2020年問題

21世紀に入って気がついたとある問題

♪ OKAWA Shigeki
3 min readOct 30, 2013

以下、2008年4月10日に書いた記事です。

ふと気になったこと。

コンピュータ上のファイルに名前を付けるとき、日付(年月日)を先頭に付けるという方式をずいぶん昔から採用してきた。ずいぶん昔とは、私がコンピュータを日常的に使い始めた1980年代後半からである。

当初はさほど深く考えず、たとえば1987年4月10日だったら「870410diary.txt」のようなファイル名を付けた。その頃は、ファイル名に日本語を使うといろいろ厄介なことが起こったので、すべてアルファベット半角文字だったのが、やがて日本語も使うようになり、「951011なんとか会議議事録.doc」のような具合に発展した。

この「西暦下2桁年+月日+内容.拡張子」方式はまずいなぁ、ということに気が付き始めたのは、確か1995年頃である。このまま続けると、2000年になった瞬間にファイル名が「000101元旦の記録.txt」のようになり、ファイル名でソートすると1999年のファイルよりも2000年のファイルが前に来てしまうではないか。1987年頃からファイル名を「19870410diary.txt」としておけばよかったのである。先見の明に乏しいとはこういうことである。実際、2000年になるときには、こういう事象も含んで「2000年問題」と称して世の中が大騒ぎになった。

そういうわけで、いまだに前世紀というか1900年代のファイルが混じったディレクトリ(フォルダ)内のファイルの並び順は気持ちが悪い。一括置換するのも様々な事情で難しい。

ところで、他人から送られてくるファイルの中にも、同様に先頭に日付の付いたものがあるが、流儀はいろいろで、中にはこんなのがある。「200804収支報告.txt」。要するに、年月日の年月だけを採用して2008年4月の収支報告、というわけである。いまこのファイル名を見ても、さほど不自然さというか困った感じはしないが、先の6桁ルールに従って読むと、これはそう遠くない将来、2020年8月4日の収支報告と混同するに違いない。

199904 なんとか、も同じかと思いきや、2019年99月という月は存在しないし、1912年に作ったファイルというのもまずないだろうから、この混乱が起こるのは 2001年から2012年までに限られる。すなわち、2001年から2012年までの間に、何の気なしに「4桁年+月+内容.拡張子」のような命名をしたファイルが、2020年に混乱を引き起こすことになり得る。

「2000年問題」の次は、UNIXのtime_t型がオーバフローする「2038年問題」と言われ、多少騒がれ始めているようだが、「2020年問題」はどのくらい認知されているのだろう。検索してみたけれど、これとは関係のない「2020年問題」しか引っかからないので、ここで問題提起。

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♪ OKAWA Shigeki

Professor, Scientist, Engineer, Amateur Pianist and Father of two sons. 大学教授、科学者、エンジニア、アマチュアピアニスト、二児の父。