2018年11月上映会以来起こっている件について、私たちの見解

han gorin
25 min readAug 24, 2020

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(1)はじめに

私たち〈反五輪の会〉が「韓国人女性へのいじめ」を行なっているとするnoteが公開され、問い合わせをいくつもいただいております。

私たちの対応によって、Dさんをつらいお気持ちにさせていたことは会として受けとめていこうと思います。

この1年半、私たちはDさんとそのご友人の方たち、そして〈平昌五輪反対連帯〉の双方と、必要に応じてメールのやりとりや話し合いの場をもってきました。

今回の対応にあたって、私たちが最初に考えたのは、私たちが双方に対して加害をしかねない立場であるということです。また、第三者ではなく、場で起きたことに責任を持つ当事者でもあるということです。そのため、Dさん、Aさんのどちらが被害者で加害者かを拙速に裁定しない、当事者の気持ち、要望をそのまま伝える、という対応になりました。頼まれてもいないのに代弁したり代理することはしない、話を聞くときは相手のペースやタイミングをなるべく尊重する、ということは活動の中で心がけてきたことです。

私たちはこの1年半のやりとりから、私たちと近い関係の人々も含む日本の(または東京の)社会運動の中で起きた植民地主義的な性差別発言を告発した人たち、それに連帯した人たちに対する二次加害が今も続いている、と考えています。そして私たち自身、まずは、東京で活動する社会運動団体として、二次加害を起こさないようつとめていく必要があると考えています。

(2)「2019年5月1日 Dさんによる公開文書に対する反五輪の会の見解」

※この文書は2019年5月1日Dさんが「平昌五輪反対連帯は、加害フレームの無原則拡張と選択的排除を中断してください」という韓国語、中国語の文書をネット上に公開したことに対する応答として、反五輪の会が同じく韓国語で公開したものです。
この文書の公開に先立つ2019年4月20日は、ソウルの京義線共有地で開かれた
イベントの中で「Dの排除事件」をテーマとする「特別報告」も開かれており、韓国で公論化されるにあたって当事者である私たちから説明する必要があり公開したものです。
今回、Dさんのご友人の方たちがDさんのご了解のもと、noteに文書を日本語で公開され、その中に私たちの同文書についての言及・引用が多くあったことを受けて日本語版を掲載することにします。この日本語版は、必要や求めに応じてこれまでもお渡ししてきたものです。
なお、この文書が作成・公開されたのは2019年7月19日です。

私たちは、オリンピックに反対している〈反五輪の会〉です。主に東京で活動をしています。

2019年5月1日、Dさんが「平昌五輪反対連帯は、加害フレームの無原則拡張と選択的排除を中断してください」と題する文書を、ネット上で公開しまし た。私たちは、昨年2018年11月22日、〈反五輪の会〉〈宮下公園ねる会議〉〈平昌五輪反対連帯〉の共催で行われた「サンゲドンオリンピック1988」上映会での対応をめぐって、Dさんから「排除を行なった」との抗議を受けてきました。そのため当日の私たちの対応について、12月3日にDさんと2名の同伴者の同席のもと話し合いの場を持ち、その後も文書にてやりとりを続けてきました。

私たちは当日、Aさんが強い不安に陥っていることを知り、Dさんに要望を伝え、Dさんの判断を仰ぎ、Dさんの考えをAさんに伝え、双方の意思を尊重する、という対応をしたつもりでおりました。結果、Dさん、そしてAさんの双方が、不本意な形ではあったかも知れませんが、会場に残り、上映会に参加してくださいました。

しかし、Dさんは今回の件を、Aさんあるいは〈平昌五輪反対連帯〉による「排除事件」として、周囲の方々に訴えてまわっておられます。私たちは、強い不安を感じている方の、その不安な気持ちに対し、必要な対応をしたと考えています。その場にいることに強い不安を感じた人が、適切な距離をとることや必要な配慮を、主催者あるいは共催者や他の参加者に要望することはあり得るし、要望してよいと、私たちは考えます。そのような考えの下に、これまでにも、〈反五輪の会〉主催のイベントにおいては、可能な範囲で対応を行なってきました。

