Dropbox paperのチームが良いプロダクトデザインの為に大切にしている3つのこと

12月1日にレッドブルスタジオ東京にて、Dropbox Japan主催のUnleash the World’s Creative Energyと題されたイベントがあったので行ってきました。

クリエイティブな仕事のコラボレーションをサポートするツールとなりつつある最近のDropbox。Design managerのKurt VanerさんがDropbox Paperの制作現場の様子と素晴らしいデザインの傾向というタイトルで話してくれたのでメモを残しておこうと思う。

先程言った通り、Dropboxはただのファイル共有サービスではなくなっている。(友達紹介だけで14GBくらいの容量を稼いでいたころが懐かしい…。)そもそもファイルの共有サービスというより、クラウドストレージ的な側面が最初は強かったサービスだが、今ではPaperやShowcaseというサービスなどがローンチされ、彼らが次のフェーズに移行していることはなんとなく感じていた。なので、Kurtの話の冒頭で

File in sync to team in sync.

(ファイルの同期から、チームワークの同期的な意味)という言葉が出てきてとてもしっくりきた。

彼らがそんなコンセプトを掲げながら今力を入れているプロダクトPaperの開発チームで、どのようなことを大切にしてデザインしているか。

“何を大切にする事で素晴らしいプロダクトが作れると考えているか。”
を共有してくれたので、下記にまとめておきます。

1.プロダクトに関心をもつチームをつくれ。

PaperではUXライターやUXリサーチャー等、デザイナーの他にも多くの違うポジションのメンバーで構成されています。72人で構成され、その中で7つの違う役割を担って働いています。ですので、この中でもしデザイナーが1人だけプロダクトのデザインに関心がない場合、デザイナー/デザインはフェアな扱いを受けにくいでしょう。Paperのチームはデザイナーばかりではなく、色々な違う役割の人がいますが全員がどういったプロダクトが作られているのかとても関心をもって働いています。これは必ずしもデザインの事に関して関心をもてという訳ではありません。それはデザイナーのエゴが入ってしまいやすいものです。

では、どうやってそんなチームをつくるのか。
Paperではチームビルディングの活動として下記ようなことをやっています。

  1. Hacky Hour(ハッピーアワー的な)
    1スプリントの内に2回、もしくは3週間に1回、チームであつまり誰とでも組んで自分たちの好きなものを開発する時間をもっています。ここで作ったものは実験的にDropboxのユーザーに100人単位で実験的にローンチし何が刺さるかを試す事もできます。
  2. 参加型デザイン
    デザイナー以外の人の価値観も取り入れながらデザインしていく機会を作っています。会議室にサービスまでの導線のUI画面を張り出して、エンジニアやプロジェクトマネージャー、ライターなど全員で(イラレなどの)デザインツールを開く前に一緒に考えます。こうやってみんなで考える事で、各々が自分がこのプロダクトのオーナーだという感覚もってもらうことができます。

2.自分達の哲学があるデザインをする

マイクロソフトワードはほぼ30年くらい前にデザインされたソフトウェアです。ワードプレセッサーのゴッドファーザーです。ワードは印刷する事を前提としてデザインされました。印刷をして、印刷された紙で一緒に仕事をする…なのでインターフェイスもその用途にそってデザインされています。UIの中に紙が配置されているように…。ワードはこのデザインを継承してきました。30年で少ししか変わっていない。でもその期間私たちの仕事の仕方は劇的に変化しました。他のツールは、オンラインツールとしてデザインされ、コラボレーションに対応したものもありますが、基本は過去の概念に沿ったデザインになっています。

私たちは違う方向で考えました。本当に真っ白なキャンバスをつくったのです。近代の働き方に合わせたコラボレーションツールを一からつくりたかったのです。紙にようにシンプルな見た目で、だけど広げると無限の可能性をみせてくれるような。ツールというのは使う人にあわせて作られるべきで、人がツールに合わせるべきではありません。これは私たちがとても大切にしている考え方です。しかし、こういった独自な考え方は、時として判断をにぶらせます。

