ICOとイノベーション、ILPとレギュレーション

レギュレーション×イノベーションで生まれた新しい選択肢

Hikaru Kusaka
Dec 7, 2017 · 7 min read

数日前にエストニアで開催されたMoontec17イベントでキーノートスピーチをさせていただいたので、その内容をほぼそのままに日本語にして記事にしたいと思います。(会場にはお一人か二人ほどしか日本人はいませんでした。)

ブロックチェーン技術や仮想通貨への注目が集まった2017年ですが、
今年は"ICO元年" だったと言って間違いないと思います。

ICOs in 2017

ICOは株式による資金調達に代わる新たな資金調達として世界で注目を浴びていますが、各国ではまだまだICOにおける規制や法整備が追いついてきていないのが現状で”自主規制”というグレーゾーンの中で、イノベーションという言葉を借りながらスタートアップも手探りでICOに手を出している現状もあるのかもしれません。

独自トークン発行によるICOを検討する場合、
実施性・技術や法律面、 税制面などの課題をどのようにクリアにしていくかはこれからのICOという資金調達モデルにおいて重要な検討事項です。
また数百億円規模の調達に成功したICOもあり、技術以上に調達した額に市場の目が向く現状もすでに起きていますが、その調達額がプロジェクトを実現するのに適切なのかは誰もわかりません。

ブロックチェーン技術を活用したサービスやアプリケーションを開発する企業に資金需要がある場合、株式の代わりに、ICOのために必要な独自トークンを発行するということがブロックチェーン技術を使ったスタートアップのプロジェクトでは暗黙のルールのようになりつつあります。

しかし、ブロックチェーン技術を活用したサービスは必ずしも独自トークンを必要とするわけではなく、かえって利便性の阻害になることもあります。

それでも仮想通貨によるグローバルな資金調達手法であるICOは、イノベーティブな技術開発を推進したいスタートアップにとって、
株式を第三者に引き渡す必要がなく、上場やM&Aなどのエグジットという選択肢に限定されることのない事業推進ができ、調達コストが低いという点では革新的な仕組みであり、これまでのスタートアップにおける資金調達の概念を根本から変えた新たなソリューションとして世界のスタンダードになる可能性も秘めています。
(またはオープンソースソフトウェアなどの開発組織の新しい開発資金獲得手段としてもICOは機能する、既にしている、と思います。)

また投資家(またはトークンホルダー)側の視点から見れば、支援したプロジェクトのトークンが取引所などで早期に流動性を持って売買が可能という点も、魅力の一つだと思います。

これだけ企業にとって魅力的に聞こえるICOが目の前にありながら、例えばブロックチェーン技術を活用したサービスやアプリケーションを開発する企業が、サービスの利用そのものに独自トークン実装の必要がないと
分かった時、ICOを断念して従来の伝統的な資金調達に戻るのでしょうか? または無理をしてでもビジネスモデルに"独自トークン"を取り入れるのでしょうか?

そこで新たに考えた仮想通貨によるグローバルな資金調達を検討する企業や組織にとっての一つのソリューションが
Future Loan Access Token(FLAT)モデルを使ったローン型資金調達、
Initial Loan Procurement(ILP)です。

FLATはEthereumブロックチェーン上にEIP20のトークンプロトコルを使って発行することのできるトークンモデルです。FLATモデルによって発行された独自トークンは、
発行した企業との電子ローン契約の締結と、ローン契約の他者への移転(譲渡)を可能にするという2つの機能を備えています。

ブロックチェーン上に構築された電子ローン契約プラットフォームを通して、FLATモデルで発行された独自トークンを持つユーザーのみが発行企業の電子ローン契約へのデジタル署名が可能になり、債権者となることが可能です。

そしてローン契約の内容に基づき、指定のコントラクトアドレス(利払い受取先)に、スマートコントラクトにより指定日に利払い(返済)が自動で執行されます。

FLATモデルは

法律面においては実態のローン契約があることにより実施企業の所在国のローン契約の定めによって電子ローン契約が可能です。また法的拘束力のあるローン契約があることによって、ICO ( ILP)参加者が送金したお金は貸付となるため、元本はローン満期に償還されます。

また税制面においては、ローン契約が伴うことによって、従来のICOで不明瞭な点が多かった調達資金の会計上の処理が明確に「借入」となるという側面があります。ICO実施国によっては調達した資金が売上に計上され、法人税などの課税の対象になるということもあります。

また、トークン自体はあくまで、「ローン契約にサインをするために必要なアクセストークン」であるためローン契約とは分離しており、利払いを受け取れるのはローン契約を持つ債権者でありトークンホルダーではありません。トークンホルダーは、トークンを使うことでローン契約へのサイン、契約締結をし、それによって元の債権者が同じトークンを使って締結したローン契約は消え(または更新され)、新たな債権者へと移転します。

How FLAT & ILP works

トークンが市場で売買可能となれば、
債権者は元本の満期を待つ必要なく、保有するローン契約を他者に譲渡することが可能です。

このFLATモデルを使ったILPは、ICOを検討しているすべての企業や組織に対するソリューションになるわけではありません。
仮想通貨によるグローバルな資金調達という意味では従来のICOが適さない企業にとっての、新たなソリューションになると確信しています。

またブロックチェーン企業だけでなく、一般企業も、政府または政府系機関、地方自治体などの行政機関がFLATモデルを使った資金調達をすることも可能であると考えています。

例えばどこかの小国が、国債の発行をやめ、FLATモデルによって世界に向けて、または自国の国民に向けて、資金を募る日が来るかもしれません。

このFLATモデルが金融セクター、ブロックチェーンスタートアップ、行政機関、各国の規制監督省庁の方々にとって一つの新たなディスカッションの材料となり、イノベーションとレギュレーションのバランスをとることができる手段となるよう進めていこうと思います。

Hikaru Kusaka

Follow blockhive on Medium, Twitter @blockhive_ee, Facebook, or join our community on #Slack or Telegram.

Thanks to Kathleen Chu

Hikaru Kusaka

Written by

Co-founder, Blockchain and Decentralized Business Design Lead@blockhive OÜ,Advisor@Agrello.org

Welcome to a place where words matter. On Medium, smart voices and original ideas take center stage - with no ads in sight. Watch
Follow all the topics you care about, and we’ll deliver the best stories for you to your homepage and inbox. Explore
Get unlimited access to the best stories on Medium — and support writers while you’re at it. Just $5/month. Upgrade