私たちは、上映会を契機として起きている出来事についてイベント主催者として責任を持っており、私たちの見解と異なる認識が広まることに強い懸念を感じています。

一方で、Dさんからお話をうかがって、「Dさんの判断を尊重する前提でのお願いであることを充分に説明できなかったこと」、「イベントが中止になるかも知れないというプレッシャーを感じさせてしまっていたこと」など、上映会での対応がDさんへの配慮に欠けていた部分があったと反省し、文書でおわびをさせていただきました。〈反五輪の会〉の上映会での対応についての批判は、今後も会として真摯に受け止めていきたいと思います。また、私たちの対応の未熟さが招いた出来事の改善のために努力していきたいと考えます。

私たちは国際連帯を深めていくためにも、Dさんが文書を公開されたことへの会からの応答として、当日の経緯と私たちの見解を以下に記し、公開することにいたしました。ご一読いただければ幸いです。

●上映会について

2018年11月22日、東京・渋谷にある美竹公園で「サンゲドンオリンピック1988」の野外上映会(以下、上映会)を行いました。上映会は、11月20日から4日間に渡るイベント「反オリンピックトーチがやってくる平昌・東京引き継ぎセレモニー」の1企画でした(https://bit.ly/2AhVIfw)。

このうち、23日の上映会は、監督と交渉し当日の発表を担った〈平昌五輪反対連帯〉、総合的に企画の調整と運営を担った〈反五輪の会〉、そして美竹公園が活動現場の一部であり活動食も担った〈宮下公園ねる会議〉の共催イベントでした。〈反五輪の会〉メンバーのうち4人は〈宮下公園ねる会議〉にも参加しています。上映会が開かれた美竹公園は全体を一望できる小さな児童公園で、上映会参加者は30名ほどでした。この公園は、運動団体が炊き出しを行う拠点であり、また、新たな開発による野宿者排除が懸念されている場所です。

●上映会以前

2018年10月23日、〈宮下公園ねる会議〉に上映会共催について打診し、 了承を得ました。その時、山谷地区で活動している(以下、〈山谷〉)Bさんに通訳を依頼しては、と提案がありました。〈反五輪の会〉メンバーが通訳する予定でしたが、通訳は複数人いた方がよいと考え、依頼してもらうことにしました。 その次の週、〈宮下公園ねる会議〉に参加している〈山谷〉の方たちから、Dさんにも依頼してはどうか、と提案されました。韓国語ネイティブであるDさんに依頼するのは自然なことでしたが、私たちはDさんが〈平昌五輪反対連帯〉の通訳を行うことに少し懸念を感じました。それは、約1年前の2017年11月、 〈反五輪の会〉メンバーが、Dさんと初めて会った際に、Dさんの友人Cさんと Dさんご本人から、2017年に開催された NoLimitSeoul をめぐって「Aさんに避けられている」との話があったことを思い出したからです。 そのため、通訳は〈反五輪の会〉メンバーが行なう旨を〈ねる会議〉で正式に伝えました。その後11月12日、〈山谷〉のBさんから「Dさんが通訳を頼まれて戸惑っているが、頼むということでよいのか?」と〈反五輪の会〉メンバーに問い合わせがあり「Dさんが通訳をする必要はありません」と伝えました。

●上映会当日(2018年11月22日)

