Achievement unlocked: アメリカ国内で H-1B のまま転職した(その2/2)

Fumiaki Yoshimatsu
Aug 8, 2017 · 8 min read

その1からの続きです。

11. Visa Transfer

H-1Bビザ保有者は、新しいスポンサーが「transfer」の手続きをしてくれれば、会社を移ることができます。「transfer」と通称されているものの、実質はほとんど新規の手続きと変わらないようで、例えば本当にできたばかりのスタートアップとかだと、却下される可能性も高いそうです(弁護士談)。

弁護士から連絡が来て、必要な書類を至急送ってくれるように連絡がありました。

* パスポート(空白ページも含む全ページ)
* これまでに得たすべてのI-797
* 出入国履歴
* 最新のI-94(入国記録)
* 直近の給与明細
* H-1B取得時に提出した、学歴やその評価記録

また、配偶者のH-4も同時に申請するので、配偶者の分のパスポートや出入国履歴なども。

アメリカで働いているような方々は、日本に一時帰国したり、ヨーロッパへ出張したり、バケーションで海外へ行ったりすることが多いでしょうから、出入国履歴をhandyにしておくことは結構大事だと思いました。かくいう私はパスポートのスタンプから日付を判別し、Google Photosで記録を照らし合わせ、日付を正確にするめんどくさい作業をする羽目になりました。

それと、最初にH-1Bを取得したときに弁護士が提出したはずの資料のコピーを手元に置いておくことも重要です。私の場合は特に、CSメジャーでない(BA, Liberal Arts, Linguistics)せいで私の学歴及びその後の職歴をSoftware engineerとしての特殊技能を保持していると認定できるかどうかの精査を行ってもらっていたので、その書類が手元にあったことは手続きを早く進める上で役に立ったと思われます。これまでに得たすべてのI-797も同様。

配偶者のH-4も手続きする場合はさらに、婚姻証明や戸籍謄本も(当初の申請時に)取得、作成したはずですから、それも手元に置いておく必要があるでしょう。これらの日付は当然古いわけですが、そこは問題にはならなかったです(これを読んでいる方は弁護士に確認してください。あくまで、2017年8月時点の私の場合はそうだったというだけです)。配偶者の出入国履歴も必要です。記録しておきましょう。

これらはほぼすべて、スキャンしてPDFをメールで送ればすみます。サインが必要な場合でも、サインしてスキャンしたり、EchoSignのようなオンラインのサインツール(電子署名って書くと誤解がありそうなので…)を使ってオンラインで行うことができます。

実際にFedExで弁護士に原本を送らないといけなかったのは、H-4に関する委任状だけでした。これは私たちの場合、当初のH-4は弁護士に頼まずにすべて自分たちで作業を行って取得したためだと思われます(想像です。必要なら理由を確認してください)。

12. transfer手続き待ち…

私の場合、H-1Bを移す先の会社をどうするか問題(詳しくは書きませんが先述のスタートアップだと厳しいかもって話)があって少し遅れ、7月第三週からやりとりが始まり、8月に入ってもまだ完了していなかったので、7月末の退社はどのみち無理筋でした。H-1Bのtransferを伴う場合、1ヶ月は見たほうがよさそうです。

ただし、transferが完全に行われるまで待つ必要はなく、USCISがtransferの手続き書類を受理して、その受理番号を受け取れたら、その時点で新しい会社で働き始めることができます(これを読んでいる方はこの件も確認してください。あくまで、2017年8月時点の私の場合はそうだったというだけです)(H-1B portability rule)。

しかしそうなると当然浮かんでくる次の疑問は、「働き始めてからtransfer申請が却下されたらどうなるの」です。ググってみると、「却下されてもビザは無効にはならないので、元の会社では働ける」という説明が出てきます。確かに、transfer申請の事実や、必要書類などについて、現職(つまり前職)の会社に知らせる必要は、手続き上は一切ありません。ですから、失敗したらしれっと働き続けるというのは不可能ではないのでしょう。ですが、オファーを受けて入社日を決めなければtransferの手続きも始まらず、入社日を決めた以上は退社日について通告しなければならないわけですから、これは鶏と卵です。入社日を決めずにtransfer手続きだけ開始してその成り行きで退社日と入社日を決められればよいのでしょうが、自分の場合そこまで頭を回せませんでした。

