カムリの勘違い
駐車スペースを間違えると案外面倒なことになるという話
夜10時すぎに車で帰宅。駐車場に停めようとしたら、ありゃ、私が借りている駐車区画に別の車が入っている。うーむ。仕方がないので下りて観察すると、足立ナンバーのカムリ。なかなかいい車じゃん。
しかし、うーむ、弱った。車を停める場所がない。どうしたものか。
1番から380番まである広大な駐車場であるのと、ごく最近駐車区画の入れ替え抽選があったのとで、おそらくは以前にそこを使っていた人が間違えたのか、ちょうど真後ろにある街灯を目印に停めている人が街灯1本分を間違えたのか、あるいは、どこでも自由に停めてよいと勘違いした人が勝手に停めてしまったのか。
夜9時までならば、マンションの管理人が常駐しているのだが、深夜は管理室は無人になるので、まずは管理会社の夜間緊急サービスに電話。
「あのー、私の駐車スペースに知らない車が停まってるんですが。」
「あー、無断駐車ですかぁ。」
「うーん、無断なのか、間違えたのか、分かりませんけど、こういうときはどうすればいいんでしょう?」
「こちらじゃどうしようもありませんので、警察に連絡してください。」
「え? 警察?」
「はい。けっこうそういうことあるんですよ。警察に言えばナンバーから持ち主調べてもらえますので。」
「なるほど。」
というわけで110番。数年前に車上荒らしに遭ったとき以来である。
「事件ですか? 事故ですか?」
「え、あの、その、事故ではないですけど、事件ってほどでもないな…」
「は? 怪我人はいますか?」
「いえ、あのですね、マンションの駐車場で、私のところに知らない車が停まってるんです。管理センターに言ったら警察に電話しろって言うんで。」
「あーそうですか。無断駐車ですね?」
「まぁそうです。」
「分かりました。それじゃいまからおまわりを行かせますので、住所を教えてください。」
「…」
な感じで、住所と氏名を告げて状況説明。カムリのナンバーを伝えると、しばらくそこで待っててくださいと言われる。
しばらく… 遅いなぁ… 15分ほど経過の後、バイクに乗ったお巡りさんが登場。
「遅くなっちゃった。すいません。どこですか? その車は?」
「こちらです。」
「あーこれね。で、あなたの車は?」
「あちらに路駐してます。」
「あ、そう。路駐はマズイね。」
「でも停める場所ないですから。」
「そうっすね。仕方ないな。えーと、ちょっと本署に連絡しますので、あっちで待っててください。」
「ここにいちゃいけないんですか?」
「ええ、できれば。最近個人情報とかうるさいんですよ。」
「分かりました。」
「持ち主が分かりました。お宅と同じマンションにお住まいの方です。」
「そうですか。じゃやっぱり間違えたのかな。」
「そうかもしれませんね。ここ入口はオートロック?」
「そうです。」
「じゃ、中に入れてもらえますか? 直接行っちゃったほうが早いから。」
「いいですけど、こんな時間に大丈夫ですかね?」
「え、何言ってんですか。いけないのはあっちなんだから。」
「まぁそうですけど、怒られないかな。」
「怒るのはあなたでしょう。大丈夫、うまく言いますから心配しないで。」
「はい。でも私こっちで待ってます。」
「そうですね。そうしてください。顔合わせないほうがいいでしょう。」
「はい。」
5分後、人影が現れ駆け足でカムリへ。遠くから観察していると、3つほど隣りのスペースに移動の後、戻って行くのが見える。
「やっぱり間違えてたようです。いま動かしてもらいました。」
「助かりました。怒ってませんでした?」
「いや、ひたすら申し訳ありません、って言ってましたよ。」
「そりゃお巡りさんがこんな時間に訪ねて行ったら誰でもそうでしょうね。」
「かもしれませんね。」
「とにかくありがとうございました。助かりました。お手数をお掛けしました。」
「いえいえ、どういたしまして。ではおやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
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