午後に〈宮下公園ねる会議〉による渋谷区との団体交渉があり、Dさんは上映会の前から参加していました。交渉後(上映会30分ほど前)に、〈平昌五輪反対連帯〉の3人が美竹公園に到着しました。Dさんの姿を認めたAさんは、とても驚き不安がある様子でした。それに気づいた〈反五輪の会〉メンバーに対してAさんは「Dさんがいると、とても不安だ」「私はここから出ていきたい」等と言いました。同メンバーがAさんに対して「わたしたちにどうしてほしいですか?」「Dさんに帰ってもらえないか聞いてみることもできます」等と言ったところ、Aさんは「考えます」と返事を保留しました。同メンバーは〈平昌五輪反対連帯〉の3人を公園の外に誘い、周辺を案内しました。AさんはDさんの通訳については少なくとも受け入れがたい様子だったため、同メンバーは美竹公園に戻り、〈宮下公園ねる会議〉メンバーやDさん、Bさんに、Dさんが通訳はしなくていいことを伝えました。Dさんは、「わたしは(Aさんと)話し合いたいんですけどね」と言っていました。Aさんは、不安を募らせ、食事もとれない状態でした。同メンバーが、改めてAさんにどうしてほしいかを尋ねたところ、Dさんに帰って欲しいとのことでした。そこで、〈反五輪の会〉で協議をして、1、まずは現状を伝える必要がある、Aさんの気持ちと提案をそのままにDさんに伝えること 2、その上でどうするかDさんに決めてもらい、それを尊重すること 3、Dさんがもし帰る場合、Dさんが必要とされるなら同行することを決めました。1と2については、Aさんにも伝えました。

〈反五輪の会〉の二人が、Aさんの不安な状態とAさんの提案をDさんに伝えました。Dさんには〈山谷〉のBさんが付き添っていましたが、1についてふれた時点で、Bさんから強く抗議を受けました(通訳を頼んだのにおかしい、等)。Dさんからは、「帰らないといけないのですか」「力の強い人の言う通りにする運動でいいのか」「NoLimitSeoulに参加して話し合おうとしたら韓国の運動 から追い出された、自分こそ被害者であると思っている」等、訴えがありました。〈反五輪の会〉の二人から、どうするかはDさんが判断してほしい旨を伝えたところ、Dさんは「帰るのは嫌です、通訳しないし質問もしないしAさんに話しかけない」と言いました。※Dさんの発言はDさんと確認していません。言い回しやニュアンスなどDさんの認識と異なる可能性があります。

〈反五輪の会〉の二人はAさんに、Dさんの提案をそのまま伝えました。私たちは、ここまでが私たちにできることであり、後はAさん、Dさんがそれぞれ判断することである、どちらか、あるいは双方が、この場を離れる選択をすることもありうるが、それぞれの気持ちや意思を尊重しようと考えていました。Aさんに伝えたところ、否定はせず上映会の準備を進めました。

その後、上映会では、Aさんら〈平昌五輪反対連帯〉が参加者に向けて解説や 質疑応答を行い、Dさんも最後まで参加してくださいました。終了後、Dさんから、今日のことについて話し合いたいと要請がありました。

●上映会以後

12月3日、Dさんの要請により、Bさん、Cさん、Dさん、そして〈反五輪の会〉の4名で話し合いを持ちました。Dさんが NoLimitSeoulでの出来事について話しはじめましたが、私たちは上映会での対応についての話し合いであると考えていました。私たちメンバーの多くは、NoLimitSeoulの準備段階で、〈東京自治区〉のコミュニティから植民地主義的な性差別発言があり、さらに問題提起した人たちへのバックラッシュがあったことを、ネット上に公開されていた声明などから知っていました。しかし、NoLimitSeoulでの出来事は私たちの活動外で起きた出来事であり、また深刻な被害を受けた方々も存在する以上、〈反五輪の会〉が、団体として拙速に評価や判断を行うべきではないし、出来ないと考えました。何より、Aさんの不安に対して疑いを持つことや、Aさんからきちんと話が聞けていないのに、Aさん不在の場で背景事情を詮索するような形での話し合いは避けなければならない、と考えました。この話し合いの際、Dさんより「韓国での経緯」、「渋谷の反五輪上映会で起きたこと」、「韓国の平昌オリンピック反対連帯に伝達した公式要求書(11月30日送付済み)」(以下、公式要求書)という一連の文書を手渡されました。Dさんによって公式要求書はすでに、私たちとの話し合いの前に、〈平昌五輪反対連帯〉に送付されており、そこには〈反五輪の会〉の認識と異なる内容が含まれていました。そのため、訂正していただく必要があると判断し、12月27日、Dさんと平昌五輪反対連帯に対し、その旨を文書にてメールしました。以降、Dさんとは数回のメールのやりとりを続けております。

