職住近接で人生捗った僕の2年間を振り返る

Kento Hasegawa
7 min readMar 2, 2016

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新社会人あるいは若手4年目くらいまでのビジネスパーソンへ贈りたい。

いま、住んでいるところは勤め先まで何分かかりますか? はたらく場所はさまざまですが、都市圏にお勤めの方ならば、きっと電車通勤が多いことでしょう。

それ、徒歩通勤にしてみませんか?

今回は自ら実験して良さを感じた「職住近接のはたらき方」をオススメしていきます。

メリットは大きく5つ。いわゆる「意識高い系」のはたらき方というより、僕は単純に「楽だから」推奨したいのです。

そもそも僕はどんな暮らしをしてきたか。

大学を卒業後、お世話になったのは東京・神保町にある紙の専門商社。入社直前の2月に一人暮らしをはじめました。

自宅から最寄り駅までは徒歩15分、通勤が15分、駅から会社まで徒歩10分かかったので、ドア・トゥ・ドアで片道40分ほど。遅延なり何なりを加味すると、毎日1時間半を費やしていました。

さて、3年働いた後、僕は渋谷にあるウェブメディアの運営会社へ異業種転職します。住まいはそのままだったので、電車の時間が30分に伸び、毎日2時間を通勤に捧げることとなりました。

当時は(喜んでやっていたのですが)激務に近いほど会社に詰めていて、毎日終電に飛び乗り、朝も早出したりして、飲み会も出る……という生活に。

当時26歳で体力も気力もあったとはいえ、これがキツイ。回復も次第に遅れてくるようになり、僕は心機一転して渋谷編集長引っ越すことにしたのでした。

新居は会社まで徒歩5分。実に12分の1にまで通勤時間は圧縮され、暮らしていくと「もっと早く職場の近くに引っ越せばよかった!」と思うシーンにも多々出会うようになったのです。

閑話休題。職住近接で感じた5つのメリットは、以下より。

1.通勤電車で消耗しない

満員電車で受けるストレスは、本人がどれだけ「慣れた」と信じていても、たいがいは思い込みじゃないでしょうか。

イギリスのとある心理学者は「戦地のジェットコースターの落下直前よりもストレス」と言ったとか。

戦地での苦労をしなくなるって、「痛さをデフォルトにする」とかいうロシアの軍隊格闘術みたいにすごいことです。

たとえば、会社から徒歩圏内にあるビジネスホテルにでも一泊して、歩いて出社してみたら、どれくらいの効果を得られるのかがわかると思います。まずはお試しあれ!

2.仕事も遊びも全力

「徒歩で通勤=終電の概念からの解放」

仕事をしたければいくらでも詰められますし、就業後に職場近くで遊ぶことになっても「歩いて帰れる安心感」は自由の翼をくれるのです。

タクシーで夜中に帰る罪悪感や、始発待ちの時間を過ごすかったるさも無縁。

まわりが電車や時間に気をもむ中で、仕事も遊びも全力で楽しめる。もし、疲れているのなら早めに引き上げれば、睡眠時間も長く取れますよ。

3.職場で重宝されやすい

東京では悪天候などで電車が止まってしまうのが珍しくありません。ほかの社員が出社できない中でも、意に介さず自分は通常運転です。

緊急対応はもちろん、僕はウェブメディアの記事制作が生業ですから「撮影の小道具を忘れた!」という時も、10分あれば取りに帰れて仕事に復帰できました。

勤めていた会社はセキュリティキーが全員分なく、各部門長と他何名だけかだけが所持できていました。僕は持っている組だったので、「どうしても休日に出勤しないといけなくなった」「セキュリティキーを忘れてしまった」という人から「開けてくれません?」とお願いされることもしばしば。

対応したところ、その方には貸しができたのもあって、いざ僕が困った時には快く手助けしてくれました。

「近くに住んでいる」だけで、職場に貢献できることもあるものです。

4.飲み会に呼ばれやすい

住まいが渋谷だったことも手伝って、飲み会には気軽に誘ってもらえました。夜中の1時半に電話が鳴って「今から飲めない?」なんて話をもらうことも。

そこで出会った人は後日の取材対象者になったり、仲良くしてくれて別の機会につながったりもしました。

飲み会は僕にとって「フィールドワーク、情報収集、コミュニケーション、リレーション、リラックス」を兼ねる一大エンターテイメントですから、ありがたい限りです。

5.暮らしを整えやすい

急に雨が降っても洗濯物を取り込みに帰ったり、昼食を自宅で済ませて昼寝してから戻ったり。自宅と職場が近いと、暮らしと仕事がつながりやすくなる瞬間もあります。

「住まいはお気に入りの街にしたい」との考えも結構ですが、昼間は職場にいますし、夜は夜で違う街で遊び、休日は家事やら行事やらで家を空けると、意外に「住んでいる街」とつながる時間って、それほどないかもしれません。

職住近接で「ひとつの街」にじっくり入り込むのも、話のネタになっていいものですよ。

若さゆえのがむしゃらを助ける選択肢。

さらなる転職なども相まって、渋谷の自宅では2年間を満喫しました。濃密でがむしゃらな時間は、今の僕にとって頼もしい基礎力になったと感じます。

異業種転職でスキルも実績も乏しかった僕が、ありがたいことにウェブメディアの副編集長にまで任命していただき、今となって仕事の幅を広げられたのも、このがむしゃらな時期があったから。

スマートに働くのも確かにステキだけれど、若いうちは想像以上に「できないこと」「つらいこと」で気をもむ機会が多いものです。

せめて日々の暮らしにかかる負荷は少なくして、仕事にも遊びにも打ち込むと、その体験が自分を助けてくれる時がくるはずです。お金はなくても、時間を使った経験値で自分に投資するイメージでしょうか。

「ブラック企業が…社畜が…」とい声が聞こえてきそうですし、こんなはたらき方はできないと思うなら、それでOK! 職住近接も選択肢のひとつです。

つい先日、出版社の「星海社」代表取締役副社長COOの太田克史さんが、こんなツイートをなさっていました。

僕は地元が三鷹・吉祥寺あたりなので、この話はよくわかります。

主要な美術館や劇場、イベントスペース、繁華街など、「東京の変化」を肌身で感じて刺激をもらうならば、山手線の内側のがアクセスしやすくて良さそうです。

その点でも、ターミナル駅の渋谷は、JR、地下鉄、私鉄とまんべんなくカバーしていて移動に便利。

ちなみに、僕は渋谷の桜丘町にある家賃8万円のワンルームに住んでいました。「渋谷って住めるの?」とよく聞かれましたが、むしろ快適に住めます。

円山町、道玄坂あたりは賑やかで苦労も多いかもしれませんが、神泉町、南平台町、桜丘町、鶯谷町、松濤なら、夜は静かで住宅も多いです。スーパーもありますしね。

仕事の仕方を変える前に、暮らしの立て方を変えてみる。それもひとつのビジネスハックです。

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Kento Hasegawa

長谷川賢人/86世代の編集者・ライター/日本大学芸術学部文芸学科卒/フリーランス