着物で台湾いきたいわん

Kazuhiro Ogura
The Kimono Guy
9 min readMay 2, 2016

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2016 Spring (Taipei)

・洋服は着ない、持って行かない。服装は機内含め、着物のみ。

・スーツケース、ダメ、絶対。荷物は風呂敷に包む。

着物出張シリーズ。台湾に着物で出張に行ったので、海外出張、あるいは海外旅行を考えている男子の参考になればと思い、書いてみます。

今回は4月19日から22日まで三泊四日と短期出張でした。目的は展示会の視察と現地ビジネスパートナー・ユーザーの訪問です。

悩んだ点:気候!

自分の着物生活が長くなってきたこともあって、あまり苦労も、工夫も無かったのですが、それでも気候についてはかなり悩みました。

ネットで週間天気予報を見ると、「毎日雨」。水濡れが苦手なものは着ていけなそう。

気温は22度から29度で、かなり蒸し暑い様子ながら、そうはいっても過去に行った香港オーランドよりは時期的なズレもありかなり涼しそうなので、盛夏のつもりでスケスケな薄物とかで行っちゃうと、ちょっと場違いになりそうな感じ。

東京はまだ朝晩寒いので、移動中の格好の調整にも悩みます。

終始カジュアルな雰囲気でよければ、東京でやってるように木綿や麻の着流したりして多少の雨も気にせず楽しめそうなのですが、ビジネスで会社も訪問するし、外国だし、羽織を着たいところ。

昔まだ洋服を着ていた頃に台北に行ったときの経験を踏まえると、雨は降るときは結構激しく降るので、足元も大きな課題です。雪駄ではつらそうに感じました。

装備

結論としては、足元は雨に備えて下駄。移動日・機内ではステテコ+肌襦袢+襦袢+綿麻長着で、現地では褌+襦袢+長着+羽織と、羽織が増える分、アンダーウェアを涼しめにアレンジすることにしました。雨は、合羽を着ると暑そうだし、どうしようも無いので、上布長着+ポリの羽織でがんばることにしました。タクシー乗ればいいやと。

寒くは無いので、前回使った防水足袋は今回は無し。下駄はブリュッセル編で編み出した駒下駄ゴムmod済のものを履いていきました。

着ていった

・ステテコ
・肌襦袢
・麻の長襦袢
・綿麻の長着(黒 無地 単衣 浴衣)
・角帯
・黒足袋(晒裏)
・駒下駄(会津桐、ゴムmod済)
・帽子

持って行った

・越中褌
・麻の長襦袢
・長着(詳細不明 シボ感のある単衣 黒紺)
・長着(上布 蚊絣 単衣 黒ベース)
・黒足袋(晒裏) x 2
・爪掛け
・角帯
・絽の羽織(ポリ)
・羽織紐
・羽織紐予備
・甚兵衛(部屋着、緊急時用)
・着物ハンガー(折りたたみ式、短いやつ)

諦めたこと

袴を着けてみようとまた思ったのですが、またまた断念しました。理由はやっぱり飛行機の中で扱いが面倒そうなこと、畳むのが面倒なこと、日本でも日常、下駄+袴だとよく裾を下駄にひっかけることがあるからかなー。足下が涼しそうだし、いつか暑い地域で試したいです。

チェックイン

風呂敷などは毎度同じの、唐草風呂敷の中にメイン風呂敷(さらに衣類等の風呂敷が入っている)と機内持ち込み用風呂敷を包んで空港まで行き、空港で機内持ち込み用風呂敷だけ分離して、再パックする方法です。

チェックインはスムーズに進みました。風呂敷についても特に何も訊かれる事なく、ビニールに包んでいただきました。

機内(羽田→松山)

外装から内装、小物に至るまで徹底的にキティちゃんでした。

到着→荷物受け取り→入国

至ってスムーズで特に面白いネタもありませんでした。現地に先行している当社社員たちと落ち合いホテルに移動しました。

実はいつもこんな感じで楽してます

まったく着物と関係ありませんが、一つだけ役立ちそうな話として中華電信の「3日行動上網計日型」のSIMは、3日と書いてありながら最初の日は無料?らしく、実質4日間使えました。3泊4日なら300元(1000円くらい)でデータ無制限、通話も可能。安い!

