株式会社メルカリで働いています

Ryohei Tsuda
Dec 8, 2018 · 11 min read

本当は退職するときに書こうと思ってたけど、直近で辞める予定がなくて忘れそうなので今のうちに書き残しておく。この記事は個人の見解であり、所属する組織を代表するものではありません。

入社する前の話

大規模な商業展示会を組織する会社で1年ほど経理として働いた後、友人の紹介でスマートフォンゲームの開発・運営をする会社に転職した。この会社では2年半ほど働き、経理だけでなく給与計算や国内外の税務、ゲーム開発、株式やストックオプションの仕組み、そして家具の組み立て方などを勉強させてもらった。今振り返ると、20代前半の若者によく色々やらせてくれたなと思う。

2014年7月初めにその会社を辞めることとなり(あまり良い辞め方ではなかった)、知り合いの伝手で人材紹介のエージェントに話を聞くことにした。この方が本当に素晴らしい方で、2時間ほど親身になって相談に乗っていただいた。私は当時キャリアに迷っており、経理をやめてソフトウェアエンジニアになろうと考えていたが、その方の「自分が最も組織に貢献できる仕事を選ぶべき」「好きで子供の頃からプログラミングやってたような人には勝てないよ」「伸びている会社ならどんな仕事でもいい経験になる」等の助言を受けて、もう少し経理で頑張ってみようかなという気になった。

その際に「最近伸びている会社」の例としてメルカリを教えてもらった。結果的にこの出会いが今の私のキャリアに大きく寄与したので、この方には本当に感謝している。全然関係ないが、この方から相撲のタニマチの話を聞いた。タニマチは相撲が純粋に好きでやってる人と、単に金持ちとして見られたいからやってる人がいるらしい(タニマチには金がかかる)。

応募した後にメルカリについて調べたり、アプリを使って物の売買をしてみた。最初は買う側で、服が安く買えていいな、という印象を受けた。この時から4~5年、メルカリでしか服を買っていない。売る方はメルカリ以前に経験がなかったので、最初は値段設定や購入者とのコミュニケーションに苦労した。

当時のメルカリは1日の出品が数万件くらいの規模で競合も多かったが、経営陣にexit経験があったり上場企業のCFOやってた人がいたのでこれから伸びるのではという期待感があった。また、大型の資金調達(15億円くらい)をしていたので、少なくとも給与はきちんと払われるだろうと思った。ちなみに、この時期に読んだ記事(前編 / 後編)を書いた人が後からメルカリに入社した。

入社した時の話

2014年7月の終わり頃にメルカリの面接を受け、9月半ばに入社した。面接では経理の話だけでなく、メルカリでの取引経験や自分が思うメルカリの改善点を聞かれた。「暗くて素人っぽい写真が多く雑然としてるので、明るくて綺麗な写真を投稿するよう促しては」みたいな的の外れた回答をしたことをよく覚えている。

入社時のチームは当時「経営企画部」という名前で、要するに何でも屋だった。従業員は50~60名くらいだったが、いわゆるバックオフィス(社長はこの呼び方を避けているが、あえてこう呼ぶ)の専任は4~5名しかおらず、自分も経理以外の様々な仕事を与えられた。例えば当時入居していた新六本木ビル(みずほ銀行六本木支店がある古いビル)から六本木ヒルズへの移転プロジェクトなどをやっていた。

入社直後は「思ったより出来上がっている会社だな」という印象を受けた。創業1年と少しだったが各分野で実績を積んだ方が揃っていたし、優秀な方々も続々と入ってきていた。利益は全く出ていなかったがサービスは伸び続け、十分な資金が調達できていた。サービスが伸びていると様々な新しい仕事が生まれるので、伸びている会社で仕事をすると新しい知識や経験が身につけやすいと思う。

チームは上司と私を含め3人だったが、私以外は上場企業でちゃんとした経理や人事労務の経験を積んだ方だったので、毎日教えられることばかりだった。上司には(誇張ではなく)毎日怒られていた。いい気分はしなかったが、拾っていただいた恩があるので我慢していた。

