はやいUI

こないだまで関わっていたIoTデバイスのアプリ改善プロジェクトについて、UX JAM 19でLTしてきました。改善目的は、初見でも緊急時でも難なく使いやすいアプリになることです。

LT用のスライドなのでこれだけ見てもよく分からない部分もあるため、改めて伝えたかったことを整理します。


今関わっているプロダクト「Qrio Smart Tag」は、落とし物タグのジャンルに属するモノで、スマホとモノが離れるとpush通知で知らせてくれます。

IoT系の製品については、日々リモコンのように使うアプリと、初期設定だけするアプリの大きく2パターンに分けられます。タグについては後者の「たまにつかう(でも緊急)」です。

初期設定だけするようなアプリは、基本的に毎日触りません。なので、UIに学習コストを払うこともできず、初見ですぐにわかることが求められます。

元のアプリのUIの狙いは、Instagramのように「大事な持ち物のことを日々見守っていくアプリ」というものでした。そのため、写真領域は大きく目に入るような設計となっていました。

しかし実際は、写真の設定率も1割程度と、狙った使われ方はされていませんでした。そして見た目上の印象とは裏腹に、当時のpush通知はこんな感じだったのです。

通信が切れたという「事象」だけはわかります。でも、次の行動に移すための解釈がありません。交通情報アプリであれば「電車が遅れています」だけ出てくるイメージです。遅れているのはわかった。で、俺は今まずいのか?無視していいのか?がわからない、と言う状況。

そして、現在の通知がこれです。

国内外のアプリの挙動も勉強しつつ、今結局何が起こっているのかをちゃんと伝えることで、次のアクションに移せるようになっています。先の電車の例であれば「山手線が人身事故で遅れています」と、より具体的に伝えてくれることが近いでしょう。

学習コストを払えないアプリ。最近家電のUIの話が盛り上がっていますが、普段家電を使っていない人がふと家電のUIを見るともやっとするのもこの辺りの配慮と近いのかもしれません。慣れてしまえばなんてことないけれど、初見では何が起こるのかも予想できなくて辛い。

初見のつらさを下記の観点で潰していった結果、いわゆるUI的にはちょっとつまらないものになりました。しかし、結果的にアプリに対するお問い合わせはほぼゼロとなり、初見で使いやすくなるアプリとしての目標は達成されたようです。

落とし物タグについては

①落とし物をする
②アプリの通知に気づく
③アプリを見る
④モノを探しに行く

と4段階のアクションがあり、初見ですぐに行動に移せると、限りなく③と④の間隔を短くできます。アプリを操作したいのではなく落とし物をすぐに見つけたいのがこのときの要望なので、②や③にかける時間はできる限りゼロでありたい。

Webやアプリの画面の表示を速くすると離脱率が下がるという議論は良くされていますが、表示されてから行動に移せる時間もより短くすれば、ただでさえ忘れ物に焦っているのにアプリの使い方に悩んでさらにイライラするような状況から逃れられるでしょう。

特にIoTはアプリ+ハードウェア+全体の使用感、期待値まで含めますが、この中ではアプリが一番頻繁に改善できるものです。当初の狙いと実際の要望が異なるようであれば、要望に対しての時間の短縮化を狙い、どんどん時短にチャレンジできます。

それが、IoTのサービスをつくっていく中で特に目指していきたい「はやいUI」の考え方です。

「IoTデバイスなんだからアーリーアダプター向けでいいじゃない」と思いがちですが、忘れ物タグや見守りのデバイスは子どもや老人も主なターゲットに含まれます。そういった方々が本当に使えるんだっけ?という懸念は見逃せません。

実際はもっと緩い感じでLTしましたが、わかる速度のことを考えていくと、なんとなく言葉にできないアプリ課題について気づけるんじゃないかと。そんなことを話した4分2秒でした。


LTで一番受けたのは本編ではなく、着ていった新規サービスTシャツの背番号がサービスと何の関係もなく「本人が36歳だから」だったことです。ただ、帰り道に「これブルゾンちえみの35億にかけて話したほうが良かったのでは」と後悔したので、今後の戒めとしたいです。

タイトルは最近話題になった「つよいUI」のオマージュでした。形容詞+UI、なんかいいですよね。こちらの記事もオススメなので、ぜひ読んでみてください。