サービスC2Cにおける品質担保とコスト

サービス特有の仕掛けでトレードオフ関係を打破する

価値とコストのトレードオフ関係

サービスのC2Cを提供する、つくろうとしている人たちのなかで議論になりがちなことのひとつが、サービスの「品質の担保」の方法です。なぜこれが議論になるのかというと、運営側による品質向上に向けた取り組みがコスト削減とトレードオフになりがちだからです。

たとえばフラミンゴにおいて、レッスンの価格と効用とのバランスがとれていない状態が生まれたとします。価格が高すぎるという状況です。この状況を是正するためには、(1)運営側が料金を下方修正することか、あるいは、(2)人材や資金を投じてレッスンの効用を高めることが必要です。トレードオフ関係がありますね。サービス提供者側が望む料金を得られない場合、マーケット自体が成立しなくなるため、前者はかなりリスキーな一手です。そのため、往々にして、後者が選択されます。お金をかければ良いサービスになり、お金をかけなければ価値が下がるという単純な構図ができあがるのです。

これが何を意味するのかというと、「C2Cにすればコストが低くなり、利益率が高まるから儲かる」という世の中に広がっている単純なロジックが破綻するのです。最近も、このロジック破綻が現実のものとなった例として、”Washio”が取り上げられていましたね。

2013年に創業したWashioは、洗濯物をオンデマンドで取りに来てくれて、24時間以内に洗って返してくれるサービスでした。米国都市部のアパートメントなどでは、家の中に洗濯機がない家が多く、アパートメントの共用ランドリーや街中のコインランドリー、洗濯代行サービスなどを利用するのが一般的です。ユーザーはWashioを利用することで、洗濯の作業やコインランドリーに持っていく手間などを省くことができました。2015年半ばには、サンフランシスコやワシントンD.C.など米国内の6都市にまで拡大し、売上は月80万ドル(約9200万円)に達したといいます。

それでも彼らは、毎月50万ドル(約5800万円)前後の赤字を垂れ流していたそうです。いくつか要因がありますがまとめていうと、不特定多数に向けてサービスするために、さまざまなコストがかかっていたんです。

また、オンデマンドサービスを標榜する限り、ユーザーからお呼びがかかったらいつでもそこに行ける体制が必要です。Washioでは洗濯物をデリバリーするドライバーを時給15ドル(約1,800円)ほどで雇っていて、その人がデリバリー作業をしていない時間に対してもそれを支払う必要がありました。それにこの手のサービスは、ある程度規模を大きくしないと仕組みを作る意味がないので、マーケティング費用もかさみます。(引用終わり)


オンデマンドサービス化

単純に言えば、ピュアなC2Cからオンデマンドサービスの傾向を強めれば強めるほどに品質管理コストが高まるということです。その分、高い価格設定にしなければいけません。「うちのサービスはLTVが大きいから多額の先行投資をしている」という論もあるかもしれませんが、以下のオンデマンドサービスにおける2つのリスクから不安を覚えます。

  1. 中抜きの発生:サービス提供者とサービス受給者による直接取引に発展してしまい、リテンション・レートが悪化します。
  2. 参入障壁の低さ:C2Cにおけるサービス提供者のなかには、ROI最大化を目指すタイプ(稼げれば稼げるほど幸福度が高まる実利志向)が一定の割合で含まれています。この人たちに金銭をもとにしたインセンティブを与えられると、容易に引き抜かれてしまいます。

介入量とコストで分類したC2Cサービス

長い文章が続いてきたので、下手くそなりに作図してみました。この図に基づくと、オンデマンドサービスはコストが高くなります。だから顧客単価も高くする必要があります。一方、ピュアC2C(命名がひどいです)の場合は、顧客単価が低くてもバランスすることが可能です。


C2Cが低賃金労働者を増やすべきではない

ちょっと脇道にそれます。突然ですが僕は、安い賃金で働いてもらうことをビジネス成立要件としたC2Cには違和感を覚えます。なぜなら、普通にアルバイトした方が儲かって、健やかに暮らせるのであれば、「遊休資産としての時間」の使い方に問題を感じるからです。
C2Cはコスト削減のための仕組みではありません。C2Cは、遊休資産(時間・物)を活用するための仕組みです。サービスのC2C、オンデマンドサービスでは、あくまでサービス提供者(供給側)の量を担保することができるという点にフォーカスするべきです。比較的に稼げて、楽しめる機会を提供し、それに魅力を感じた人々に参加してもらうべきものです。
当然、「雇用」ではないため、その分の支出は削減されます。しかし、(株)クラウドワークスが以下のようなサービスを提供しているように、その問題の解消を目指すこともできます。すごくポジティブな取り組みだと思います。


サービス特有の仕掛けでトレードオフ関係を打破する

お客様の要望に応えるため、サービスの質向上を目指すべきなのであれば、無理なコストカットではなく「サービス特有の仕掛け」でトレードオフ関係を打破する必要があります。安易にLTV論に逃げ込むべきではないと思います。頭を使って仕掛けていくべきです。おそらく、他社の事例をリサーチしながらここを研ぎ澄ましていくことが重要です。僕は最近、ラ◯グラフに注目しています。僕はギフトでプレゼントをすることしかできません。


P.S.

SNS上でWashioを叩きながら、「サービスC2Cはダメだ。オンデマンドサービスはコスト構造がキツイ!」というような議論がたくさんされていたのを眺めていたら、140文字では語り尽くせない想いが募ったため、今回ブログを書きました。僕らもしっかりトレードオフ関係を打破していきます。毎日頑張ります。
また、今日触れたことと関係して、他にもいくつか気になっていることがあります。

  • 各オンデマンドサービスが行っているトレードオフ関係を打破するための仕掛けに、どんなものがあるのか?
  • 果たして語学教育大手B2Cにおいて、価格とコストのバランスは取れているのか? 顧客は良いサービスを享受できているのか?
  • サービス提供者側のROIを最大化するための仕組みとして、他社はどのような施策を打っているのか?

リサーチ、勉強が終わり次第、気分が乗ればブログに書きたいです。

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