ワークショップ2B 57期 お盆 特別講座

35mm向きとスクエア向きの写真

OKUMURA Takahiro
ワークショップ2B学修記
5 min readAug 14, 2017

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ワークショップ2B (以降、WS2B) は写真家の渡部さとるさんが主宰する写真のワークショップで、57期 (7/22–10/21) に通っている。

今回はお盆の特別講座。デジタルカメラで野外撮影を行い、そこから30枚をプリントして、各々の写真を講評(見せ合いっこ)していく。この特別講座は WS2B の卒業生たちも参加し、正確な数を忘れてしまったけど20名近い人数での開催となった。

撮影時間は午前中の約90分。カメラは FUJIFILM X100T を用いた。しばらくフィルムを使っていたので、デジタルの手軽さと柔軟さに感動すら覚えたけど、同時に物足りないような味気のないような、そんな思いもした。

撮り終えたデータをプリントに出して、他の参加者との昼食を挟んだ後、近くの集会所で写真の講評が始まる。

講評会は次のように行われた。

ランダムにピックアップされた誰かの写真30枚が、机の上に並べられる。撮影者本人以外は、それらが誰に撮られたものかは分からない。

渡部先生が30枚の写真から近しい性質を持つもの同士をグルーピング、カテゴライズしていく。その過程で、先生と参加者たちが写真に感じたことを言葉にしていく。「風景/人/乗り物が多い」「コントラストが高め/低め」「色が鮮やか/渋い/色を見ていない(モノクロでも映える)」といった、単体や群で見たときの特徴を次々と言葉にしていく。その作業が人数分繰り返されていった。

不思議なことに、写真の出来栄えについてはどうでもよくなっていく。次第と「この人はこの町の何を見ていたのか」「この人が好きなものは何か」「どんな性格の人なのか」など、写真の向こう側にあるパーソナリティへ関心が向いていくのを感じた。

ひとの視点には、好みや性格、時事性が宿るのだと思った。

オブジェクティブ (Objective) とサブジェクティブ (Subjective) という考え方を渡部先生から伺った。客観性と主観性のことで、撮影者の主張が強く入っているとサブジェクティブな写真といえるし、観察者ごとに様々な解釈がありえるのであればオブジェクティブといえる。

さて、講評会の一番手が自分だった。

自分の写真はサブジェクティブで色使いが地味めと評された。ものを中心に据えたり、真正面から絵を捉える傾向があり、そのような視点で生まれた構図は、自ずと左右を切り取っても情報量が変わらないことが多い。6x6スクエアフォーマット向きとも言われた。

ワークショップ中に撮影した写真の一部。ものを据えた主観的(サブジェクティブ)な構成で、左右を切り取ってスクエアにしても情報量が対して変わらない

指摘されるまで、自分の撮る写真の傾向にまったく気づいていなかった。35mm フォーマットにも関わらず、スクエア向きな写真ばかりなことに自分でも驚いた。同時に、自分の写真はどこかインスタグラム的で、発想を縛られているようにも思った。

指摘された直後はどうすれば 35mm らしい構図が作れるのか悶々としたが、二番手の方の写真を見たときに手がかりを得られた。両端に力強いシンボルが配置されていたのだ。中央よりむしろ左右端のほうに視線がいく構図だった。

先生曰く(といいつつ私の意訳も入っているが)、スクエアフォーマットは枠の中央付近に視線が集中するようにものを置きやすい。35mm フォーマットは枠の四隅あるいは左右端に、方向性や力強さをもったものを置きやすいとのことだった。

6x6 (スクエア) と 35mm のベクトルを図解したもの(先生がホワイトボードに描いたものを図に起こした)

ただし、これで写真の良し悪しが決まるわけではない。各フォーマットでやりやすい配置・構図ということだと思うので、これまでの自分にはなかった考え方は積極的に取り入れつつ、その新しい考え方に囚われすぎないように眼を肥やしていこうと思う。

講評会は終始このような調子で、自分には発見の連続だった。同じ町を撮影したはずなのに、出てくる写真はまるで違う。飛び出し坊やのような目立つシンボルが被写体として被ることはあったが、構図も色使いが被ることは決して無かった。

10時から16時までの長丁場になったが、自分が写真を撮るときにものをどう見ているかに気づけたし、ひとの写真(視点)から得られる情報には得難い価値があった。

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