却下されて前職も退社した場合、残る選択肢は出国以外にはありません。転職が決まったはずでも、多くの場合ここでの雇用はお互いの「At will」ですから、入社数日で解雇という結末になるのでしょう。

自分の話に戻ると、入社予定日(月曜日)の直前の金曜日に「transferの手続きはcomplete」という連絡が来て、晴れて月曜日から(とりあえず却下されるまでは)新しい会社で働けることになりました。

12. 残務整理

結果的に新規プロジェクトのリリース直前での離職となることもあって、残務整理というよりはかかえていた仕事を終わらせるので手一杯でしたが、それまでに頭の中にだけあったもろもろのドキュメント化も並行して行いました。狭い業界だし、その会社や同僚が憎くてやめるわけでもないし、クビになったわけでもないので、自分の退社が周囲に対するpunishmentになってしまうようなことはできるだけ避けようと思っていました。

とはいえ、「ちくしょう、転職だっ」と思ったのは初めてではなくて、その度にドキュメント化などの作業は行っていたので、あわててあっぷあっぷで書いたというわけでもないです。もっとも、そういう理由ではなくて常日頃からできるだけドキュメントやワークログを残したり、情報共有をしておくほうがいいに決まっています。全然やっていなかったわけではありませんが、いかんせん目の前の作業の方が多かったもので。結果、ろくに休みもとれずに会社を移ることになってしまいました。

13. まとめと反省

転職先に余裕があって入社日をオファー受諾から1ヶ月以上先にできるような場合には、transferをとにかく開始してもらって、進捗を見て最終出社日を通告するのが、気持ち的に一番楽だろうと思います。

ですが多くの場合、転職先に余裕がない(今すぐにでも来てほしい)か、現職がそこまでゆるふわっとしていなくて2週間前通告で即退社というわけにもいかない(プロジェクトがどんどんアサインされるとか)、またはその両方でしょう。できるだけコトを円滑に進めて自分の気持ちに余裕を持たせるためにも、「ちくしょう転職だっ」から実際の転職活動に踏み切るまでに、1ヶ月くらいは助走期間を設けるのがいいんじゃないかと思いました。現職からスムーズにフェードアウトできる準備や、必要書類を調べてできるだけ(紙とスキャンした電子データの両方を)手元に用意して、大まかな最終出社日と新しい会社での初日を描いて、それから転職サイトへの登録なんかをやるとよいのかなと思いました。transfer手続きは現職には完全に伏せたまま行うことができるはずですので、transferのめどがたった段階で、最終出社日を通告するのが、気持ち的にはよいかなあと思いました。

とはいえ転職するとかしないとかは自分の気持ちだけで決められるものでもないので、ということは、そういう書類関係は常日頃から用意しておくこと、現職においていつ辞めても周囲が困らないように情報共有して属人化しているものを切り離していくこと、などをしておかないといけないということで、だけどこういう心構えや準備って、当然だといわれるけど実際には業務に追われていたり周囲にやる気がなかったりで難しいことも多いので、やっぱり「転職だっ」とかならないとなかなか難しく、結局鶏と卵なのかなあと。

なお、これを書いている2017年という年は、後から振り返ったときに特異な年として記憶されているのかもしれません。言うまでもなく現政権の「America First」のおかげです。H-1Bの審査を厳正にする話やポイント制度の導入などが聞こえてきます。

ですから、もしかするとこれを読んでいるあなたには、私の体験談は の役にも立たないかもしれません。そうでなくてもこれはいわゆる「I am not a lawyer, but」な話ですし、すべての人に一様に当てはまるわけでもありません。そこんところはどうかご了承の上で、それでも参考になる部分があればよいのですが。

おわり。

    Fumiaki Yoshimatsu

    Written by

    A software engineer in NYC

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