ミッションとバリュー

「メルカリ」という会社について話す上で避けて通れない話題として、「ミッション」と呼ばれる中長期的な会社の目的と「バリュー」と呼ばれている行動指針がある。

ミッション:
新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る
バリュー:
Go Bold - 大胆にやろう
All for One - 全ては成功のために
Be Professional - プロフェッショナルであれ
https://about.mercari.com/about/

このミッションとバリューは、現在社長の小泉さん主導で作られたらしい。小泉さんは人心掌握やバランス感覚が特に優れた方だと思う。ツクルバという会社の方が書いたこの記事に書いてあるようなことをたくさんやっていた。

当初のメルカリの中長期的な目標は「世界で使われるインターネットサービスを作る」とか「なめらかな社会を作る」みたいなフワッとしたものだったが、いつの間にか上記のものに変わった。会社の規模が大きくなっていくにつれて、このような「具体的な行動に落とし込みやすい」バリューが意思決定の速さや質に効いてくると感じる。バリューは会議室の名前、会社のノベルティ、表彰、人事評価、採用面接、社員同士の会話、社内のイベント、Slackのemoji、その他いたるところに現れて、毎日それらを目にすることになる。

小泉さんに直接聞いたことは無いが、ミッションやバリューへのこだわりは宗教の手法を参考にしていると思うことはあった。例えばコーランの8章にこんな文章がある。「たとえ世界中の財宝をもってしても、皆の心を一つにまとめることはできなかったであろう」。

入社後やった仕事

経理

入社して2~3年くらいの間、私の主な仕事は経理の日常業務(未払の計上や支払)や月次・四半期決算、連結決算、会社法決算や税務申告書の作成、予算・資金繰り管理の手伝い、監査対応、上場準備だった。株式を上場する会社は上場申請期の前期および前々期について金融商品取引法に準じた監査を受けなければならないが、会社としていつ上場するかは経営陣や株主の判断によるので、いち従業員としては当然いつでも上場できるように常に準備をし続けることになる。

上場準備と言ってもやることは色々あるが、私はもう一人の同僚と一緒に、主に決算の締めと開示書類(新規上場のための有価証券報告書やトライアルで作っている決算短信)の作成や監査対応を担当していた。上場のプロジェクトチームは幾つかに分かれていて、CFOの長澤さんを頂点として当初は7~8人くらい、上場前の1年間で一挙に人が増え、最終的には30人くらい関係者がいたと思う。

大きく分けると、資金の調達と投資、投資家対応、予算管理をするFinance/IRチーム、決算の締めや和文・英文の届出書作成、監査対応をするAccounting/Taxチーム、株式事務や株式報酬の管理をするチーム(通称kabuチーム)、法務を担当するLegalチームの4つくらいに分かれていた。Due Diligenceや引受審査、証券取引所審査は全員で対応していた。その中で、私はAccounting/Taxチームのいちスタッフとして働いていた。

成り行きでITGCやJ-SOX(内部統制報告制度)の対応もやっていた。私は小さな会社しか経験がなく疎い分野だったが、株主でもあるM物産から経理に出向で来ていた方に付いて回って詳しく教えてもらいながら仕事をすることができた。それまで大企業でバリバリ働いている優秀な方と交流する機会が無かったので、大企業に対する見方が大きく変わった。こういう人たちが日本を支えてるんだろうなと思った。

また、上場の前に法人税・消費税の税務調査があり、その対応もすることになった。これは書けないことが多いが、経理の仕事をしている人は一度は税務調査の対応をやった方がいいと思う。統括官や調査官(更にその背後にいる税務当局の職員)はその道のプロで税務に精通しているので、彼らとの会話はとても勉強になる。それなりに大きな会社なら3年に1回くらいは来るはず。

