10日ほど前のこと。
夜ふけに家の近くで猫のような鳴き声が聞こえはじめ、その声は近づいたり遠ざかったりしながら動きまわって、やがてうちの庭に入ってきた。
翌朝になると、庭にある物置の床下の小さな空間から子猫の声がしていた。
近所の路上には空の段ボール箱も出現していた。
捨て猫である。
その日の夜、物置の下から出てきて鳴いていたところを捕まえた。小さなキジトラの雄だった。
ケージの代わりに、洗濯物を入れる籠を裏返してかぶせる。
猫缶を少し与えてみると、あっという間に食べた。
次の日、獣医に診せてみると、体重は440グラム、生後1ヶ月半らしい。ノミ取りの薬を背中に塗られた。
玄関では革のブーツに入って寝ていたが、
先週から部屋に上げてやると、駆け回るようになった。
里親を探すはずだったのだが、いつの間にか、うちで飼うことにきまった。
今のところ、元気いっぱいである。
名はタマ。まだ呼んでも来ない。