上映会直後から、Dさんから相談を受け、Dさんの話を聞くべきだと言う人たちから仲介的な問い合わせが計10件ほど届いておりましたが、Dさんとはメールでやり取りをしており、また、Aさんやその他の方々に二次的な不安を煽りかねないので、これまでは仲介についてはお断りさせていただきました。

〈平昌五輪反対連帯〉からも、上映会での対応について1月に問い合わせがあり、スカイプなどによるやりとりをしてきました。また、最近になって、Aさんからも「不安」な気持ちの理由を聞くことが出来ました。

また、4月20日にソウルの京義線共有地で開かれたイベントの中で、Dさんらが、Dさん排除事件として「特別報告」を行うと聞き及び、11月22日の上映会に関して話されるのか、京義線共有地に問い合わせをしましたが、返信はまだありません。

●公開された文書の注釈と公式要求書について

公開された文書の注5注6、および公式要求書には、私たちの認識と異なる内容が含まれています。Dさんが注5および公式要求書で書かれている、「Aさんがメインゲストという権力を使って反五輪の会を圧迫して、私(Dさん)を排除」というDさんの認識については、「反五輪の会の認識が、私と違うことを確認」しただけでなく、4月19日にいただいたメールの中で、Dさん自身が「当初そのように思ったことをそのまま私が保っているのではありませんし、そのような見解を広めてもいません。」と述べていたため、その認識は撤回してくださったものと、私たちは受け取っておりました。Dさんからは、さらに、Dさんが現在もこのような認識を 持っているように〈反五輪の会〉が書くことは「事実と違う」「(Dさんに対する)名誉毀損である」とも言われています。しかし、今回、ネット上に、Dさんの当初の認識で書かれた公式要求書がそのまま掲載され、結果、Aさんが権力を使ってDさんを排除したかのように広められてしまっていることに、私たちは不信感を抱かざるをえません。

また、注5において、「Aさんの『提案』もしくは『お願い』を伝えたことで、D氏の意図を尊重するものであったにもかかわらず、実際には必要以上の圧力を与える形になった」ために私たちがDさんに謝罪した、と書かれてあります。しかし、私たちの謝罪の内容はそのようなものではありません。Dさんの意思を尊重するために、DさんにAさんのお願いを判断してもらうつもりでありながら、それを伝えるタイミングが適切ではなかったことやプレッシャーを感じさせる対応になっていたことについて謝罪を行っています。上映会時のやりとりの中での、〈反五輪の会〉メンバーによる「そうですね」という発言については、Dさんが引用されていることの他に、「言葉の接ぎ穂」であると伝えています。

注6において、「現場にいた私の同僚」は、〈山谷〉のメンバーであると同時に、〈宮下公園ねる会議〉メンバーでもあります。また、上映会にも参加しており、その時の状況もある程度共有していました。後に、その方から尋ねられて行った説明は、2017年11月に〈反五輪の会〉メンバーが(NoLimitSeoul においてDさんとイベントを主催した)CさんとDさんご本人から聞いた内容に基き、他のメンバーが解釈したものです。Aさんから聞いた話ではありません。このことは、Dさんにすでに伝えています。

また、公開要求書に、「山谷の運動の現場内部でも議論になっている」「現場の運動に分裂を引き起こす行動をした」と、運動(団体)を後ろ盾にしてAさんに強い圧力をかけようとしているように思える文言が並んでいることにも、私たちは強い違和を感じています。