さらに入社当時から、会社が運営するサービスによって生じた債権債務関係の変動を集計する「会計システム」(社内でこう呼ばれている)の担当をしていた。新機能や新サービスによって取引先やお客さまとの間に債権・債務の増減が発生する場合、サービスの内容から会計処理を考えて、サービスのデータ構造を元にどうやって集計するかの仕様を考えたり、必要なデータを定義する仕事だ。システムはPHPとMySQLで動いていたが、プログラミングは全く分からなかったので当初はエンジニアの方に完全丸投げでお願いしていた(本当に申し訳ない)。

そのうち障害や不具合の調査などでSQLを使うことが増えたことや、お願いしていたエンジニアの方が忙しかったこともあり、周りに教えてもらってSQLを書くようになった。副次的な効果として、会計の課題に対処する中でメルカリのデータ構造に詳しくなり、予実比較や月次PLの推移分析で大いに役に立った。取締役の濱田さんが「SQLは英語の1万分の1のコストで学習できて英語の半分くらい役に立つから5,000倍の効用がある」と社内で言って回っていたが、5,000倍は言い過ぎにしろ学習コストが低くて役立つのは確かだと感じた。

上場前後で財務経理のチームが拡大したことや会計システムのアーキテクチャを大きく変更する必要があったので、今年の夏に別のチームに異動して会計システムに専念することになった。

Product Manager

2018年8月からは、Corporate Solutions Engineeringという「経営課題をエンジニアリングで解決する」チームに異動した。ここでは経理でなくProduct Managerとして働いている。

主な仕事はメルカリの会計システムの運用と開発で、現行の会計システム — サービスのデータベースの複製から会計処理に必要な数字の定義を基にSQLを組み合わせて集計するシステム — を運用しながら、新しい会計システム — 会社が進めているマイクロサービス化に沿って会計処理に必要な数字を収集するシステム — を作っている。

新しい会計システムの仕組みは単純で、予めインターフェースを決めて各サービスから会計処理に必要なデータを統一的なフォーマットで送ってもらい、それを保存して集計する。

マイクロサービス化が進むと各サービスは自分たちで自分たちのサービスのアーキテクチャを選択できるようになるので、複数のデータベースが生まれる。データの持ち方もサービスによって異なる可能性があり、その差分を会計側で吸収することは難しい。そのため、このようなやり方を取ることになった。

働く場所としてのメルカリ

どんな会社にも良いところと悪いところがある。

私にとってメルカリは比較的よい職場で、報酬は前職より高く(これは人によるが)、労働時間は前職より短く自由が利き(コアタイム12–16時で月単位の変形時間労働制)、面白い方や優秀な方がたくさんいる。社内のSlackチャンネルを眺めるだけでも様々な面白い情報が入ってくる。

悪い点としては、上司の期待値が低いこと、新入社員がパフォーマンスを発揮できるまで時間がかかること。ここ数年で一気に従業員1,000人以上の会社になったので、メンバーの支援をしない人がマネージャーをやっていたり、意思決定しないマネージャーがいたりする。また、人が増えるのが早すぎて入社して数ヶ月の人が完全に理解しないまま次の人に仕事を教えていたりする。

課題が課題のまま放っておかれることは無い会社なので、そのうちこれらの課題は解決してまた新しい課題が生まれるかもしれない。例えば、新入社員の教育(onboarding)については専任で課題に取り組むチームがある。

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今後の個人的な話

仕事に関していうと、もう1回くらい大きなキャリアチェンジをしたい。漠然とだが、次は何か自分の手でものを作って売る仕事をやろうと考えている。

人生の中長期的なプランとしては、30代のうちに大学に行って勉強したい。働きはじめて8年で様々な人に出会ったが、学歴(大学名というか大学での実績という意味)がある方はアウトプットや議論の進め方の質が高い。母が昔から「教育は最も効率のいい投資」だと言っていたが、30近くになってようやく意味が分かってきた。いま興味があるのは数理法務という分野。法律にも数学にも詳しくないが。

働かなくてもいいくらいのお金が欲しい。宝くじ当たらんかな。

Ryohei Tsuda

Written by

Tokyo, Japan / Accounting / Fluent in 日本語 / Learning English

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