「こども宅食」にかける意気込み。

新卒でNPO法人フローレンスに入社し、2年目から、先日公開された「こども宅食」という事業の立ち上げを担当しています。

こども宅食」は、文京区の、経済的に厳しい状況にある家庭の子どもたちに、無料で食品を届けるプロジェクトです。

そして、食品を届ける過程(利用申込の際に使用するLINE経由、宅配時の会話etc)で困りごとをを聞き、ニーズに応じて、社会に散在した支援を届けていきます。

このプロジェクトは、「子どもの貧困」を産まないエコシステムをつくるための、砕氷船でもあります。

このプロジェクトについて、イチ担当者として、想いを書いてみました(長い)。


●日本の貧困について

日本では今、「7人に1人」の子どもが、ひとり親家庭に至っては、「2人に1人」が「相対的貧困」に陥っています。

「相対的貧困」とは、1日100円で過ごす、というような暮らしではなく、平均的な家庭の半分くらいの年収で暮らしていて、日々の暮らしにカッツカツ、そんなイメージです。

このような家庭で生きるこども達には、何が起きるでしょうか?

例えば、

「友達が、お小遣いでおやつを買っているけど、自分はお小遣いはないので、見ているだけ。」
「友達が、夏休みに旅行に行った話をしているけど、自分はずっと図書館にいたので話に加われない。」
「友達が、大学受験の話をしている。でも、自分は小学生の頃から、大学に行かせるお金は無いから働いて欲しい、と親に言われている。」

僕自身は、小学生の時に母親が離婚し、カッツカツだったけれど、養育費をもらえていたし、母が切り詰めてくれていたおかげで、なんとか大学に通わせてもらえました。

でも、いつも暮らしは最低限で、苦しかった。最低限のモノ以外は用意できなかった。例えば、小学校の卒業式。皆が中学用の黒い制服を着ている中、1人だけ真っ白な私服で参加し、とても辛かったことを覚えています。

学生服は高く、とてもではないが、買えない。母が、同級生の家に「制服を譲ってもらえないか」と、電話をかけ続け、断られていたこと。そんな中、一張羅の白いセーターを、言い聞かせながら着せてくれたことを覚えていますが、1人違う、というのはとても苦しかった。

友達と自分を比べて、苦しくなって、自分の可能性を諦めていく。

子も苦しいが、親もまた、子に苦しい思いをさせていることで、苦しい。

これが、「相対的貧困」だと僕は思っていて、なんとかしなければと強く思います。


先週、この「こども宅食」キックオフの記者会見を行いました。ネットでは様々な反響があり、たくさんの応援の中、こんな声がありました。

「子どもの口に入らず、親が食品をメルカリで売り飛ばすんじゃない?」

こういうのは、幻想です。

親は、我が子をなんとか応援しようと、切り詰めて、切り詰めて。

まずは、自分のご飯から切り詰めて。

歯を食いしばって、食いしばって。

それでも足りなかったらどうするか?

もっともっと、歯を食いしばるんです。

子が、夢のため、夜遅くまで受験勉強をしている。部屋が狭くて机がないから、布団の上に盆を置いて勉強をしている。そんな姿を見ているのに、夜食を用意する余裕も、インスタントコーヒーを淹れてやる余裕はない。

我が子を、全力で応援できない。それ以前に、子どもに、夢を諦めて欲しい、と親が言わざるを得ない状況もたくさんあるでしょう。

それが現実であり、そんな現実を看過しおくわけにはいかないのです。


●「こども宅食」に取り組む団体について

「こども宅食」では、子ども達や、家族の状況を憂いた文京区、そして、5つの団体が事業協定を結んでいます。

「こども宅食」コンソーシアムのメンバー

「子どもの貧困」問題のように、複雑化・相互依存化した問題は、単独の組織や個人による取組みだけでは限界があります。

そこで、「異なるセクターにおける様々な主体 (行政、企業、NPO、財団など)が、 共通のゴールを掲げ、お互いの強み を出し合いながら社会課題の解決を目指す」、すなわち、コレクティブ・インパクトに取り組みます。