●〈反五輪の会〉の見解

・私たちは、自分たちが主催団体の1つであった上映会、そして上映会を契機として上映会以後に起きている出来事については、責任をもった対応をするつもりです。

・Aさんが、上映会でDさんに会ったことに強い不安を感じていたことは疑う余地はありません。私たちはこのことを最重視しています。AさんはDさんが上映会に参加することを知りませんでした。また初めて来た場所で、どのような人が集まる会であるかもよく分からない中でのことであった、と思います。一方で、DさんはAさんに話しかけようとする意図もうかがえました。私たちは、Aさんの様子から、Aさんの不安に対して対応する必要があると考えました。

・私たちは、強い不安を持つAさんがDさんに対して必要な距離をとるためのお願いをすることは、正当な提案の範囲内であると考えてきました。また、DさんがAさんにお願いしたことも、距離の程度を求めたものとして正当な提案の範囲内であると考えています。

・私たちは、DさんにAさんのお願いを私たちが伝える際に、Dさんに対して必要以上の圧力を与える対応になったと考えており、その点についてDさんに謝罪しています。

・私たちは基本的に、不安を抱えている人に対して、不安についての説明を強く要求したり、問いつめるような行為や、ジャッジしたり否定するような行為は加害となりかねない、と考えています。

・現在、Aさんが上映会でDさんを「排除」したかのように書かれた11月公式要求書が、Dさんによってネット上に公開され、あたかも事実であるかのように流布されることによって、Aさんの不安や〈平昌五輪反対連帯〉へのバッシング が拡大することを私たちは懸念しています。

・私たちは、NoLimitSeoulでのDさん主催イベントのことやAさんを不安にさせたことについて、多くのことを理解しはじめていますが、それでも、その出来事について判断する用意を現在は持っていないと考えています。その一方で、今回の件を通じて、私たちは東京を訪れることに不安を持つ人たちがいることを知りました。それは、NoLimitSeoulに関連して、私たちと近い関係の人も含む日本の(または東京の)社会運動の中で起きた植民地主義的な性差別発言とそれらへの対応が元になっています。東京で主な活動を行っている団体として、私たちはこの状況を憂慮しています。それは、私たちが国際連帯を進めていくための現実的な支障にもなっており、そのような意味からも無視することは出来ない、との考えに私たちは至っています。私たちは、反五輪の運動を進めるにあたり、性差別・植民地主義の問題を改めて表明していきたいと思っています。

2019年7月19日 反五輪の会

(3)2019年7月の反オリンピック国際連帯イベントにおける対応について

私たちは、2019年7月20~27日にかけて反オリンピック国際連帯イベントを共同で企画し、世界各都市の反五輪運動団体を招いて1週間の連続行動を行いました。

このイベント開催にあたって、直前になってしまいましたが、〈反五輪の会〉としてDさんに参加をお控えいただきたいむね、お願いのメールをお送りしました。

これに対し、7月23日〈Dさんを見守る個人の集まり〉を名乗る16名の名前を連ねた抗議メールが届き、7月24日のデモと27日のパネルディスカッションにDさんが参加を希望していることを伝えてきました。

Dさんの参加希望を知った複数名の方がイベントへの参加を断念することになりました。

私たちが、Dさんに対して、参加をお控えいただくようお願いをしたのは、前記の「見解」と重複するところもありますが、以下の理由です。

私たちは2018年11月の時点では、AさんとDさんの間に具体的に何があったのか知りませんでしたし、どちらが加害者で被害者ということは、断定していませんでした。Aさんが極度の不安を感じて体調不良を起こしかけていること、上映会の関係者・参加者が集まっている場に近づけなくなってしまったこと、その不安に対応をしました。Aさん、Dさんの双方が提案をしあい、身体的、精神的、感情的にもそれぞれの領域を保ち、また、相手の領域を尊重していただいた結果、お二人が不本意な形であれイベントに残ることができたものと認識していました。

その後、不安を感じていたのが明らかだったAさんに対して、〈平昌五輪反対連帯〉宛の文書で、Dさんが「Aが権力をつかって反五輪の会に排除させた」という私たちの見解と異なるご自身の主張を根拠に強い調子で謝罪を要求していることを知り、衝撃を受けました。また、2018年11月上映会以前に、DさんがNoLimit参加者たちとAさんに突然面会を求め、断られた経緯があることを知りとても驚きました。

