時間の方向

同じ時差でも方向によってまるで感覚が違う


(2005年9月3日執筆)

時差からの回復力は年齢に依存するのかもしれない。若い頃は、普段からよく徹夜をしていたから、7~8時間程度の時差の解消などどうってことなかった。移動したその日はさすがに辛いが、1日経てば多少眠い程度で済んだ。それがどうもここ数年、回復に2~3日かかるようになっている。

案外知られていないが、時差に関して移動する方向は重要である。たとえば日本からアメリカ西海岸に行く場合とヨーロッパに行く場合とでは、どちらも7~8時間の時差(夏時間かどうかで1時間変わる。ここでは面倒なのでどちらも7時間とする)だが、その感じ方は大きく異なる。日付を無視すると、アメリカ西海岸は日本より7時間進んでおり、ヨーロッパは7時間遅れている。ヨーロッパに移動した日は、体が感じる時刻が深夜0時のとき、現地時刻はまだ夕方5時であ る。眠いがいつもより夜更かしするつもりで頑張ればよい。アメリカ西海岸に移動した日は、体が感じる時刻が朝7時のとき、現地時刻はすでに午後2時である。現地で普通に生活するには7時間早起きしなければならない。

夜更かしするのと早起きするのとどちらが楽かと言えば、普通は夜更かしである。したがって、アメリカに行くのとヨーロッパに行くのとでは、同じ7時間程度の時差であってもヨーロッパに行くときのほうが楽である。もちろん、帰りは逆方向だから、ヨーロッパから帰った後はアメリカから帰った後よりも辛い。ただし、旅行や出張の場合、帰国した直後は少し休めることが多いから、現地で辛いかどうかのみを考えると、ヨーロッパのほうがアメリカよりも楽だということになる。

同じアメリカでも、ニューヨークなど東海岸まで行くと日本との時差は10~11時間になる。ほとんど半日ずれるので、昼夜がひっくり返るかと思うのだが、実は我々は12時間も眠らないので、感じ方の点では 7~8時間と大差ないのが面白い。今年の2月にアメリカに行ったときは、到着した日の午後からさっそく仕事があり、しかもその晩にはパーティに出席しなければならないという強行軍であった。往路の飛行機でもよく眠れず、体がそろそろ夜だと思ったら現地はすでに朝で、ほとんど徹夜した翌日同然の初日を過ごした。

要するに、ヨーロッパから日本に来た人を、すぐにパーティに招待してはいけないのである。

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