常用漢字表の字体・字形に関する指針

2016/2/29、文化庁国語分科会において「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」が報告され、即日公開された。

従来も常用漢字表の「(付)字体についての解説」として示されていた内容を具体的に示したものであり、今後

  • 教育現場においてマルが増える
  • 小学校において、学年別漢字配当表の字体を「標準」として指導することと示されている点について、発達段階に応じた柔軟な対応が行われる

といった変化が期待される。

こういった穏当な改善方向が考えられるのに対して、先月からネット上の議論は「とめ・はねがおろそかになるのは漢字文化の破壊だ」という否定派、「細かく 採点するのは根拠のないオカルト」「標準だけが正解とする阿呆を断罪せよ」といった多様性重視派(さらに字形に留まらず乗算の順序まで持ち出して教育批判)の間で大きく論議されている(報告全文が公開された後、議論は落ち着きを見せ始めている)。

確かに、「(付)字体についての解説」を知ろうともせず、この指針を出さざるを得ない状況を作った教育現場が反省すべきという面はある。一方で、お手本を用い、とめ・はね等をしっかり教えて整った漢字を書けるようにする書写教育についても一定の成果を挙げているとして指針は否定していない。

最初に挙げた穏当な改善方向に対して、「教える上でも多様性を認めよ」という主張も一部には見られるが、その場合、整った字を書くためには書写教育に工夫が必要となりそうである。しかし、その改善策が多様性重視派からほとんど出てきていないように見える。

漢字文化を守り、伝えていくために、書写教育がどうあったらよいのか。指針がそれを考える契機としたいものである。

※ちなみに私自身のスタンスは、中韓フォントの誤用が増えている現状を見る限り、この指針がこの時期で出されることに大きな疑問を抱いている。