そして、Dさんの出席のもとソウルの京義線共有地や東京の各地で報告が行われたり、Dさんが〈平昌五輪反対連帯〉への抗議文書をネット上に公開したりと、精力的にAさんそして〈平昌五輪反対連帯〉への批判を広める状況が続く中で、国際連帯イベントを迎えることになりました。

そのため、上映会の時とは異なり、〈反五輪の会〉の判断として、Dさんに対して参加の自粛をお願いする、万一聞き入れてもらえない場合は適切な距離を保つ努力をすることにしました。

(4)「Dさんの間違ったうわさ」とされていることについて

今回、Dさんのご友人たちが公開されたnoteは、Dさんの「人物像が意図的に歪められ、喧伝されている事態」「現在日本で広まっているDの間違ったうわさ」を払拭したいとされています。

Dさんのご友人たちがnoteで書かれているその内容の多くは、私たちにとって承服しかねるものですが、間違ったうわさが広められているということの、おそらく一例として、2018年11月の上映会二日後に、〈反五輪の会〉メンバーが、共催団体である〈ねる会議〉メンバーであり〈山谷〉で活動している方に説明を行ったことが述べられています。

しかし、メンバーがその方に説明したのは、2017年11月に〈反五輪の会〉メンバーがCさん(NoLimitSeoulにおいてDさんとイベントを主催した方)とDさんご本人から聞いた内容や、〈NoLimit東京自治区〉で起こったことに関して既に公開されていた内容に沿ったもので、「すごく悪い奴らがイベントをして」「Dさんが彼らと仲良くするために」「AさんはそのDさんを許せなかった」ということや、ここで運動や人に対して私見を述べるようなことは、一切言っておりません。

このことについては「見解」やこれまでのやり取りの中でDさんにもたびたびお伝えしており、さらに、Dさんのお求めに応じて、このときの説明内容がDさんの見解と異なっていること、〈反五輪の会〉はこの時点で、ソウルで何があったのか、上映会でのAさんのDさんに対する不安の理由は何だったのか、正確には知らなかったということを、その方にお伝えしています。

(5)二次加害、バックラッシュへの懸念について

私たちは、Aさんの不安が〈NoLimitSeoul〉準備段階におけるハラスメントに関係しているのなら、東京の社会運動団体として二次加害になるようなことは極力控える、Aさんから無理に事情を聞き出すことはしない、Aさんの方から私たちに話したいと言ってくださるまで待つことにしました。

このnoteの記述の中には、Dさん及びDさんのご友人の方たちが、不安を訴える人に対し「精神的に追い詰められて冷静な判断ができない」「思い込みに囚われている」「危ない『政治』をしている」と憶測したり、(不安を抱く一因となった出来事や言動について)「『加害行為』とは、とても呼べません」と一方的に過小評価するものも散見されます。また、これまでDさんが公開されてきた文書、今回Dさんのご友人たちが公開した文書ともに、「議論」の場を開き問題に介入することや、対話を迫ることの正当性について多く語られています。これらが、不安を訴える方への二次加害になり得るのではないかと私たちは危惧しています。二次加害は、被害の告発に対して、第三者が無自覚にひき起こす新たな加害であり、それがたとえ善意から出た言動であろうと被害者に深刻なダメージを与えます。

私たちは、私たちが主催したイベントを契機として、Aさんや〈平昌五輪反対連帯〉のみならず、NoLimitコミュニティにおいてハラスメント被害を受けた人々にまで影響が及んでいることを深刻に受け止めており、バックラッシュが再拡大することを強く懸念しています。

