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Hikaru Kusaka
Sep 27, 2018 · 6 min read

エストニアで30歳を迎えて

本日2018年9月27日をもって、30歳となりました。

これまで10年近く30代に見えると言われ続け、ようやく本当に30歳を迎えることができて色々な気持ちが込み上げてきます。

普段はあまりこうして書き連ねることも多くはないのですが、節目の年でもあるということで自分の心の整理の意味を含めて環境や心境の変化をきちんと言葉にしたいと思います。

たくさんの方々からお祝いの言葉とさらなる活躍をとのお言葉もいただきましたので、御礼の意味も含めて書かせていただきます。

昨年から始まったエストニアでの挑戦

今年に入ってから特に何かと注目されている電子国家として有名なエストニアですが、昨年の初頭から私自身エストニアに拠点を移して新たなスタートを切りました。

エストニアでの挑戦を決めたのにはたくさんの背景がありますがその一つが日本を中心に行っていたブロックチェーン関連の事業の国内での状況の変化を感じ取ったこと、です。

日本の市場では当時ブロックチェーン技術を使った何か、というよりも仮想通貨関連の話が多く、どうすれば実用的なブロックチェーン技術普及が進むのかという課題に向き合えていないことが一つの悩みでした。
その一つには、今の段階で取り組むのであれば技術、ビジネス、法規制の三方を網羅的に理解しなけれなならず、それには行政側との密なコミュニケーションは欠かせませんが、スタートアップとしてその三方を日本の行政規模と連携することは非常に大きな時間とコストを割かれます。

一方世界のブロックチェーン市場全体を見ても”実用的”という意味でいえばまだまだそれらしいものは当時なく、”実験的”なものが多い中で、数年前に調べたエストニアがふと頭によぎりました。

そこから知人や友人を通してすぐにエストニアとのつながりが見つかりました。エストニアの電子政府e-Governmentは、世間がイメージしているビットコインのブロックチェーン技術のような仕組みではありません。

しかし、データの透明性・個人情報の主権を個人に帰属させる・暗号化技術や分散型データ連携基盤など現在ブロックチェーン技術を語る上で欠かせない思想や設計がすでに10年以上前から実装されており、そこに魅力を感じました。

エストニアに来た初日が終わる頃にはもうエストニア移住はほとんど心の中で決まっていました。(実際にはその後に妻を説得する作業が必要だったわけですが)

なぜエストニアへ移住までする必要があったかというと、エストニアの電子政府の素晴らしいところは技術以上にこのデジタル化された仕組みを国民が受け入れていること、です。

つまり日常生活にすでに溶け込んでいて、見えない部分で国民はたくさんの恩恵を受けています。行政システム自体のソースコードやAPIが公開されており、民間企業がその上のレイヤーでより便利なアプリケーションやサービスを提供することも可能になっています。

これを実感するのは数日や数ヶ月いるだけでは難しく、実際に自分も住んで生活することでしか本当の利便性も課題もわからないと思ったからです。

毎年開催されているエストニア最大のITカンファレンスLatitude59。昨年はvisitorで参加して今年はメインスポンサーとして色々な取り組みをさせていただきました。

エストニアに初めて来たその日から今日で1年半近くが経ち、昨年のeResidencyチームと共に検討したエストコインのプロジェクトに始まり、現在もエストニア行政チーム側と連携して様々な取り組みをさせていただく機会が増えました。

ブロックチェーンや仮想通貨の世界にいると、

銀行も政府もいらないし今の行政システムも経済システムも破綻しているのだからブロックチェーンで全部非中央集権化した方がいい。という思想の人とも出会い、一方”ブロックチェーン技術”を大企業に売り込むことを新しい商機と捉える人とも出会い、既存事業の存在否定になるほどブロックチェーンを真剣に導入するつもりはないがどう活用していいか悩んでいる企業にも出会います。
まだ誰にも何が正解かわかりません。

技術的な側面でいえばエストニアの電子政府基盤をブロックチェーンと呼ぶとその説明は間違いであると他方から指摘がくると思います。ただ最も重要なのは「それはブロックチェーン技術なのか?」ではなく「それは人を幸せにするものなのか?便利にするものなのか?」そのためにどんな技術や設計思想が必要か?であり、その上ではエストニアにいることで学ぶことは非常に多いです。

タリン工科大学での「トークンエコノミーと小さな政府」のkeynoteセッションとエストニア議事堂内のでエストコイン検討会(2017年)

日本とエストニア

海外でチャレンジして結果を出せる日本人は多くありません。
言語の問題や文化の問題、家族がいる人であれば家族が新しい環境に馴染めるように母国にいた頃以上にケアしなければいけないこと、考えなければいけないことがたくさんあります。

そんな中、エストニアで日本というブランドの強さと信頼に改めて気付きくこともできました。日本ではまだまだ知らない人が多いエストニアという国でもTOYOTAは一番人気の車ですし、日本人というだけで信用度は高く、"誠実"、"正直"、"真面目"だという印象が日本人にはあるとよく言われます。
これまで日本人の誇りを持ってとか、日本人として、というのは少々古臭い考えかなとも思っていました。しかし、こうして日本を出て海外で仕事をするようになり、TOYOTAを賞賛するエストニア人たちを見て日本を誇りに思えたことと、国境を超えて言語や文化の壁を超えても決して変わらない人々の価値観に触れられるものを生み出せる可能性を非常に強く感じました。

これまでの1年半、エストニア、日本を問わず非常に多くの方から本当に多くのサポートと気付きをいただくことができ、これからの10年で何をしていくべきかの決心がしっかりとまとまりました。

この場を借りて、拙い文章ではありますが、これを読んでくださっている方々、ご支援いただいている方々に改めて感謝を述べたいと思います。

本当にありがとうございます。
そして引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

日下光 Hikaru Kusaka
blockhive OÜ (https://blockhive.ee)
https://twitter.com/HikaruKusaka

Hikaru Kusaka

Written by

Co-founder, Blockchain and Decentralized Business Design Lead@blockhive OÜ,Advisor@Agrello.org