文字面は、イケイケですが、言語も、カルチャーの違う団体や、行政との協働は、想像以上に困難です。メールのやり取りの方法から違っていて本当に…(ぼやき)。

しかし、「親子のために」という想いの下、各団体が必死に取り組んでいます。

キッズドアさんは、長年、学習支援に取り組んでいる知見を活かし、様々な提案で、このプロジェクトの可能性をどんどん大きくしてくれています。「こども宅食」では、食品だけではなく、支援情報を届けることになったのもキッズドアさんの発案です。

RCFは、社会事業コーディネートのプロとして、食品を提供してくれる企業さんをはじめ様々なパートナーと、「こども宅食」をつないでくれています。担当の佐藤さんは、すぐにキッズドアの学習支援の現場を訪問していて、現場に飛び込む姿勢、本当にリスペクト。

jfraさんは、「こども宅食」のインパクトを定量的・定性的に把握し、価値判断を加える、「社会的インパクト評価」を担います。「やりっぱなし、いいことやって俺らサイコー」とせず、課題解決にコミットします。

村上財団には初動資金をサポートして頂いています。寄付をして終了、という選択肢をもある中、この共同事業体に参画して頂きました。
*詳しくは、話題の「生涯投資家」に詳しいです。

食品ロスの専門家の井出さんは、フードバンク系の活動は未開拓の私たちを、導いてくれています。

そして、文京区の担当者は、NPOとカルチャーが大きく異なる中、既存のルールの中で、最大限の努力をして応えてくれています。

母子家庭に育った担当者の方の1人が、「私の家にも、田舎から野菜が入ったダンボールが送られてきた。そんなイメージのあたたかい事業にしたい」と言っていたのが印象的です。

我が家にも、田舎の祖父母から、野菜の入った箱が定期的に送られてきていました。とても助かったし、「ありがとう」と祖父母に電話をする母の姿を見てきました。

「田舎から届く野菜の入ったダンボール」、そんな”弱い紐帯”を目指し、こども食堂等、様々な活動と協力しながら、誰も孤立をさせないセーフティネットをつくっていきます。


「こども宅食」のタグラインとして、こんな言葉を添えました。

「とどく、つながる、みらいのために」

「つながる」は「こども宅食」を通して、支援団体が親子と繋がる、という意味です。

同時に、「夢を諦めさせない、夢をつなぐんだ。」そして、「何があっても親子の命が絶たれるようなことだけは、絶対にあってはならない。命をつなぐ。」そんな想いを、個人的には込めました。

貧しさゆえに娘を殺したシングルマザーの慟哭〜銚子市・女子殺害事件の真相
「執行官が部屋に踏み込んだとき、松谷被告は放心状態で、殺してしまった可純(かすみ)さんの頭をなでていました。二人がいた居間のテレビには、可純さんが映る運動会の映像が流れていたといいます」

どんな環境にあっても、子ども達が自身の可能性に挑戦出来るように。

そして、親も、子どもを産んで心からよかったと思えるように。子どもに苦しいを思いをさせてしまったと、悲しむようなことがないように。


最後に。背筋が伸びる思いですが、もう既に、300人以上の方にご寄付をいただきました。

この事実は、ひとり親家庭をはじめ、孤立しがちな家庭に、

「子育ては、親子の孤独な戦いではないよ、あなたを応援している。」

「社会みんなで支えていくんだ。」

そんなメッセージにもなっているはずです。

「こども宅食」を通じて、そんな優しい社会をつくっていきたいと思っています。


長文になりましたが、クラウドファンディングはまだ600/2000万円ほどしか集まっておりません。親子のため、ぜひ、応援よろしくお願いします!


▼命をつなぐ「こども宅食」で、1000人のこどもと家族を救いたい!
https://www.furusato-tax.jp/gcf/155

▼ふるさと納税で子どもに食品を|NHK 首都圏のニュース http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20170720/5273511.html

P.S.「2ヶ月に1回の配達とかやる気感じない」等、貴重なご意見は胸にしまって、やる気ないわけねーだろと心のなかでタコ殴りにしつつ、愚直に頑張ります。

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