(6)関連リンク集

2017.8.4
ノーリミットにおけるハラスメント被害について最初の問題提起https://www.evernote.com/shard/s312/client/snv?noteGuid=57324aef-535e-4255-8b9a-e617467651f0&noteKey=85dac19cd3e651583292a97fd7b7ce82&sn=https%3A%2F%2Fwww.evernote.com%2Fshard%2Fs312%2Fsh%2F57324aef-535e-4255-8b9a-e617467651f0%2F85dac19cd3e651583292a97fd7b7ce82&title=%25EC%25A0%259C%25EB%25AA%25A9%2B%25EC%2597%2586%25EC%259D%258C

2017.8.6
No Limitソウルチームによる声明https://www.facebook.com/NoLimitSeoul/posts/659991357531632

2017.8.14
No Limit東京自治区による声明「声明文/입장문 」http://nolimit.tokyonantoka.xyz/message/

2017.8.26
匿名の多数による二度目の告発https://www.evernote.com/shard/s312/client/snv?noteGuid=61aef484-2d67-4830-8978-c65c18c31b42&noteKey=ee94a1e10d451d79ad52e1aaab653b02&sn=https%3A%2F%2Fwww.evernote.com%2Fshard%2Fs312%2Fsh%2F61aef484-2d67-4830-8978-c65c18c31b42%2Fee94a1e10d451d79ad52e1aaab653b02&title=%25EC%25A0%259C%25EB%25AA%25A9%2B%25EC%2597%2586%25EC%259D%258C

2017.8.26
NO LIMIT SEOUL pre-event GENDER TALK(ジェンダートーク)!
http://nolimit.tokyonantoka.xyz/no-limit-seoul-pre-event/

2017.9.17
ソウル自治区平等権規約https://www.facebook.com/NoLimitSeoul/posts/674765019387599

2017.9.18
No Limit SeoulにおいてDさんとCさんが主催したイベント「高円寺とピンジブ」
https://www.facebook.com/NoLimitSeoul/posts/675187746011993
https://www.facebook.com/NoLimitSeoul/posts/674878772709557

2017.9.23
No Limit東京自治区による声明「新しい声明文/7月4日の出来事を受けて私たちが話し合ってきたこと」
http://nolimit.tokyonantoka.xyz/message2/

2019.5.1
Dさんによる文書「평창올림픽반대연대는 가해 프레임의 무원칙적 확장과 선택적 배제를 멈춰주십시오(平昌オリンピック反対連帯は加害フレームの無原則拡張と選択的排除を止めてください。)」https://beyondframe2019.tistory.com/1

2019.6.7
Dさんによる文書「请「反平昌奥林匹克團隊」停止无原则的扩大加害范围和选择性排斥!」
https://beyondframe2019.tistory.com/2

2019.7.19
反五輪の会による文書「2019년 5월1일 D씨의 공개 문서에 대한 반 올림픽 모임의 견해 (2019年5月1日Dさんによる公開文書に対する反五輪の会の見解)」
https://link.medium.com/18k8G7RVv8

20019.7.24
ノーリミットセクハラ事件解決とD氏の虚偽事実流布中断のための対策委による文書「노리미트 성희롱 사건해결 및 D씨의 허위사실 유포 중단을 위한 대책위의 입장(ノーリミットセクハラ事件解決とD氏の虚偽事実流布中断のための対策委の立場)」
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=947829972220782&id=947823492221430

2019.7.28
Dさんによる文書「배제 사건 이후 8개월 만에 처음 들은 가해 내용에 대한 반론(排除事件後8ヶ月ぶりに聞いた加害内容に対する反論)」https://beyondframe2019.tistory.com/3

2019.8.6
Dさんによる文書「도쿄 반올림픽모임은 편파적 개입을 멈춰 주십시오(東京の反五輪の会は偏向介入を止めてください)」https://beyondframe2019.tistory.com/5

2020.7.13
Dさんのご友人の方々による文書「はじめに──東京の社会運動団体で起こった韓国人女性への『大人のいじめ』」https://note.com/heyheyfriends/n/n9465704b4c7c

注)2020.9.9、 誤字およびフォントゆれの修正を行いました。

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