしくなってきたところで、オリジナルのイントロに使われているフレーズが高らかに鳴り響く。強烈なキックに支えられ、芯の太いシンセサイザーの音が曲を力強く引っ張ります。イントロのフレーズは曲を貫くテーマとして、何度も登場します。エレクトロニック・サウンドで織り上げたダイナミックな音の響きは、オーケストラの演奏のように壮大な雰囲気を演出します。プログレとはまた異なる大胆さを感じるアレンジです。

