“Life at a Startup” — Statusbrew Spark: 北インド発SaaSスタートアップの13年目 -Local for local

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こんにちは、まずは自己紹介をさせてください。

右手:筆者松原 @リスボン開催のWebSummitにて

私は2019年10月から単身でインドへ渡り、現地のSaaSスタートアップ企業Statusbrewの日本事業の立ち上げのために参加した松原寿美(Hisami Matsubara)です。1991年生まれ、岐阜県出身です。現在はStatusbrewの日本カントリーマネージャーです。

今年で5年目に突入、2019年当時は入社0日目から本社(Statusbrew HQ, 77, Holy City Paradise, Punjab)にほぼ住み込んで勤務を開始しました。実質4年半をインドで過ごし、現在も年間半分はインドにいます。

Statusbrew本社オフィスです。

今考えると、「じゃあ同じことを33歳になる今年決断できるか」と言われると、すぐにYesと言えません。笑

私たちは普段、Statusbrew公式ブログでソーシャルメディアマーケティングに関するインサイトを日本語で執筆を続けていますが、こちらでは私自身の言葉で、コーポレートとして会社の魅力やインド発ローカルスタートアップを届けます。

理由はたった一つ、製品のみならず企業としての魅力を知ってほしい、Statusbrewでこの製品に携わるすべてのメンバーの顔を知ってほしい、若く溢れる才能を発掘したい、良い会社・組織を作り、世界を良くしたい。という私の個人的な大きな願いがあります。

-まずSaaSとは-

SaaS(サース)はSoftware-as-a-Servive(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)の略で、サーバー上でホストされているソフトウェアをオンラインでアクセスし、通常はサブスクリプション(有料課金)を通じて使用できるソフトウェア提供モデルのことを指します。SaaSは通常、ウェブブラウザー、モバイルアプリ、またはAPIを介してアクセスすることができます。

インド企業 = バンガロール?

インド発の企業というと、よく「インドのシリコンバレー」と呼称されるバンガロールや、たちまち世界の有名企業が並ぶデリーですか?と、お問い合わせいただくほとんどの日本企業様に聞かれるのですが、、

それもそのはずです。

そもそもスタートアップといえば、想像するのは「何十億円の資金調達」「IPO」のようなキーワードが頻発する世界です。

私たちのオフィスは、旅行好きやインドが好きな方にとっては有名であろう、シク教最大の聖地と呼ばれるアムリットサル(Amritsar)にあり、「一円(一ルピーと言いましょうか)の出資金なし、完全自己資金」で13年以上続くとても珍しい成功モデルを実現している企業です。

Photo by Raghu Nayyar on Unsplash

アムリトサル(Amritsar)ってどこ?

世界史で学んだことを記憶する方もいるのではないでしょうか、アムリトサル事件などで有名な観光地でもある、私が5年働きながら暮らしている地は、

引用:ブリタニカ地図

見えますでしょうか?インドのほぼ最北端、パキスタンとの国境に密接しているパンジャーブ州の中規模都市です。(オフィスは国境まで車で30分)

首都デリーからは国内線フライトで50分と、便利なのか不便なのかわからない立ち位置と言って良いでしょう。このアムリトサル(パンジャーブ州)という都市は元々農業やテキスタイルがメイン産業、私が知る限り(そして創業者たちも知る限り)、私たちが唯一のSaaS企業です。

私たちのオフィス(建設中)

そんなアムリトサルという中規模都市から、Statusbrewはどうして生まれたのでしょうか?そして、なぜ13年もこの都市で拡大しているのか?

How we started- はじまり

私たちは2011年、CEOであるトゥシャール・マハジャンが大学在学中に開発したTwitter(x)専門管理アプリケーションUnfollowers(アンフォロワーズ)から始まりました。

最盛期には世界1500万人のアクティブユーザーを獲得したことから、一気にトップシェアアプリケーションの道を駆け出します。

引用:Twibble.io記事

当時のユーザー成長に対し、インフラストラクチャーやサーバー構築が追いつかないほどで、この穴を埋めるべく2015年には、トゥシャールの実兄であるリシャブ・マハジャンがCOO兼デベロッパーとして参加、引き続きマネタイズのビッグウェーブが加速します。

インフラ・スケーリングに関する創業者二人の融合した知識、そして日本、アメリカ、その他の世界からの消費者パターン(特に日本のTwitter(X)を利用したテキスト発信文化はインドチームも目を見張るものがありました。)、InstagramやLinkedInなど他のネットワークを次々とサポートする俊敏性、そして創業者二人の幼馴染であった二人のメンバー(今日も私たちと働いています!)で構成された私たちのチームを持って、ユーザー採用と収益の並外れた成長を目の当たりにしました。

