バイオテックってなに?

Sena Hamilton
Nov 1 · 5 min read

初めまして。イーストベンチャーズというVCでシニアアソシエイトをしているハミルトンです。

IT企業に投資するシードVCで働いていると、バイオテックというものがあまり知られていないように感じます。「なんか地味」「よくわからんし儲からなそう」というイメージがあるかもしれません。

このブログの目的は、そもそもバイオって何なん?っていう人のために簡単にバイオテックについてご紹介することです。

バイオテックは、生物学(バイオロジー)と技術(テクノロジー)を掛け合わせた、生物の力を利用したテクノロジーです。

食・農・医療など、幅広く身近な分野で活用されています。

食のバイオテック:「お鮨 」もバイオテクノロジー

バイオと聞くと、遠い存在な感じがするって人が多いと思いますが、みんな大好きお鮨は、発酵というバイオテクノロジーを活用した食べ物としてはじまったんです。
お鮨は、奈良時代の「なれずし」が始まりと言われています。なれずしは、魚を長期保存するためにご飯と生魚を混ぜて発酵させたものです。このように生物を発酵させて保存することはバイオテクノロジーのうちの一つなんです。

最近のバイオベンチャーでは、試験管の中で微生物や産業廃棄物などを利用してタンパク質を生成したり、食物を生成しています。

この分野のスタートアップ:ナスダックで上場したBeyond Meatは、培養肉というバイオテクノロジーの技術を使ったベンチャー企業で、植物性の肉を作っています。日本では、肉の細胞を元に培養して肉を作るインテグリカルチャー3億円調達しています。

農のバイオテック:必然的に需要が拡大する領域

世界人口の増加によって食料のデマンドが拡大していますし、農業従事者は年々減少しています。食糧生産において効率化が求められています。

持続可能な社会を実現するために世界中のバイオ系スタートアップが新しい技術の開発と実用化に勤しんでいます。

化学薬品を使わない、それでいて安い代替肥料や、年中どこでも植物を育てることができる制御環境農業、動物の遺伝子構造を変更して効率よく生産ができるようにするなどです。

この分野のスタートアップ:イエバエを使って家畜の排泄物を素早く肥料にするムスカは、丸紅や伊藤忠商事から出資を受けています。また、今年10月にはTemasekとPontifax Agtechがリードで、フェロモンで害虫防除するproviviに約90億円の出資をしています。

医療のバイオテック:飛躍的に成長中

バイオテックは医療の分野では1980年代ごろから活用されるようになってきました。B型/C型肝炎の抗体はハムスターの体内で遺伝子操作して作られていますし、インフルエンザの予防ワクチンも鶏卵の中で培養されたりしています。

この分野のスタートアップArsenalBioが92億円を調達してがん治療の医薬品や遺伝子シーケンス解析*のプロダクトを開発しています。
(*DNAの配列を知るやつ)
同じくがんのパターンを無細胞のバイオマーカーを使ってAIによって発見するfreenomeは、2014年に創業して、a16zやFounders Fundなどから合計約285億円を調達しています。

続々と調達するアメリカのバイオベンチャーたち

2014年にYコンを卒業したGINKGO BIOWORKSは食品や天然の農薬などを、酵母や細菌から作り出してB向けに売っています。彼らはこれまでにビルゲイツなどから約780億円を調達しています。

2013年創業のZymergenはSoftbankビジョンファンドやゴールドマンサックスなどから約623億円調達しています。

同じくビジョンファンドやTemasek、ゲイツ財団から投資を受けているVir Biotechnologyは2016年に創業して今年10月にナスダックで上場しました。バイオベンチャーがIPOするときの評価額も年々増加しています

アメリカでは、BioCuriousStartXのような安く研究/実験できる環境に、スタートアップがアクセスしやすくなっています。Yコンに近年バイオ関連のテック企業の割合が増えてきたことが示すように、環境さえ整っていればバイオベンチャーでも数百~数千万からの資金でリーンにスタートアップすることが可能になってきました。

日本の状況

国内でのバイオ・製薬分野での投資額はIT系の次に多く、その前年比伸び率は最も高いです。(2017年1月から9月のVC投資)

大学の研究室から生まれることが多いバイオベンチャーですが、今年1月に施行された研究開発力強化法で、大学での研究成果を事業化するときのライセンスを現金ではなく新株予約権と交換することができるようになりました。大学での研究がビジネス化しやすくなる環境が整いつつあるということです。

日本にも、Beyond Next Venturesが運営するインキュベーション施設シェアラボができたり、バイオベンチャーのエコシステムがいい感じにでき始めている気がします。これからの環境次第ではバイオの領域でnextユニコーンが日本から登場するかもしれません。


ここまで読んでいただきありがとうございます。
Twitterももしよかったらみてみてください。@senahamil

最後に私の可愛い犬、たむきちで締めます。

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