チームの中の各々が強い持論をもっている場合どう判断するかが難しくなるのです。なので、私たちは4つの判断基準を設けました。

  1. 明確にすることで自信をもたせること
    私たちは、人は自信をもっている時にベストな仕事をすると信じています。ですので、下記の事を明確にして自信をもって仕事をできるような工夫をしています。
    - 誰が参加しているかを明確にする。
    - 誰が何時閲覧したか、誰が未閲覧か明確にする。
    - アノテーション機能を用いてどこに対するどんなフィードバックか明確にする。
  2. 集中して流れるような作業を
    私たちは人は集中することでベストな仕事をできると信じています。この考え方は、paperで新しいドキュメントを作成するとわかります。邪魔するものはありません。書式を整える機能も隠れていて、必要な時に必要なものを表示します。プレゼンテーションモードも作り、コンテンツに集中することができるようにもなっています。
  3. クリエイティブな遊び心を
    私たちは、職場にいようと職場以外の場所にいようと人は人だと信じています。人は楽しい事をしたいものです。仕事場では常に気を引き締めてで真面目でいるべき…とは考えていません。Paperではコメントエリアにおいてアニメーションスタンプを実装し遊び心をプラスしています。絵文字も使えますし、アニメーションスタンプをクリックするとミニゲームをする事もできます。
  4. 信頼しあうチームワークを
    私たちは人は一緒に仕事する人を深く信頼する時にベストな仕事をすると信じています。その信頼関係を築くためのきっかけ作りとしてTo do list機能を設けています。作ったタスクは誰にでも割り当てることができます。そしてドキュメントを共有するとき、デフォルトでは共有された人は誰でも編集権限をもっています。これも、信頼関係を大事にして一緒に仕事をするという私たちの考え方が反映されています。

3.人を中心に置く

最後になりますが「ユーザーと話しましょう。」常に!という意味です。Paperでは幸運な事に素晴らしいデザインリサーチチームが居て、常にリサーチをしています。私たちはユーザーを深く理解したいので、ユーザーを招いて彼らのワークフローを再現してもらうなどの取り組みをしています。他にも、Real World Wednesdayというイベントを毎週開き、合同お見合いのようなスタイルで順番に違ったコンセプトのデザインを試してもらうということもしています。カスタマーチャットもしています。ユーザーを実際にオフィスに招いて直接顔を見て話し、ユーザーのチームでpaperの何がよく使われ、何をもっと改善できるか、またユーザーの方が直接機能などのリクエストをできる機会を設けています。


以上が、Paperのチームがプロダクトをデザインする上で大切にしている3つのことでした。聞いた印象だとクリエイティブな仕事のプロセスをDropboxで完結するようにしているような気がしました。今連絡しているSlackやInvisionなどとも今後は競合関係になりうるのかなと思ったり。

下記はその後、一緒に来日しているPaperのチームからAlexとKavithaを招いてのQ&Aセッションの内容をおまけで書いておきます。

Q&A with Alex and Kurt

Alex :マーケティングマネージャー
Kurt:プロダクトデザインマネージャー
Kavitha :グループプロダクトマネージャー( 元 microsoft )

Paperで働こうと思ったきっかけは何ですか?
Kavitha :私の12年間マイクロソフトで働いて得た世界規模のプロダクトを作るという経験と、その後自分でビジネスと立ち上げて事業に直接的に影響を与える経験をしました。Dropbox paperは私が過去に関わった2つの企業で学んだ事を生かすのに最適な場所だと思ったのでジョインしました。
Kurt :私は人が実際に抱えている問題を解決したかったんです。Paperのように人が1日の中で費やする8時間という時間の中での課題を解決するというは自分にとってとても意義を感じれることだったので。

どういったところからインスピレーションを受けますか?
Kurt:私たちはそんなに他のツールをみたりはしません。人を見ます。人の行動や習慣を。グーグルドキュメントをみて参考にしたりはしません。あなたが一番のインスピレーションなんです。
Kavitha:私たちは常にユーザーの声を聞いています。サイトを通して意見が送られてくると、それが直接チーム全員にメールされるようになっているので、全員がフィードバックを読んで、ユーザーが何を感じ何を考えているのかわかる状態にしています。

Paperのビジョンをわかりやすくいうと?
Kavitha:コンテンツは今溢れかえっていて、今までのツールでは役に立たなくなって居ます。今やデザイナーだけでなく、この部屋にいるみなさんがクリエイティブな仕事のプロセスに関わっています。そういった人たちが作業したり考えたりしたるする際にPaperは役立てると思いつくりました。そしてPaperを使うことが、あなたがアイデアを書き出す際にもっとも簡単で早い方法であれるようにしていきたいです。
Kurt:彼女が今言った通りです。

東京への出張でなにを学びましたか?
Kavitha:どこでも同じような問題を抱えているのだなと。日本でよく使われている理由はもしかすると、日本の「間」やミニマリズムに対する考え方が、Paperの持つ哲学とマッチしているからなのかもしれません。
Kurt:自分たちのプロダクトを使ってくれているユーザーの笑顔を実際にあって直接見ることができたのが一番嬉しいことでした。