左上、日本でUnfollowersがトレンドに上がる

この時点で最高利益に到達し、8000社の企業顧客、15カ国からなるメンバーを迎え入れ、

  • 開発
  • カスタマーサポート(最高で70人体制)

の体制からすべてをスタートさせます。この当時はまだ、「マーケティング」をいっさい行わずに成長を辿っていました。

2019年の危機とピポット

2019年に変革が訪れます。私たちはB2CからB2Bへのビジネスモデル変更という大きな決断をし、投稿(Publish)、エンゲージ、分析などの現在のモデルの基盤となった機能を含む次世代のソーシャルメディアスイートの構築を始めました。

また、販売目標達成に応じてボーナス最大2倍の報酬を約束する、おそらく最も魅力的であろうインサイドセールスチームの構築を開始したのもこの時です。

そしてこのピボットを通して、初めてと言っていいほど「マーケティング」に直面から向き合うようになります。無数に溢れるソーシャルメディアマーケティングツールの中で、変わらないといけない、勝たないといけない。そのゲームチェンジャーとなったエピソードはまた次回お話ししますが、私の入社後、ほとんどすぐにやってきたCOVID-19の影響で顧客の離反があったものの、私たちは毎月10〜20%以上の純増加率で成長を続けています。

ここまでで、どこにいてもグローバル企業を作る可能性を納得いただけたと思います。

私たちはアムリトサルやその周辺地域(パンジャーブ)から、クリエイターや積極的に行動する起業家のコミュニティを構築してきました。

Local for local、地方創生的スタートアップ

Statusbrew HQメンバー。

これが私たちの、世界中どこでも成功できる、という実例を体現してくれているメンバーたちです。

インドの地方出身者がローカルスタートアップで働くこと、また都市部へ出ない選択肢を取る若者の意義は、家族との距離を維持し、地域社会に根ざした価値を失わないようにするという選択にも反映されていると、私なりに感じています。多くの起業家や従業員にとって、地元に留まることは、文化的・家族的絆を維持し、地域社会の発展に貢献するチャンスを意味します。この選択は、単に職場を決める以上のものであり、自らのルーツと連携を保ちながら、グローバルな視野を持つ企業を築くという意義深い決断ではないでしょうか。

Life at a Startup — Statusbrew Sparkを始動

地元発スタートアップであるStatusbrewが、ソーシャルメディア管理ソリューションのリーダーとして、地元の若い才能向けの「Sparkプログラム」を立ち上げました。このイベントは、スタートアップ文化の内側と外側を発見してもらい、米国大手競合との比較されるまでになった革新的な私たちの製品を構築する際の挑戦と成功をストーリーを語ることで体験し、技術の未来を形作る一部となる方法を学ぶための入り口です。

今週の3/27、創業以来数年ぶりのコミュニティ・イベントではほぼ数日前の告知だったにも関わらず、総勢50名以上の学生や若手起業家を迎えることができました。

若い才能を無駄にしたくない

若い彼らのキャリアゴールと今後の希望をヒアリングしたり、成功SaaSモデルの私たちだからこそできるスキル向上のためのブートキャンプやワークショップを行いました。

Local for localを日本でも実現したい

COOのリシャブ。実は日本語話者。

私たちStatusbrewは、インド以外でも「Local for local」をモットーにすべく、若い才能を日本の地方から発掘し、支援したいです。

・東京の大学に行く機会がなかった

・地元に戻って、愛する家族と過ごしたい

StatusbrewのCEOは日本に来るたびに、「なぜみんな東京で働きたがるのか」「地方に若く活気にあふれた人材がいるのに」と疑問を投げかけられます。

本社オフィスはプール付き

だって、東京の方が給料も高いし、ね、、と言いかけたところで、本来どんな会社にしたかったのかを思い出しました。

代表に就任した日本法人も、社会に直接働きかけることのできる会社にしたいと考えています。日本が抱える雇用の課題を自分の会社から解決すること。

日本の優秀な人材に、「日本の平均年収は400万円以下で報われない」と思ってほしくないし、国内外の企業から「日本人だから安く雇える」と思ってほしくない。日本法人で新たな人材を迎え入れる際は、どこにも負けない条件を提示して日本の常識を覆す。日本をよくしたい、インドをよくしたい、国を変えたい、のであれば企業から変わること。

Statusbrewという製品や私たちチームに興味をお持ちいただけた方、いつでもコンタクトをお待ちしています。

連絡先: hisami@statusbrew.com

X(Formally Twitter: https://twitter.com/statusbrew

本社Instagram: https://www.instagram.com/brew_hq

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