優秀な営業であればあるほど、新規事業をつくるのに向いていない

Hideaki Ishikura
4 min readNov 7, 2015

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今となっては何の職種が専門かわからないくらいいろんな仕事に手をつけている私ですが、キャリアのスタートは名刺と媒体資料を持って担当エリアの会社やお店に対して、文字通りしらみつぶしに飛び込む営業から始まっています。

幸い、営業では一定の結果も残せたし、苦手か得意かと言われたら得意な分野の仕事だと思っているのですが、営業やればやるほど得意な人であればあるほど「事業とかサービスを創る」ことに向いていないなと感じることが多くなってきました。(ここでいう事業はWebとかアプリとかのことにいったん限定しています)

もちろん、すごい業績をあげている企業の経営者ってすごーく営業できる人も多いですし、営業できるのはとても大事なことなのは疑う余地もないですが、そういう人は「営業も」できる人なのでちょっと違うかなと思うので割愛したとして。

でも日本では営業からスタートしている人も多いし、よく営業は仕事の基本、とか言われるのに、なぜそんなことが起こるのでしょう。「営業が」できる人がなんで「事業創るのが得意ではない」のかを考えてみました。

なぜ「営業が」できる人は事業創るのに向いていないのか

もちろん仮説なのでこれといったデータがあるわけじゃないのですが、考えられるのは次の感じかな

1、企業側ばかりのニーズに向いていて最終消費者に接する機会が少ない

2、営業力がある人ほど「最終的に営業頑張ればいい」的な発想で商品やサービスの細部を考えない

3、できる営業の究極は目の前のお客さんに合った提案をすることであり、それによって個別最適化の発想が強い

4、対面でお客さんと接しているので、声の大きいお客さんが言ったことが世の中全般のニーズだと思ってしまう

これくらいでしょうか。

1、とかはどの業界で何を販売しているのかによって変わると思いますし、2、はその人の思考力とかの問題もあるので置いておいたとして個人的に3、とか4、あたりが大きそうだなと。

営業=何かを売る、と思っている人が多いですが、営業の本質って「自分が持っているサービスやら商品で解決できること」と「相手が困っていてお金や手間をかけて解決したいと思っていること」の相互取引なので、究極のマッチングなんですよね。目の前にいる人が本当に何に困っていて、それを私たちはこういう解決ができます、どうですか?を精度高くできる人が営業で成績残せているはず。要はどこまで個別最適化できるか、なんですよね。

営業ができる人であればあるほど相手が何に困っていたとしても自社のサービスならこう解決できます、というのがとても上手です。あるAという機能はその相手の課題解決には全く役に立たないけど、Bだったら解決できます、という提案ができる人がほとんどですし、もっとすごい人は「AもBもドンピシャじゃないけど、Bをこう使えば解決できるのでは?」というB’の使い方まで提供してしまいます。

これってすごいことなんですが、いざそういう力がある人が何かしらサービスや事業を作って多くのユーザーに使ってもらおうという時にも同じ発想になっちゃうことが多い。

あれもこれも必要だし、さらにはこんなニーズもありそうだからこの機能も追加しよう、とか。全部のニーズに個別に最適化していこうとするんです。営業であれば1対1で説明できるのでいいのですが、いざサービスとなるとそういうわけにもいかないので、なんだか盛り盛りのサービスや事業プランになってしまう、みたいな事態に陥りがちだなーと。

世の中的に「事業は引き算だー」とか「提供価値のみにフォーカスしろ」とか言われますが、これって解決できないもしくは解決しない課題は目をつぶれって話だと思うんです。

営業ができる人からしたら、解決できる問題が目の前にあり、解決方法も思いついているのにやらない、ということが許せないし、もったいないと思ってしまうことこそが「事業やサービス創りに向いていない」となってしまう原因なんじゃないかなと。

営業で活躍してた人だと、自分が好きではないお客さんや本来の商品価値でないところでも何かしらを評価してもらって売り上げに繋がることも多いので、そういう人を相手にしないという経験がないですしね。

やっぱりサービスや事業を自分で創る場合には、わがままだったり、この価値をわかってくれない人はいいや、とするくらいの適当さが必要なんだなと実感する今日この頃です。

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Hideaki Ishikura

「働き方」が関心テーマ。誰かの働き方にちょっと役に立てるような事業を考えています。平日の夜と週末は、娘とうさぎのチャーリーと戯れるのが好き