台北市内

実はめっちゃ仕事が立て込んでおり、着物ではしゃぐ時間はほとんどありませんでした……昼も夜もビジネス的な会食で、台菜・中華を食いまくりました。もの凄く美味しかったです(が、ちょっとしばらく中華は食べなくてもいいや)。

写真だと暑苦しい…… 羽織は絽なので動いているとスケスケ感あります

結局のところ、朝「100%雨」と予報されていた日も雨は降らず、雨装備をしていったにもかかわらず一度も雨には遭遇しませんでした。気温は25度〜30度ぐらいの感じでしたが、風もあり、そこまで辛くはない感じでした。しかし湿度はさすがに高く、真夏に来るとヤバそうな雰囲気はありました。また、雨が降らなかったものの、いつ降ってもおかしくない感じではあったので、やはり草履系の履物だとつらそうでした。

台北市内は地下鉄が発達しており、タクシーもリーズナブルなので、東京よりも便利に行動できました。エスカレーターの乗り方は東京と逆で、歩かない人は右側に立つ、大阪・ニューヨーク式です。

着物に対する反応は、ほぼ東京と同じような感じでした。歩いていると好意的な視線を感じますが、米国のように街中で声をかけられたり冷やかされたりすることはありません。

訪問先ではその上にきているもの(羽織)はジャケットと同じようなものか、とか、積極的にいじっていただけました。特に下駄は好評で、話のタネになりました。下駄は外国で面白がられる傾向があると思います。行く予定がある方はあえて草履じゃなくて下駄を履いていくのもいいかもしれません。

もともと台湾はとても日本語が通じやすい都市ですが、一見して日本人とわかるためか、どこに行ってもまず日本語で話しかけてくださいました。

ホテル

風呂敷出張は軽量化命なので、洗濯が前提です。今回のホテルにはセルフ式のランドリー室がありましたが、痛むのも嫌だし、慣れているので、部屋で手洗いしました。

シャワーを浴びながら洗濯し、よく水を切った洗濯物をタオルでぐるぐる巻きにして水分をタオルによく写してから部屋干しするいつもの方法です。

麻襦袢はいつも一晩で乾くのですが、湿気が高い地域なので、念のため予備を持っていきました。が、結果としては要りませんでした。日常的に冷房がかかっている部屋はやはり乾燥しているようです。

足袋は相変わらず部屋洗濯では乾きません。たくさん持って行きましょう。

越中褌は部屋洗濯に大変適していると再確認しました。寒い地域だと防寒のためステテコの方が良いこともありますが、暑い地域に行く時にはとても良いと思います。

帰路(ホテル→松山→羽田)

ホテルからのチェックアウト時、フロントのお姉さんからついに来ました、リクエスト。

一緒に写真を撮ってもいいですか?

もちろん!やったーー!と写真を撮ろうとしたところ、風呂敷も一緒に、とリクエストを受け、風呂敷と一緒に写真を取りました。楽しかった!(ちなみにこのホテルはコストパフォーマンス含め、あらゆる点でとても素晴らしかったです。が、この写真のせいでお姉さんたちが怒られたりしたら不本意なので名前は伏せておきます)

お姉さんたちに囲まれて浮かれる永留と私。まあ、浮かれますよね!

飛行機は極めて順調でした(相変わらずのキティちゃんづくし)。風呂敷はあっさりと生で預かっていただけました。

出発ゲートの自販機には台湾のルートビア系飲料「黒松沙士」がフィーチャーされている

その他

いつものように何を着ていくか思案している段階で、待てよ、台湾だったら、戦前までは着物着てた人がいたはず…‥と思い当たり、インターネットを調べると「1930年代の台北ファッション(デジタル台湾)」というページを見つけました。

当時どんな着物が着られているかが知りたかったのですが、読んでいくと男性は時代的にすでに洋服に切り替わっていたようで、あまり参考になりませんでした。しかし、台湾の人たちの伝統衣服が詳しく解説されており、とても興味深かったです。

かつて日本が皇民化政策の一環で女性の全面和服化を試み、失敗したらしいのですが、その理由の一つに「暑い気候」が挙げられているのが興味を惹きました。写真の中で台湾漢民族の伝統衣装として紹介されている「長袍馬褂」や「對襟短衫」も結構暑そうに見えるのですが、着てみると案外涼しいのでしょうか。着てみたい……

まとめ

台湾は天国

フライト前に駆け込み観光した中正紀念堂。写真の中の蒋介石は、おなじみの制服姿以外にも、洋服、和服、長袍馬褂(?) など、様々な姿で写っていました。

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Kazuhiro Ogura
The Kimono Guy

エクストリーム和装家。HENNGE (f/k/a HDE) で経営、プログラミング、営業、雑務など//HENNGE株式会社 代表取締役社長 小椋 一宏/Kazuhiro Ogura Founder, President and CTO of HENNGE