東南アジアのFintechが熱い

東南アジアに出張していると、日本ではあまり見ないFinTech企業に出会います。クレジットカードの普及率が高くないこともあり、日本で有名なマネーフォワードやマネーツリーのような個人向け資産管理ツールはあまり見かけません。上場株式投資もシンガポールを除く東南アジア諸国ではそこまでトランザクション量が大きくないことから、ロボットトレーディングもプレゼンスは高くない印象です。数字大好きインドではロボットはちらほら出てきていますね。

僕が会ってきた会社に限ってですが、大きく5タイプに分類されます。(他にもあるよ!という情報があれば教えてくださいw)

  1. モバイルペイメント/ウォレット
  2. 国際送金
  3. 金融商品比較
  4. P2Pローン
  5. 質屋

1.モバイルペイメント/ウォレット

モバイルペイメントは、最も競争が激しい領域かもしれません。中国でAlipay・WeChat Paymentの利用者がそれぞれ8億人・6億人と大流行していることもあり、各社虎視眈々と狙っています。

東南アジア各国ではEC市場が立ち上がってきていますが、流通総額で見てもまだ小さいことから、ECというよりはプリペイド携帯電話の料金支払いやゲームの課金決済などで使われているのが一般的です。インドのFreeChargeが先駆者で、東南アジアではCAVさんの出資しているCodaPayなどがあります。

今年に入ってから、インドネシアでは競争が激化していく様子が窺えます。

今年7月に中国Alipayを運営するAlibabaが、東南アジアECナンバー1のLazadaを買収したことで、各社Alipayの参入に戦々恐々としているのかもしれません。Uberの競合のGojekがペイメントサービスを開始した後、GrabTaxiが総合型ECモール「Matahari Mall」を運営するLippo Groupと提携を発表しモバイルペイメント参入を発表しました。米国ではECがPaypalを牽引し、中国ではWeChatというモバイルアプリがペイメントを牽引し、東南アジアではHailingアプリがペイメントを牽引するという傾向が見えて面白いですね。

我が国日本では、Yahoo!ウォレット・Yahoo!マネーが今後どんどん進んでいくことを願っています(^ ^)。BASEのPayIDや最近キムシンさんが始めたAnypayなど、どんどん色々なサービスが出てユーザーの利便性が良くなって欲しいなーと思ってます。

https://wallet.yahoo.co.jp/promotion/campaign/

2.国際送金

AさんからBさんにお金を送金するやつです。「昨日の飲み会代、アプリで今精算するね」という使い方が出来ます。送金アプリは特に様々な国籍の人が往き来するシンガポールでよく見かけました。インドネシア人とシンガポール人の間でお金の貸し借りがある時に、両替を気にしないでサクッと精算出来るのは便利ですね。一番メジャーな使われ方をしているのは、出稼ぎ先(米国の)から家族のいる母国(フィリピンなど)に送金をアプリでサクッとする、というパターンでしょうか。いわゆる国際送金ですね。シンガポールのFastaCashInstaRem、フィリピンのAyanahなどなど。

いずれにせよ、AさんからBさんにお金を送れば普通に送金手数料がかかってしまうので、各社工夫をして送金手数料を低くする仕組みを考えています。例えば、銀行口座を使わずにビットコイン口座を使って手数料を抑えたり、国を跨ぐトランザクションがある場合、国際送金を発生させずに国内で送金処理を相殺させる方法などなど。

日本で生活していると国際送金する回数って、年に1回もない感じですが東南アジアはどうなんでしょうね。

3.金融商品比較

このセグメント、競争が意外とあります。日本でいうところのアドバンスクリエイト、ほけんの窓口の領域です。オンラインで集客して、コールセンターが顧客情報を収集し、最適な金融商品を紹介〜契約というサービスがです。オンライン金融商品代理店とでも言いましょうか。英語では、Financial Market Placeと呼ぶそうです。

グローバルでは、イギリスのMoneySuperMarketという会社が上場しています。

時価総額(2016/8/22): £1,703m
売上:£282m
営業利益:£80m
(出所:SPEEDA。業績は2015/12)

香港のCompareAsiaを筆頭に、マレーシアのiMoneySavingPlus、インドネシアのCompare88Cermatiと、各社凌ぎを削っているようです。イギリスのMoneySuperMarketは自動車保険が売上の1/3以上を占めるのですが、東南アジアの各社は消費者向け無担保ローン(アコムや武富士の領域)がプロダクトの中心になっています。まあ、まだ車が中間層に普及していないですし、国によっては自動車保険が任意だったりするので自動車保険市場がそこまで大きくないからでしょう。またクレジットカード普及率が各国一桁%の前半ということもあり、クレジットカード申込顧客獲得も盛んです。日本ではアフィリエイトサイトがその役を担っていますね。いずれにせよ、生活が豊かになれば保険加入者も増えてくるので、ノビシロがありそうですね。

4.P2Pローン

米国のLending Clubが最も著名な企業の一つかと思いますが、日本で見ない事業なので個人的に馴染みがないです(汗)。日本だと銀行、信販会社、消費者金融と複数のローン事業があり、スタートアップが参入する余地があまりなさそうな印象ですが、東南アジアではこれから競争が激しくなりそうです。

Lending Clubってまだ赤字なのね。。。赤字幅小さくなってきているので間もなく黒字化するんでしょうか。

それはさておき、Lending Clubは通常の消費者金融で借りられないようなスコアの人が多く、投資家もハイリスクリターンを覚悟の上で投資をしていると聞いています。東南アジアでは消費者金融産業の立ち上がりが遅れていることから、各社P2Pを活用して一般的な消費者金融市場を立ち上げに行っている印象です。インドネシアのAmarthaTaraliteなど、まだ僕も全然営業できていないのですが、現地の投資家に話を聞くと競争が激化してきているとのことです。

5.質屋

アジアらしい金融サービスですとリアルの質屋を活用したサービスがあります。東南アジアでは大規模な消費者金融会社が少ない代わりに、小さい質屋が乱立しています。そういえば日本では小さい質屋って街角で見かけなくなりましたね。そうした質屋のオンライン化をサポートして、将来的にP2Pローンに参入しようとするプレイヤーがいます。フィリピンのPawnHeroやベトナムのMeCashなどなど。PawnHeroは昨年のEchelon Singaporeで審査員賞を獲得していますね。詳しくはこちらをどうぞ(笑)


とまあ、いくつか代表的なセグメントと会社を紹介しましたが、どの会社もシリーズAをクローズし順調にトランザクション量を増やしていると聞いています。金融は経済の根幹をなす事業領域の一つなので、今後の経済成長に合わせどういったビジネスが大きくなっていくか、非常に楽しみですね。

FinTech、注目ですね。もっと当地の事情と金融に詳しくならないと(汗)