2017年スタートアップ・レビュー

堀 新一郎(Shinichiro Hori)
10 min readDec 28, 2017

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仕事が全く納まっていませんが、本日が2017年の最終出社日になります。まず、今年一年、沢山の起業家の方と資金調達のお話をさせていただき、本当にありがとうございました。起業家の皆さんの熱量に支えられた充実した一年でした。

また、同業のVCの皆さんとも密度の濃い時間を過ごさせていただきました。本当に名前を挙げたらキリがないほど、沢山のご紹介や、経営会議の場での熱い議論など、メチャクチャ勉強させていただきました。ありがとうございました。

昨日、Code Republic主催で2017年のスタートアップシーンを30分で一気にレビューさせて頂きました。当日使用したスライドをご紹介させていただき、オフィスでの仕事納めとさせていただきたいと思います(笑)

ひたすら、Tech CrunchやThe Bridgeさんの記事を遡って手作業でリスト化したので人的ミスで間違っているところ多々あると思いますので、そのへんはご容赦頂けますと幸いです。

改めまして、ざっくり2017年を振り返るといくつかのキーワードが浮かび上がってきます。まずは投資技術領域を見てみましょう。

  1. AI研究者略奪競争

2.クラウドサービスの進化 〜Google Cloudの進撃の予感〜

今年は何と言っても、Google CloudのAWS・Azure陣営への宣戦布告というか戦闘開始の狼煙が聞こえてきた年でした。クラウドAI関連の技術系の会社の買収合戦も進み、来年以降AWSが築いてきた牙城をどうGoogleが切り崩しにかかるのか目が離せません。

3.モバイルAR元年

一歩先にARデバイスのHoloLensをローンチしたMicrosoftに続いてAppleがARKit、GoogleがARCore、FacebookがAR Studioと2017年に続々発表。開発者に必要な武器は揃ってきました。これからモバイルARを中心にどのような面白いサービスが立ち上がるのでしょうか。ゲーム・メカ好きな私は実は一番この領域が好きだったりします。

4.雨後の筍ならぬ、雨後のスマートホーム・音声端末

いやー、色々出てきましたね。恥ずかしながらどれもまだ持っていないので、来年はどれか挑戦しなくてはなりません。まだ音声に恥じらいを感じてしまっている自分がいるのですが、そんなことではキャピタリスト失格なので、来年は必ず挑戦します。

5.EV・自動運転投資の激化

金額的には宇宙と同じくらい(?)大きなお金が流れた領域ではないでしょうか?トヨタ、GMを始めとする旧来の自動車メーカーに続いて、新興のTesla。そしてApple・Google・Nvidia・Uberのお馴染み米国勢に続いてTencent・DiDiといった中国ネット企業も参戦。オシャレな掃除機で有名なDysonまでも参入。ゴゴゴと市場が大きく変わっていきそうな音が聞こえた一年でした。

いかがでしたか?続いては、米国ネット業界を日本から遠く見ていて(主にオンラインメディア・ニュース視点)感じ取れたトピックス。現地にいないと感覚がずれていますが、個人的にはなんとなーくこんな流れを感じました。

1.形振り構わぬ事業コピー

ティーンに絶大な人気を誇るSnapChatの運営会社Snapが上場した頃、FacebookではInstagramにSnapChatの目玉機能の動画投稿機能をStoriesという名前で実装。続いて、ミールキットで有名なBlueApronが上場して間もない頃にAmazonがミールキットサービスを立ち上げ、BlueApronの株価も下がるといった現象もありました。上場までこぎつけたナイスなサービスをネット業界の頂点に君臨する会社がコピーする姿を横で見ていて、すさまじいな、と感動しました。大企業に潰されないために、スタートアップがどう戦っていくのかという点について、スタートアップを支援する立場に身を置く者として今後しっかりと起業家の皆さんと考えていかないとな、と思いました。

2.フェイクニュース対策の本格化

米国大統領選挙期間中に飛び交ったと言われているフェイクニュース。いずれにせよ、トランプ大統領が誕生したわけですが、Facebookはフェイクニュース防止対策として記事評価アルゴリズムを変更し、さらに第三者機関が真偽判定を行うなどの取り組みを始めると発表。お隣中国のニュースメディア会社Toutiaoにいたっては、フェイクニュースを作成するBotを開発し、Botから作られるフェイクニュースを退治するという、いわばセキュリティ企業のようなお話にまで発展してきています。インターネットがみんなに愛されて正しく使われるためにも、今後も不正対策サービスというのは必要とされていくんでしょうね。

3.ビジョンファンド旋風

10兆円ファンド、激風が世界中のスタートアップシーンに吹き荒れています(笑)説明割愛します(笑)

4.VCセクハラ問題

かの有名な500 StartupsのDaveや、DFJのJuvetson、LowercaseのSaccaがまさか・・・。VC業界で問題がガンガン露出した後、ハリウッドにもme tooが浸透。個人が発信力を持った今だからこそ、こうした闇に葬り去られていた問題も明るみになってきました。

そして、我が国日本も沢山のニュースがありました。インターネット業界に身を置く私が取り上げたいのは下記のトレンドでしょうか。

  1. 成長期に突入した動画サービス

インターネットTV局としてエポックメイキングな番組を創出したAbemaTVの躍進劇は素晴らしかったですね。亀田興毅と素人の方の対戦、元SMAPメンバーによる72時間ホンネテレビ。テレビ離れが進んでいる中で新しいカタチのコンテンツビジネスを提供したのではないでしょうか。そして、delyやDelish Kitchenに代表される料理動画レシピサービスも今年は大バトルを繰り広げました。さらに、ライブコマースにCandee・メルカリ・BASEといった国内インターネット業界を代表する企業が続々参入。こちらも目が離せません。また、投げ銭領域においてもショウルームにつづいて台湾からの刺客「17」も上陸しました。動画サービスは黎明期から成長期に突入したのではないでしょうか。

2.即時現金サービスの台頭

サービスリリース16時間で大量のトランザクションが発生し急遽サービス停止に追い込まれたCASH。今年前半のライジングスターは年末にDMMに買収されるというスピードEXIT。ZOZOのツケ払いも記憶に新しいです。給料前払い分野でもPaymeといったサービスも出てきました。現金のやりくりを改善するサービス、今までは消費者金融中心だったこの業界にECやサービスとセットで新しいモデルが数々誕生しました。

3.ビットコイン狂想曲

どんどん上がる〜。買っておけばよかった〜。と誰もが思ったのがビットコイン。そしてバク上げしてからの暴落。こえぇー、買わなくてよかった〜、と。業界関係者と意見交換を毎日のようにしていますが、肯定派と否定派に大きく分かれていましたね。どうなる、ビットコイン!

4.宇宙への情熱

米国ではSpace Xがロケットの打ち上げに成功。国内においても宇宙関連のスタートアップが大型の資金調達を達成しました。中でも、国内シリーズA最大金額を更新したiSpace。なんとシリーズAで100億円超えの資金調達。腰を抜かしました。

皆さんにとって今年一年はどのような年だったでしょうか?

お仕事を通じて沢山の助言、お叱りの言葉、愛情をいただきありがとうございました。

先日、金沢で開催されたIVSにて弊社グループCOOの川邊さんがおっしゃった「インターネットが大好きです」。僕も大好きです。YJキャピタルメンバーはみんなインターネットが大好きです。

2018年も、皆さんにとって、インターネット業界にとって楽しみとワクワクに溢れる一年になることを願っています。

来年も駆け抜けましょう!それでは皆さん良いお年を!

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