TM NETWORK「JUST LIKE PARADISE 2015」:2015年型モデル・チェンジのエレクトロ・サーカス

Shinya Fujioka
Sep 1, 2018 · 4 min read
TM NETWORK 30th FINAL

TM NETWORK「JUST LIKE PARADISE」には3種類のバージョンがあります。オリジナルは1991年にリリースされたアルバム『EXPO』に収録されています。次に発表されたのが「JUST LIKE PARADISE -expo overdub mix-」です。1993年のリミックス・アルバム『CLASSX 1』で聴くことができます。

そして最後に挙げるのが「JUST LIKE PARADISE 2015」です。2015年3月のコンサート「TM NETWORK 30th FINAL」のオープニングで映像とともに流れ、翌月には配信も実現しました。小室さんは、オリジナルの雰囲気を残しながらも、2012年から始まったTM NETWORKの30周年記念プロジェクトで追究されたエレクトロニック・サウンドを注入して、2015年型の「JUST LIKE PARADISE」を完成させました。

「TM NETWORK 30th FINAL」の開催前、このコンサートを小室さんは「エレクトロ・サーカス」と称しました。「JUST LIKE PARADISE 2015」はその象徴のひとつであり、エレクトロニック・サウンドで構築された四分間のサーカスです。宙を舞い、天と地が逆さまになり、目眩く世界の変化に心を奪われます。踊らせること――それがこの曲のプライオリティです。

TM NETWORK: Tetsuya Komuro, Takashi Utsunomiya, and Naoto Kine

二十年の時を越えてモデル・チェンジした「JUST LIKE PARADISE 2015」は、シンセサイザーの音を巻き込んだプロペラ音から始まります。絶妙な厚さのキックがカット・インしてテイクオフします。細かく刻むスネアが曲に絡みつきます。ピアノ系の音のリフが聴き手を絡め取り、シンセサイザーの世界に引きずり込む。1991年に書いたメロディを2015年の音で鳴らしながら、TM NETWORKのEDMがその存在を強烈にアピールします。ソフト・シンセの音はネットワークを介して、短いスパンで更新されていると聞きます。太くて厚い音、きらきらと輝く音、スクラッチ・ノイズのような音。音は層を成し、重なりながら、ひとつひとつが屹立します。

「TM NETWORK 30th FINAL」のオープニング・ムービーは、小型ジェットから見た空を映します。雲を切り裂き、空を舞います。ジェットに座る小室さんは、バトンを取り出します。窓の外に放り投げます。画面にはCGで描かれたグラフィカルな空が映り、その中をグラフィカルなバトンが舞います。バトンは何処かに向かって落ちていく。音は鳴り続きます。

言葉の交錯からは大人の色気と気怠さが漂います。ベタついていないけれど、とはいえあっさりとしているわけでもなく、曖昧な空気の中に潜り込む声と声の絡み合い。街の片隅にぼんやり浮かぶ光の中で交わされる言葉。一方が ♪Baby dance with me through the night♪ と誘うと、もう一方からは ♪When you hold me close it’s paradise♪ と、誘いに乗るような、ひらりとかわすような言葉を返す。体温を感じるくらいに近い距離で交わすサインは、交差するのか、すれ違うのか。

Shinya Fujioka

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I am just a music/book lover. 音楽体験メモとブック・レポート TW: @fujiokashinya (JP), @fujioka_shinya (EN)

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